トランプというよりは、アメリカ民主主義の敗北っぽくなってきたよねえ。
米議会襲撃 65日間の危険信号 - BBCニュース
これはものすごい力作。大統領選挙での敗色濃厚な地点からいかにして、異常な議会襲撃にまで至ったのか。
議事堂を襲撃した実行犯たちの逮捕と起訴も続いている。しかし、暴徒のほとんどはいまだにオンラインで現実とは乖離（かいり）した平行宇宙に生きている。そこは「代替の事実」（かつてトランプ大統領の側近だったケリアン・コンウェイ氏が使った表現）にあふれる、薄暗い地下の世界だ。
トランプ氏は暴動の翌日に初めて、「1月20日には新しい政権が就任する」と認めるビデオを公表した。しかしそれについても、支持者たちは曲解に曲解を重ねている。
諦めたはずがないと。たとえば、あれは本人ではなく、コンピューターが作り出した「ディープフェイク」に違いないと。あるいは、もしかして大統領は捕らえられていて、あれはいわゆる「人質ビデオ」なのではないか、など（訳注：トランプ氏は12日、テキサス州で演説し、議会襲撃前の自分の演説に何も問題はなかったと主張している）。
トランプ氏は最終的に勝つはずだと、まだ信じている人が大勢いる。
根拠となる裏づけはない。しかし、明らかなことがひとつある。
ドナルド･トランプ氏本人がどうなろうと、米連邦議会の議事堂を襲撃した暴徒たちは、そう簡単には引き下がらない。
米議会襲撃 65日間の危険信号 - BBCニュース
ここまで座視していた警察などを批判することはできるものの、しかしまぁかといってそれを未然に防止できたかというと、この記事を見てもあまり思えないかなあ。警察は風邪薬だもんね。
個人的にまとめるならば、陰謀論につける薬はない、という感じでしょうか。
少なくとも僕にはこうした人たちを説得・改心させることはやる気という意味でも能力という意味でも、手に余りまくってしまう。
選挙で負けたと正論を言ってみても、そもそもプロセスを信用していないのだから、その言葉が相手に通じることもない。
だから結局これって信頼性の問題なんですよね。
対抗陣営のしていることのほとんど全てを信用しておらず、故に彼ら彼女らは陰謀論に走る。
まさにそうした土壌があってこそ、トランプ大統領という異端児が誕生してしまったわけだし。
ドナルド･トランプ氏本人がどうなろうと、米連邦議会の議事堂を襲撃した暴徒たちは、そう簡単には引き下がらない
米議会襲撃 65日間の危険信号 - BBCニュース
まさに文末でも述べているように、トランプ氏本人への忠誠や支持とかそういう問題じゃないんですよね。
トランプが始まりなのではなく、少なくとも彼らの一部は「選挙が盗まれた＝民主党支持者たちはそういうことをする人間である」と考えるようになってしまっている、という意識こそがスタート地点である。
信用できない相手の話を完全に聞く気が無くなってしまった人たち。悲しいかなそうした人たちというのは、何もトランプ支持者の側だけに居るわけでもない。
二極化したアメリカ。
まぁやっぱりアメリカだけでなく、本邦にすらちらほら居る人たちではありますよね。
ともあれ、最近の日記でも民主主義成立の為にはきちんとした潔い「敗北宣言」こそが必要だと何度か書いてきましたけども、まぁこうした構図を見ると全くの真逆の方向へ進んでいてげんなりしてしまうんですよねえ。
再び血染めのシャツを振り合うアメリカ人たち - maukitiの日記
2020年にまた来てください、本当に「民主主義が死ぬ」かもしれない瞬間を見せてあげますよ - maukitiの日記
ある程度の危惧はしていたものの、基本的にはそれでも大統領選挙の結果を受けて平和的に政権移行されるとは薄々思っていたはずが、結局はご覧の有様ですよ。
ちなみに『民主主義の死に方』の中でレビツキーとジブラットは、仮に可能だったとしても、トランプを政権途中で大統領を辞めさせるべきではない、と述べていたんですよね。
――何故ならそうした強硬な戦術で政権を引き継いだとしても、より敵対心を煽ることに繋がってしまうからだと。
でも結局はご覧の有様ですよ（二回目）。
正当な選挙を経ても尚、その敵対心と不信感は彼らに選挙が盗まれるクーデターだと叫ぶところにまで行きついてしまっていた不信感。
衝撃走った共和党トップ書簡 トランプ氏弾劾、行方は - アメリカ大統領選挙2020 ［アメリカ大統領選2020］：朝日新聞デジタル
トランプ大統領の罷免求める弾劾訴追 下院で可決 任期中2度目 | トランプ大統領 | NHKニュース
挙句には、その不信感に火に油を注ぎ始めてるっていうね。ツケを払わせるという意味はあるんでしょうけど、個人的には逆効果だと思うなあ。
いやあこれからのアメリカ政治はどうなっちゃうんでしょうねえ。
党派性とその不信感の極致が生む、アメリカ民主主義の危機について。
みなさんはいかがお考えでしょうか？
