分断された相手陣営の中心に向けて「悪人に人権はない!」とさけぶ

まさか2020年にもなってリナ・インバースのマジモンのフォロワーたちが出てくるとは思わなかったよねえ。いや、再始動しているから2020年だからこそ、なのか。



分断進む米社会 憎悪集団が活発化―党派対立、迷う有権者・米大統領選:時事ドットコム
先日書いたやさしくない民主主義の殺し方 - maukitiの日記の続き的なお話。

カラマズーで反対派のデモに参加した地元の白人女性(74)は「両親は第2次大戦ファシズムと戦った。米国で今、ファシズムを支持する人がこれだけいることを恥じている」と語った。一方、プラウドボーイズの集会に参加しようと公園を訪れたカラマズー在住の製造業の男性(44)は「ここに来ている(人種差別抗議デモ)ブラック・ライブズ・マターや(極左集団)アンティファの集団の憎悪に賛同できない」と反対派への不信感をあらわにした。白人の母親と黒人の父親を持つこの男性はかつて民主党支持者だったが、前回大統領選からトランプ氏を支持しているという。

分断進む米社会 憎悪集団が活発化―党派対立、迷う有権者・米大統領選:時事ドットコム

いやあ『分断されるアメリカ』という感じだよねえ。やっぱりハンチントンがナンバーワン!


まぁこうした政治的二極化が必ずしも害をもたらすわけではないんですが、しかし、しばしば、それこそ普段私たちがTwitterなどのSNS上で目にしているようにまぁ相手を「敵」として認識してしまった人たちの振る舞いと言うのはそれはもうアレがアレでアレなわけでしょう。
――敵を悪人だと認識してしまう故に、その正義感のブレーキがぶっ壊れてしまった人たち。
「悪人に人権はない!」なんて。



前回書いた「民主主義を真に支えていた暗黙のルールや非公式の慣習を破壊する」ってまさにこういう構図から生まれるわけですよ。
相手が絶対悪なのだから我々もルールを守る必要なんてないのだ、と。
しかしそうした確信は、目には目をと当然相手の側からも適用されていく。
相手を同じ国民、同じ有権者、なんなら同じ人間ですらないという地平にたどり着いてしまう人たち。
そうなれば後はもう『政治』とは対極にあるだろう殲滅戦しかなくなってしまう。
敵側陣営との関係に、「妥協」や「寛容」をもちだすことさえも裏切りと罵られてしまうようになる。いやあやっぱり本邦でも局所的に見られる見る地獄のような構図だよねえ。


しかもそれは何も有権者間というだけでなく、民主党共和党の政治家たちですら、そういうポジションに収まりつつあるという2020年のアメリカ政治。
【米大統領選2020】 バイデン氏、国民を守り闇を終わらせると 指名受諾演説 - BBCニュース
「トランプは闇」であり「我々は光」なんてちょっと言い過ぎだよねえ。しかしそれを次の大統領候補が臆面もなく言ってしまうという現実。
奴隷問題をめぐってお互いをお互いに「裏切者」「扇動者」と非難しあっていた南北戦争前夜の時代からまるで成長していない人びと。
「この光景こそザ・アメリカだろう(民主主義の限界だろう)」と言ってしまうと、まぁ中国の政治的な反米コメントっぽくなってしまいますけど。
前回もネタにしたロシアや中国によるスピンによってこうなっているならばまだ救いはあるものの、しかし、もし、これがアメリカが避けては通れない必然の展開であるとするならば……。
最も成熟した民主主義国家のアメリカがこうなるなんて、やっぱ民主主義ってクソやな!



政治的二極化が進み、自らを「光」、敵を「闇」と表現してしまうようなアメリカ政治について。
私たち日本では、二大政党制に失敗して久しいわけですけども、はたしてそれは幸運だったのか不運だったのか。


みなさんはいかがお考えでしょうか?