にしても、いったいデマを広めたのはだれだ

「二十年代の日本人の記念碑になるに違いない。
不要不急な商品を、瞬時に買い占めても恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の。
にしても、いったいデマを広めたのはだれだ」

 


「新型コロナのSNSデマはマスメディアが拡散」、東大の鳥海准教授が分析 | 日経クロステック(xTECH)
これは興味深いというか、画期的というか、不都合な真実なお話。

 こうしたTwitter上での情報の拡散は、マスメディアなどのメディアが介在してさらに加速する。トイレットペーパーのデマでも、複数のマスメディアが「デマが流布している」という記事を掲載したことで、さらに拡散された。「トイレットペーパーを購入したのは60歳代が大多数という報告もあり、ツイッターではなくマスメディアを見て影響された可能性がある」(同)。

マスメディアがデマを拡散
 マスメディアが「デマ」を拡散した例として、鳥海准教授は「東京脱出」というハッシュタグを紹介した。新型コロナの感染拡大の懸念が強かった4月7日午前7時、朝日新聞がWebサイトで「ツイッターで『東京脱出』というハッシュタグが拡散されている」という記事を掲載した。ところが鳥海准教授が分析すると、記事配信時刻までに「東京脱出」というハッシュタグをつけたツイートはわずか28件だった。一方で、記事配信後の24時間は1万5242件ツイートされた。

「新型コロナのSNSデマはマスメディアが拡散」、東大の鳥海准教授が分析 | 日経クロステック(xTECH)

この分析が出る前からマスコミのニュースによってデマが更に広まった・炎上した・悪化した、ということまでは割と言われていましたけども、実はそれ以前の問題でその報道こそが主要因となって状況を悪化させていたと。
もちろんこの分析自体も更なる検証がされていくんでしょうけれども、しかし、この結果は私たちの生きる現代民主主義社会においてかなりインパクトある構図を示唆しているんじゃないかと。
(その情報拡散力を考えれば当然の帰結であるとした)以前から一部のマスコミ嫌いな人たちからは常識としてあり、それ以外の人たちからも薄々考えられていたことが、実は真実だったのかもしれない。
有象無象に過ぎないミクロで愚かな個人の発信を、拾い上げては針小棒大にマクロに報道するマスメディア。


それこそ、トランプを筆頭とした狡猾な現代政治家たちによる「メディアはフェイクニュースを流して社会を混乱させようとしている!」というマスコミ批判が、かなりの面で事実を指摘していることになってしまう。
やはりトランプは時代の先頭を走っていたのか。


個人的にはその背景にあるのは、悪意や扇動というよりは、綿密な調査や検証をしようとしない、ただただ近視眼的利益優先なだけ、とは思ってますけど。
政治家の危険な「フェイクニュース」発言 イージス停止もコンビニの外国人労働提言も偽物?(古田大輔) - 個人 - Yahoo!ニュース
もう一つ個人的に気になるのは、こうしたマスコミの報道をフェイクニュースと呼ぶべきなのか、それとも単なる『誤報』と呼ぶべきなのか。
――あるいは「デマ拡散、捏造でした。深くおわびします」と書くレベルなのか。




どちらにしてもまた一つマスコミ不信の種が広がっていくことになる――いや、それどころか「緊急時には率先して彼らがデマを広げる」がこうして一つの分析結果として出てしまった以上、今後マスコミ不信のトレンドは強固になるのでしょう。


つまり、より一層、狡猾な政治家たちにるマスコミへの「フェイクニュースだ!」という批判は説得力を増してしまうことになる。
それは何も政治家たちの狡猾さからではなく、マスコミ自身の自業自得な振る舞いの帰結として。


いやあカオスな民主主義社会世界にまた一歩近づいちゃったよねえ。
こうした分析結果を見た上で、真にデマを拡散させているの一体誰なのか? 
――と聞かれたとき私たちはどのように答えるべきなのだろうか?
まさにトランプが言うような「彼らがフェイクニュースを拡散させた!」というポピュリズムな言説に同意しなければならないのだろうか?


みなさんはいかがお考えでしょうか?