『企業の社会的責任』が中国企業取引と衝突するとき

「良き塀こそ良き隣人を作る」という前提を考えると、まぁそらそうなるやろ感。



Appleのサプライヤーが商務省による輸出規制対象リストに追加される - GIGAZINE
これは割と面白いお話というか、鬼畜米英な本性が出つつあるわね感。

アメリカ合衆国商務省の産業安全保障局(BIS)が、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与しているとして、11の中国企業をエンティティリストに追加しました。新しくエンティティリストに追加された企業の1つがO-Filmで、同社はAmazonAppleDellGMMicrosoftといった有名企業を含む24のテクノロジー企業のサプライヤーとして知られる企業です。

商務省は新しくエンティティリストに追加した11の中国企業について、「ウイグル族および少数民族に対して行われてきた大量の恣意的拘留、強制労働、非自発的な生体データの収集、遺伝子分析を支援した」と述べています。

Appleのサプライヤーが商務省による輸出規制対象リストに追加される - GIGAZINE

現代的価値観らしいCSR=企業の社会的責任を建前として、所謂「中国包囲網」を作り出そうとしているのはとっても面白いというか、コイツらほんと狡猾やなと感心してしまう所ではあるんですよね。
米司法長官、中国政府と「連携する」米IT企業を非難 競争力を損なうと - BBCニュース
米、ウイグル弾圧で企業に警告 強制労働「加担」懸念:時事ドットコム
アップル・ソニーなど大企業、ウイグル人強制労働の工場から部品供給か 豪報告書 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ウイグル人強制収容所で作られた“人毛”エクステを押収。米当局「非人道的な商取引は認めない」 | Business Insider Japan
まぁこの辺は、以前からネット企業などがその中国でのポリシーを巡ってネットユーザーたちから批判されていたものが、他のグローバルな製造業にも拡大しただけということもできるんですけども。


それをお金で黙りますか? - maukitiの日記
だから当日記でも去年の時点では、そうした現代的なCSRと衝突するだろう中国企業との取引を今後どうするつもりなんでしょうね? という日記を書いたわけで。
それでも一年前までは、コロナや香港騒乱によってまさかここまで一気に対中包囲網な事態が進行するとは思っていなかったので、僕も自称心理歴史学者としてはまだまだだと反省することしきりです。

ということで、個人的にはこの騒動は現代世界の縮図っぽくてクッソおもしろいのでもっとやれという感じであります。
対中問題と、そして株主至上主義と。
それらが悪魔合体して生まれたこの構図に、これまで建前としてはリベラルな「普遍的」価値観を讃えてきた企業たちは、中国に対してこれからどのような態度をとっていくんでしょうね?

それをお金で黙りますか? - maukitiの日記]

いやあ、混乱ラバーな僕としても、これからは大きな顔をしている偉そうでいけすかないグローバル大企業とかに、どんどん「では中国の人権問題についてどう考えているのか?(ニチャア」と質問をぶつけてみたいよね!


本邦でも少し前にユニクロ辺りで話題になっていたように、まぁ一般的にリベラルな社会であればあるほどその商品の品質自体だけでなく、その商品の背景にある「瑕疵」を無視できない時代でもある。
故に企業の社会的責任は重要である。グローバル・コンパクト万歳。
海外の「made in 奴隷労働」製品、工場から出る廃液などの環境汚染、あるいは有名どころでは「ブラッドダイヤモンド」など。
視覚情報に弱いわれわれは、例えばそうした商品の製造過程にある人権侵害や環境汚染が報道で装飾され悲劇としてニュースにされると、それはもう強い反応をせざるを得なくなる。
英外相、中国がウイグル人に「おぞましい」人権侵害と非難 - BBCニュース
髪の毛を剃らせ拘束し目隠しをした囚人を列車に押し込むなんて、それってつまり……1930年代の……。


去年に日記を書いた時よりも、コロナや香港を経て、更にそうした構図に近づいてきた2020年の7月の現在、再び私たちはCSR中国企業という問題を考え直させられる状況に直面しつつある。
グローバルに活動する現代企業たちは『CSR=企業の社会的責任』という建前から「中国との取引をやめるべきだ!」とその包囲網に加わることを暗に要請されたら、どうするんでしょうね?
更に皮肉なことに、あのトランプ政権がそうしたCSRを建前に、対中取引を止めるように圧力をかける現代国際関係について。


みなさんはいかがお考えでしょうか?