対岸のジェノサイド

その価値に見合うものとは一体何か(二回目)


ウイグル女性、収容所での組織的レイプをBBCに証言 米英は中国を非難 - BBCニュース
ウイグル族10万人不妊手術 中国強制?5年で18倍|【西日本新聞ニュース】
ということで最近になって、ようやく、今更、いよいよ、「ザ・ジェノサイド」として評価の固まってきたウイグル問題であります。

中国西部・新疆ウイグル自治区の収容施設に入れられたウイグル族の女性らが、組織的なレイプ被害を受けたとBBCに証言した。この報道を受け、米英などの政府は「深く憂慮している」などと懸念を表明している。

新疆ウイグル自治区の収容施設では、ウイグル族などの少数民族100万人以上が拘束されていると推測されている。

ウイグル女性、収容所での組織的レイプをBBCに証言 米英は中国を非難 - BBCニュース

実際に国際社会()が何か行動できるかというと、うん、まぁ、そうねえ。
中国に足元を見られている私たち - maukitiの日記
対岸のクーデター - maukitiの日記
前回日記でも書いたように、そのジェノサイドが『中国との決定的対立』に見合うほどのモノかという確信=覚悟が持てない私たち、故に放置されてきた問題でしょう。



一方で本邦で森元首相のバカげた発言の炎上が止まらないそうで。
五輪組織委の森会長、性差別発言で「謝罪」 辞任は否定 - BBCニュース
「黙るもんか」森氏辞任求めJOC前でホウキデモ 女性蔑視の「粗大ゴミを掃く」 - 毎日新聞
別に彼の発言を1ミリも擁護するつもりはないんですが*1、ここで面白い相似形となっているなぁと思うのは、まさに森首相の妄言を事実上容認していることが批判されている私たち日本人についての(それ自体はまったくの正論である)言葉が、ほとんどそのままウイグルのジェノサイドを見る私たち日本人な構図でも同様になっている点だと思うんですよね。


この言葉には概ね同意するしかないと僕も思うんですよね。
(別に森さんの女性蔑視より、ウイグルのほうが重要だとかダブルスタンダードだとか言うつもりはないです)
――しかしこの言葉が刺さるのって、ほとんどそのままウイグルでの「問題を事実上黙認している」「どうせ常任理事国だから中国への非難決議がまとまらない」と冷笑している私たちでもあるんじゃないかと。


森さんの擁護しようのない女性蔑視発言に、自己利益のために擁護する人たちや冷笑家たちが一番悪いと非難しているように、
まったく同様に、中国の擁護しようのない人道に対する罪に、自己利益のために擁護する人たちや冷笑家たちが一番悪いのではないだろうか。
一番悪いのは中国としても、しかしジェノサイドが行われているのを事実上黙認あるいは中国の内政に干渉できないからと諦めている冷笑家たちの責任は一体どれほどあるのだろうか。




かくして、不正を放置する冷笑家にはなりたくないリベラルな私たちは、この対岸で行われているジェノサイドに対し、実際にどのような行動を起こせばいいのかという問題に直面することになる
森元さんならば話は概ね簡単なんですよ。彼を辞めさせればいい。
では、安全保障理事会常任理事国である中華人民共和国に対して、一体どういう行動を採るべきなのだろうか?
中国も常任理事国を辞めさせられることができるなら話は簡単だったのにね。
でも絶対にそうではないでしょう。


トランプのように、ビザ厳格化や中国企業製品排除でもすればいいのだろうか?
例えば、もうすぐ私たち日本でも東京オリンピックが行われます(予定)けども、そこで中国の参加を排除すべきなのだろうか?
ここでひたすら皮肉で面白いのは、おそらく、ここ最近の全世界を見渡して主要国でおそらく最も中国に対して言葉だけでなく『実際に』厳しい行動を採ったのがそんなトランプだという点だよねえ。次点でオーストラリアとカナダあたりか。
人権侵害に制裁、議員立法目指す動き 回避を促す政府:朝日新聞デジタル
……日本は言わずもがなであります。

 日本の現行法には、人権侵害だけを理由に制裁を科す規定はない。国連安全保障理事会の決議などがあれば制裁は可能だが、日本が主体的に人権侵害への制裁を発動するのは難しい。

人権侵害に制裁、議員立法目指す動き 回避を促す政府:朝日新聞デジタル

であれば、私たちは実際にどのような行動を起こすべきだと日本政府に要求すべきなのだろうか?
ジェノサイドの疑惑がここまで高まっている以上、その要求は当然それだけ大きなモノになるべきである。
ビザの厳格化?
中国製品の排除?
更には中国との断交まで?
一昔前に見ていた反中ネトウヨなポジションそのまんまでクッソおもしろいよねえ!
『歴史の正しい側』に居たのはネトウヨたちだったのか?



みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:穏健的進歩主義な個人的には、この問題は世代が進めば徐々に解決――もちろんそれが遅いか早いかという問題はある――していっていると思っていて、その意味で、以前も書いたようにこの80を超えた老人が最高責任者になっていることが一番の根幹であると考えています。