日本社会に気候変動問題への危機感を根付かせるにはどうしたらいいのか問題。
なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか？(江守正多) - 個人 - Yahoo!ニュース
なかなか面白いお話。
なぜ日本社会では、海外ほど――個人的には世界平均としてみたらそんなに変わらないとは思ってますけど――気候変動問題についての議論が盛り上がらないのか？ について。
まぁ叫ぶだけでいい子供なグレタさんと違って、マトモな（フリをしている）私たち大人にとっては、気候変動について考えるならば避けることのできない問題ではあるよね。
なので思考実験としても興味深いテーマだと思います。
ここまで見てきたように，日本における気候変動問題への無関心の根底にあるのが科学的知見の欠如であるようには筆者には思えない。それ以前の問題として，多くの人には科学的知見に目を向けず，科学的知見に触れたとしても受け止めずにやり過ごすことを，無意識にせよ選択させている動機が存在するのではないか。
筆者の仮説は，その動機の根底にあるのは，対策行動の「負担意識」ではないかということだ。つまり，気候変動を対策するためには，個々人が，時間，手間，注意力，快適さ，金銭等の自身の持つリソースを幾ばくか負担する必要があるという観念である。
平たくいえば，地球温暖化を止めるためには，個々人が我慢や経済的負担や面倒な行為や生活レベルの引き下げなどを受け入れる必要があるという認識を多くの人が前提としているのではないかと思うのである。
なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか？(江守正多) - 個人 - Yahoo!ニュース
わりかし納得できるお話ではあるかなあ。
あの時だって、埋蔵金を使ってガソリンが値下がりし高速道路や高校が無料になると思ったから民主党政権に投票したのだ。そして今の自民党政権が続くのもそれは「逆の」理由でしかない。
イデオロギーや理念なんて概ねどうでもよくて、ただただ『実益』を重視する元エコノミックアニマルな私たち。
ある意味で安易に「否定論」に走るよりはまぁ誠実ではありますよね。自分の財布からお金を出してまではやりたくない、なんて正直すぎる。
それこそ共有地の悲劇よろしく気候変動問題も多分に漏れず、フリーライドするのが一番正しいんだから懐疑論なんかで反対するよりもずっと合理的ではあります。
汚いさすが日本人きたない。
上記著者の人は気付いているのかいないのか、こうした海外とも比較しても大きな「負担意識」とが先ず先に来て本気で入れ込めないという構図は、次のような「本質的な関心を持てない」ことへの説明にもなっていると思うんですよね。
では，気候変動問題に本質的な関心を持つとはどんな状態だろうか。筆者が本質的と呼びうるのは，気候変動問題が自身の「人生のテーマ」になるほどの関心の持ちようである。
気候変動のリスクを自身や大切な人たちの生死にかかわるような「実存的な」リスクだととらえた人，あるいは先進国がこれまで排出した温室効果ガスによって発展途上国の脆弱な人々や将来世代が深刻な被害を受けることを倫理的に許容できないと強く感じた人，社会の脱炭素の必要性・緊急性・重大性を理解し，それに全力で取り組むことに人生の意義を見出した人，などがそれにあたるだろう。
欧米にはそういう政治家がいるし，セレブリティ（例えば，俳優のレオナルド・ディカプリオ）もいる。グレタさんをはじめとする気候ストライキを行う若者たちも，おそらく大部分はこのような関心を持っている。
なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか？(江守正多) - 個人 - Yahoo!ニュース
実益を重視する私たちの文化的価値観故に、気候変動問題をそのまま『大正義』として入れ込めない私たちでもあると。
それこそ上記のように理念やイデオロギーといった『正義』を追及するよりも、『実益』を重視することが日本の社会の基本にあるから。
もちろんそうではない人たちも居るでしょうけど、やっぱりそれは例外でしかなく、故に大きな運動の旗手となるようなボリュームにまでは至らない。
図らずも両者の構造について同じ要因で説明できてしまうこの構図というのは、ファリード・ザカリアが言っていた「誠実な文化論は、その社会の成功と失敗の両側面を同時に説明できるものでなくてはならない」という言葉にかなり当てはまる構図だと思うんですよね。
故に当日記の個人的感想ながらそれなりに確度の高い話ではないのかと。
ということで結論としては、現世利益重視な日本人には宗教的情熱に似た『理念』としての気候変動問題への関心を持たせるのは無理だと思うので、
「みんなもう（利益になるからと）飛び込んでますよ？」という認識の方を根付かせることが重要なのではないかと思います。
……どうやってやるのかまでは知らんけど。
実益重視な日本の社会に気候変動問題への危機感を根付かせる為には一体どうしたらいいだろうか。
みなさんはいかがお考えでしょうか？
