コロナ対策、経済から見るか? 人命から見るか?

かくして僕らの大好きな「トロッコ問題」がわかりやすく現実としてあるわけですけども、善き市民であるみなさんはどっちにレバーを倒すのが正解だと思ったかな???



緊急事態宣言 今月31日まで延長決定 対象は全国 新型コロナ | NHKニュース
ということで緊急事態宣言延長が正式表明されてしまったそうで。

安倍総理大臣は、「わが国は、諸外国のような爆発的な感染拡大には至っておらず、全国の『実効再生産数』も1を下回るなど一定の成果があらわれ始めているものの、現時点では、いまだかなりの数の新規感染者数があり、感染者の減少も十分なレベルとはいえない。引き続き医療提供体制がひっ迫している地域も見られることから現在の取り組みを継続する必要があるというのが専門家の見解だ」と述べ、緊急事態宣言の対象地域を全国としたまま、今月31日まで延長することを決定したと明らかにしました。

緊急事態宣言 今月31日まで延長決定 対象は全国 新型コロナ | NHKニュース

まぁ延長されること自体はそこまでサプライズかというとそうでもないよね。
半ば既定路線であっても、彼がこうして批判されてしまうのも仕方ないかなあと個人的には思っていますけども。


コロナで痛快面白いと言っては不謹慎かもしれませんけど、まさにこの緊急事態宣言の延長の判断って、政治的にあまりにも重要な判断をしているわけでしょう。
ここまでわかりやすく、そしてあからさまに、まるでトロッコ問題のような二者択一を求められている構図。
これって歴史的に見ても非常に珍しいと思うんですよね。


できることならそんな政治的決定はされない方がマシに決まっている。
事前に時間をかけて定められた法やルールに則って処理する方がマシに決まっている。
しかしいつだって想定していなかった斜め上の事態が起きるのが世の常でもあります。
だからこそその緊急時に政治家たちの判断が求められることも無くなることはない。


つまり、この件で安倍さんが何をしても批判される構図というのは、そもそも重要な政治的判断が求められているから、という点に尽きるんですよね。
――何しろ「経済」か「生命」かというこれ以上ないほど重要な問題を左右することになっている。
そりゃもともと彼に不満がある人たちは、何をしようと「安倍さんが決めること」自体に同意できるはずもない。


どちらか一方を優先させれば、どちらか一方はそれだけ損なわれることになる。
その残酷なジレンマについて。
だからこそそこで正しく『政治家』に決定する役割が求められることになる。
いやあ少なくない人たちが無用の長物だと思っていた政治家に、ここまであからさまな選択肢で政治判断を求めることになるなんて思いもしなかったよねえ。




個人的に面白い車輪の再発明だと思うのは、こうして非常時な重要な判断であるからこそ、強いリーダーを求める私たち市民の声が大きくなるという私たち人間社会の普遍的真理がマジで見られてしまっていることかなあ。
でもこうして実際にその空気に直面するとわからなくはないんですよね。
死活的に重要な判断をするからには、当の政治家にはせめて自信があるように振る舞ってほしい。
何より私たちが「安心」するために。
まさか戦争以外でもこうなるなんて。
かくして素朴な願いとして『強い(そう見える)リーダー』を求めてしまう私たち。
そうした性質によってなのか、どう見ても統計上の結果としては失敗しているようにしか見えないものの、演説やパフォーマンスが上手いフランスやニューヨークが成功事例として褒められているのは、ほんともう人間ってハラショーなお話だとは思ってしまいますけど。





私たちは、まさに猛進するトロッコの先にある、二又に別れた線路のスイッチのレバーが倒されんとする現在進行形の瞬間にいる。
一方には経済が、そしてもう一方には生命が。
どっちの線路に突っ走り轢き殺しちゃうのが正解なんでしょうね。
みんなも無責任な立場からどんどんレバガチャしていこうぜ!



みなさんはいかがお考えでしょうか?