「国民および国家の苦境除去のための方策」を望む私たち

政府たちは我々をどう助けるべきなのか問題。


2020年:コロナによる政府の権力強化の流れが強まり民主主義は死ぬ ←New! - maukitiの日記
ということで昨日の日記の続き的お話。

だから、そんな風により強い権力強化を望む声と、一方でベクトルは真逆ながら経済封鎖に反発する声って同じだと思うんですよね。
米各地で「都市封鎖」抗議デモ 死者4万人突破も経済再開求め - BBCニュース
失うモノが大きいからこそ彼らは必死になる。
よく悪くもポジションが固定化されている富裕層や貧困層ではなく、まさに中間層(だと思っている人も含む)こそが自分たちの先行きの不透明さの解消を政治に求めるようになっていく。
これこそポストコロナな世界における民主主義国家のトレンドになっていくんじゃないかと。

2020年:コロナによる政府の権力強化の流れが強まり民主主義は死ぬ ←New! - maukitiの日記

中間層な私たちこそが国家政府に助けを求める構図について。


『IDENTITY』でフクヤマが、ハンチントントクヴィルの引用を孫引きして述べているのは、
フランス革命の時代から最も不安定な集団なのは、危機によって現在の相対的地位を失いかねず、且つ政治活動を行えるだけの教育を受けた中間層たちである、としているんですよね。
故に彼らは危機に際して政治を大変動させる中心ファクターとなっていく。

さらに重要なことに、彼らは自分たちの経済的地位を理由に、尊敬を受ける権利があると思っている。一生懸命働いて社会の役に立ち、家族を養い、税金を払って社会への義務を果たしている。経済のトップにいるわけではないとわかっているが、それでも貧乏ではなく、政府からの援助に依存して生活しているわけでもないとプライドを持っているのだ。*1

日本にもこういう人たちはいっぱいいますよね。しかしこうした人びとこそ、模範的国民であると言えるかもしれない。
ところが中間層な人びとは、まさに避けようのない危機によって生命財産ひいては相対的地位を失いかねない状況に陥っている。
だからこそ我々は国家から救われる価値があり、国家は我々をどうにかして救わねばならない。


ということで今のコロナ騒動で問題となるのは「ならば一体どのように国家は我々国民を助けるのか?」という根本的な問題でもあるわけですよ。
この期に及んでケネディの演説のようなことを言い出す人はほとんどいない。
何しろ努力不足()な一部ではなく大多数の、国家の中心の、我々が苦しんでいるのだから。
そんな中間層な人々が望む「今の自分自身の生活を守る」為に国家は何ができるのか?


経済を生かそうとすれば生命が危険に陥るし、かといって生命を生かそうとすると経済が死にかねない。
「ウイルスはフェイクだ!」 米国で経済再開求めるデモ相次ぐ - BBCニュース
かくしてそのジレンマは、外出規制を求める声と、それに反発する声という、見事に真逆な構図を同時に見せることになる。

正解の見えない我々は立ちすくむことしかできない。
結局のところ、その解答という点がまるで見えない、というのが現状の問題でもあるわけでしょう。


政府はもっとちゃんとしろ!
――と怒ってはみるものの(それ自体は正当である)、結局ちゃんとの中身は言っている私たち本人ですら定かではない。
もちろん専門的知識がある人や、あるいはただただ無責任な人たちは、「ぼくのかんがえたさいきょうの対策」を述べてくれるでしょうけど、それが国民的な世論として合意できるわけでは絶対にない。


10万円一律給付 対象や手続きは|特設サイト 新型コロナウイルス|NHK
つい先日日本でもようやく「10まんえん!」という方向性が見えましたけども、あれはあれで実はみんなが合意できる割と都合の良い解答なんですよね。
――まぁ長期的に死にたくないので短期的には多少死んでもいいという愉快な人たちを除けば。
概ね誰もが賛成できる『国家』による救済の第一歩である。
そこから先は……、うん、まぁ、そうねえ。



ちなみに、こうした救済を望む思いが「犯人であろう外国をやっつけてほしい!」という風に斜め上にいってしまうと、すわ軍事行動という風になってしまうんですけど。
米ミズーリ州、新型ウイルス対応めぐり中国を提訴 中国は反発 - BBCニュース
(『9・11』後のアメリカから目を背けながら)
まぁ私たち日本はほぼなさそうで安心だよね。






はたして『国家』は、中間層たる私たちを一体どのように救えばいいのでしょうね?
つまり、主権者たる私たち国民は一体何を望んでいるのでしょうね?
良くも悪くも独裁国家だったら、何が救済か決めてくれるのにね。しかし幸か不幸か民主主義社会に生きる私たちはそうではない。
それすら定かではないコロナ禍に生きる2020年という時代を生きる私たち。


立ちすくんでいるように見える国家とは、
ほとんどそのまま私たちのどのように救済されたいのかという結論を出せない自身の姿でもある。


まぁ解らないなら解らないでも個人的には別にいいと思うんですよね。
ただ、そんな風に「なんでもいいから政府はどうにかしろ!」とやってしまうと、まさにコロナ危機に対抗するための『国民および国家の苦境除去のための法*2』を政府に望むことになってしまうんですけども。



いやあヒトラーからもケネディからもずいぶんに遠くに来たものだよね。
2020年に生きる私たちの政治について。


みなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:第9章「見えない人間」

*2:全権委任法 - Wikipedia