誰か教えてニュースの正気度のミカタ

同床異夢な私たちの因果。



こんなに「印象操作」が簡単にできてしまうなんて…コロナ禍の比較写真:らばQ
コロナでの「切り取り」ニュースではありますけども、まぁ特に今のアメリカの暴動ニュースでもこうしたやり方がよく見られる(ように見える)のは面白いなあと。
むしろコロナよりも善悪のポジションを強く明確にしようとするインセンティブがある分、こちらの方こそ本丸ではあるかもしれない。
黒人男性の暴行死に抗議、大半は平和的 連帯と協調 - BBCニュース
ということでBBCさんちの記事を見ると色々と考えさせられてしまうよね。。

ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に押さえつけられて死亡した事件を受けて、アメリカ各地で抗議デモが相次いでいる。

機動隊と衝突したり、建物を破壊したりという、暴力沙汰に発展してしまうケースとはよそに、多くの抗議行動が平和的に行われている。

黒人男性の暴行死に抗議、大半は平和的 連帯と協調 - BBCニュース

「多くの」
まぁどちらが多くて少ないかについては、みなさんそれぞれが自由にご判断すればいいとして、しかしこれはどちらの側からも己のポジショントークができてしまうのが地獄よなあと。


そもそもその「多いか」「少ないか」の定義だって曖昧だしね。
デモ参加者の50%以上が暴動や略奪に走っているというのは明らかに「多い」と言えるかもしれない。
ではそれが10%でも「少ない」と判断できるか? ――と聞かれたらちょっと困ってしまうよね。
デモの参加者のうち1%なら?
単純な数字の割合としてはまず少数派であることは間違いない暴徒たちの、それを「少ない」としてもいい基準について。


……「多くの抗議行動が平和的に行われている」を判断した基準ってどれくらい?




転じて、つまりこうした報道の本質的曖昧さこそがよく出来た情報扇動の根本でもあるわけですよね。
中国、米政権の二重基準を非難-メディア動員で米国の恥部映す - Bloomberg
別にBBCが「多い」ものを敢えて「少ない」と報じているとは思いませんけども、しかし反アメリカなポジションを明確にする中国やロシアでは、それはもうアメリカの恥部として――人種差別という意味でも暴動と化している「一部デモを鎮圧」しようとする意味でも――大きく報道する。
【オピニオン】香港弾圧は既に始まっている - WSJ
一方で、これまでアメリカをはじめとする欧米世界(ついでに私たち日本も)は香港のデモの『一部(諸説ある)』の部分を切り取ったニュースを見て、弾圧けしからんと論評してきたのも間違いないわけで。


もちろん徐々に、その公式発表の信頼性はともかくとして、きちんとした数字が出てくることも間違いないでしょう。
しかしそれが到底不可能な現時点では、今、現在進行形で、その現実に参加している私たちは何が起きているのかの判断について、そうした曖昧な基準によって切り取られたニュースでそれを判断するしかない。


その意味で言えば、やっぱり今回のデモのポジティブな面を「多くが平和的」として報道することには社会的意義があるとは確かにあると思うんですよね。
そうした報道を見れば心配している人々に安心感を与えることができるから。
しかしそのやり方は、まさに上記のように中国がネガティブに大拡散しているように、当然逆の意味でも同義である。



いやあデモと暴動って見分けるの大変だよね。
そしてその曖昧さとは、結局のところポジショントークの容易さでもある。
冷戦後しばらく続いてきたアメリカ一強の時代はいよいよ明確に終わりを迎えつつあり、益々こうした『文明の対立』を煽ろうと報道は恣意的になっていくのでしょう。
それに騙されないようにリテラシーを持とう! と建前では机上の空論な理想論を言うことはできますけども、ぶっちゃけ僕にはあんまり自信ないなあ。
ニュースで「多い!」「少ない!」とやられたら素朴に信じちゃうと思うよ。
実際に現実で起きていることを正しく把握することなんて不可能だから。


なんかSFっぽくなってきたな。いや古き良き伝統的な盲目状態に戻ったというべきか。
たゆまぬ技術進歩によって実現された我々の何もかも知悉しているという万能感は幻想だったのか。


だからこそマスメディアのみなさんには口うるさくもっとちゃんとしろと言い続けている当日記のポジションでもあります。
見る側の信頼度としては、一度下がったSAN値チェックは上方硬直しほとんど戻らないのだから。 
いやまぁ自分に関係のない話は知る必要ない、あるいは自分が信じたいニュースだけを見ておけばいいのだ、と言うと身も蓋もありませんけど。


みなさんは、今起きているコロナ騒動やアメリカのデモ暴動について、現実はいかがお見えでしょうか?