生い立ちぬ

いざ差別せやも。





菅氏は「生い立ち」国会で明らかにすべき? 発言物議の立憲・小川淳也氏、ツイッターで「真意」説明: J-CAST ニュース
「生い立ちこそがその人間を規定する」だそうで。
まぁ正直なホンネとしては単純に反中反韓ネトウヨというだけでなく――少なくとも実際に行動に移したり口に出さない限りはギリギリ内心の自由の範囲ではある*1――こうしてリベラルを自称する側にも割と居るよねとは思っているので、この人だけが図らずも内心を露呈したレイシストだと殊更に批判するつもりはないかなあ。
「私は黒人と差別が大嫌いです」なんて昔からの定番ジョークでもあるわけだしね。

「どういう人間かは、どういう生い立ち、どういう環境かに規定されるんですよ」
「叩き上げストーリーをもし作られているとしたら、それはちゃんと実情を見ないといけない」
小川氏は、2020年9月14日夜放送のBS-TBS番組「報道1930」に出演し、叩き上げとも言われる菅新総裁について、こう持論を述べた。
そして、小川氏は、菅氏が選挙区の神奈川県に地縁・血縁はないと言っているが、亡き父親が、秋田県の地元町議を4期務めたこともあり、比較的豊かな農家だったとの説もあると指摘し、こう続けた。

菅氏は「生い立ち」国会で明らかにすべき? 発言物議の立憲・小川淳也氏、ツイッターで「真意」説明: J-CAST ニュース

現在進行形で、黒人差別についてアメリカであそこまで炎上してしいるこのご時世にそんなことを言ってしまえる正直さがすごいよね。
「黒人という生い立ちがその人間を規定する!」なんて。
生い立ち至上主義者かな?










ともあれ、今回の件のようにしばしば勘違いしている人たちが多いんですけども、相手への批判を行う際にこうやって人種や性別や生い立ちといった『属性』を利用して「○○のせいだ!」というのは『批判』ですらなく、自分が相手のその属性(=今回の場合はその生い立ち)を心底蔑んでいると知らしめる効果しかないんですよね。
――だってその行為や失敗への原因を、そもそもその属性に求めてしまったら、その人自身の資質の問題ではなくなってしまうじゃないですか。
今回の場合で言えば、管さんの生い立ちに原因を求めてしまっては、彼が首相として今後生み出すだろう功罪は自身の資質の問題ですらなくなってしまう。
悪いのは本人の能力の有無ではなく、最早自身にはもう今更どうしようもない『生い立ち』の問題になってしまう。
つまり、彼には責任能力が無いレベルの人間、だということに。
なので批判する意味すら無くなってしまう。
だって幾ら失政をしても、結局は生い立ちのせいなのだから。


一方で、こうしたふざけた論法にも歪んだ利点はあって、つまり、彼自身の責任ではないと言ってしまうのは、同時に、故に本人にはどうあがいても挽回不可能であり最早これ以上論考するに値しない、と相手を自分と同じ対等の人間と見なさず一刀両断するというまぁ大変強い批判の言葉でもあるわけですよ。
だから相手を蔑む手法としては「責任能力ある大人として扱わない」という点ですんごい効果的でもある。
逆説的にこうした論法はリベラルな価値観が普及した現代社会――中世ジャップランドにおいてすらも、かなりレベルの高い差別行為であり、一般には差別主義者と言われてもおかしくない言動ではあるんですけど。
「男だから」「女だから」「中国人だから」「朝鮮人だから」「黒人だから」「生い立ちがアレだから」というカジュアルな差別発言に込められているのは、まぁそうした強い本人の差別意識であり、ひいては相手を同じ対等の責任能力ある同じ人間だと見なさないと侮蔑する発言でもあります。
そしてそんな「人間扱いしない」道の先にあるのは、相手をゴキブリと呼んで……。


なので、今回の件も、相手をこれ以上ないほど強く「批判した言葉」だと理解することはできるんですよね。
その意味では――まさに一部ネトウヨなどもそうするように、やっぱり反アベ的言説だからという理由でこの差別発言に同調する人はいるんでしょうねえ。
単に差別主義者という意味ではなく、相手をより強くなんなら同じ人間扱いしない位に最上級(故にラインを越えた)の強い批判の言葉を使おうとして。
それが意味する所について、深くは考えもせずに。






はたして今回の小川さんは一体どういう内心で生い立ちぬと言ったんでしょうね?
『生い立ち』のせいにすることが本当に批判になると愉快な勘違いしていたのか、
それとも、とにかく相手を激しく批判しようとして越えてはいけないラインを越えた強い言葉を使ってしまっただけなのか。
中の人何も考えてないとかいうとこの日記の意味も無くなってしまうのでマジレス禁止です。



「〇〇のせいだ!」と批判する、愉快すぎる人たちについて。
みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:ただまぁそうした内心が見えない差別構造を生んでいるという議論にも一理あるとも思ったりするんですがここでは割愛。