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帝国の終焉?

一周回って、にほんがつんでる!


Niall Ferguson: A Taiwan Crisis May End the American Empire - Bloomberg
ということで前回通常日記でも触れたニーアル・ファーガソンの論考記事に衝撃を受けたのでもう少しだけ。

Berlin was talking about writers. But the same distinction can be drawn in the realm of great-power politics. Today, there are two superpowers in the world, the U.S. and China. The former is a fox. American foreign policy is, to borrow Berlin’s terms, “scattered or diffused, moving on many levels.” China, by contrast, is a hedgehog: it relates everything to “one unchanging, all-embracing, sometimes self-contradictory and incomplete, at times fanatical, unitary inner vision.”

Niall Ferguson: A Taiwan Crisis May End the American Empire - Bloomberg

アイザイア・バーリンの作家についての有名な著作である『ハリネズミと狐』を引用して、彼は現在の米中を「守るべきものが多すぎるアメリカ」と「台湾を最重要問題と位置付けている中国」と話している。
そしてその両者が戦うことになると……。



ここで個人的に歴史の韻として興味深いのは、この状況って両大戦前夜のイギリスそっくりな構図な所だと思うんですよね。
――いやまぁ守るべきモノの多い覇権国家と、そうではない挑戦者、という国際関係論では人類史では永遠に変わらないだろうとされる構図でもあるんですが。
ドイツの膨張を見て、海外の帝国領土防衛を優先させるのか、あるいはイギリス本土の防衛を優先させるのか、という難問に直面したイギリス。
その難問に1910年代と1930年代の二回も直面したという点で割とギャグのようなお話でもあるんですけど。
しかし、どちらにしても1912年にチャーチルがエジプトではなくイギリス本土防衛の為にマルタ艦隊を北海に戻すという決断をしたとき、ドイツとの戦争の勝利と引き換えに、イギリスという世界帝国の終焉の始まりとなった。その後退は1930年代の第二次大戦でも同様に進み(これは私たち日本もまったく他人事ではなかった)、最後にはスエズ危機で完全に帝国は終焉を迎える。


かくして50年ほど掛けて「守るべきモノが多すぎた」イギリスは、徐々に海外領土を諦めていき最後には次の世界帝国たるアメリカにトドメを刺されれることになった。
いやあ色々示唆的ではあるよねえ。
はたして、アメリカが防衛すると明言している『台湾』も、そうした事例の歴史の1ページとなるのだろうか?


現代のアメリカが世界帝国たる所以となっている、東アジア・中東・東ヨーロッパに展開しているアメリカ軍たち。
もちろん全軍で戦えば、少なくとも「今はまだ(ここ重要)」アメリカが勝つのは間違いない。
ところが守るべきモノが多すぎるアメリカは、それを集中するということは別のどこかを諦めなくてはならない。
本当に、そんな決断できるの???
少なくとも上記イギリスの事例では、そうした決断には大きな反発があり、だからこそそれでも決断し国を救ったチャーチルが英雄扱いされているわけで。
現代アメリカの政治家たちは、核保有国同士の戦争を回避しアメリカ本土を守ろうと、チャーチルの決断に比肩する決断をすることができるのだろうか。


まぁそうしたレッドライン詐欺な決断がされるということは、身も蓋もなく台湾が見捨てられるということであり、「明日は我が身」な私たち日本国民でもあるんですけど。
そして一方で、アメリカが「台湾を絶対に見捨てない」という決断をするということはつまり……。
うーん、にほんつんでる。


もちろんここで私たちの(中国以外の)誰もが満足する結果というのもあって、それは中国が台湾への武力統一という選択肢を諦めるという未来である。
まさに今のアメリカがそうしているように「台湾は絶対に見捨てないぞ~!」という強力なメッセージを発信しまくればそうなる可能性もあるかもしれない。

As a student of history, to quote Kissinger, I see a very dangerous situation. The U.S. commitment to Taiwan has grown verbally stronger even as it has become militarily weaker. When a commitment is said to be “rock-solid” but in reality has the consistency of fine sand, there is a danger that both sides miscalculate.

Niall Ferguson: A Taiwan Crisis May End the American Empire - Bloomberg

しかし、ニーアル・ファーガソンは言葉だけが強くなっていて、むしろ軍事的コミットは弱体化し不安定化しているとも指摘しているわけで。それこそ対戦相手である中国は、逆に血を流さすにアメリカが撤退してくれれば万歳ということで、こちらと逆方向に同じように考えているのも間違いない。
そうした両者の思惑から、悲しいかな、専門家の意見としては現状維持が続くという可能性はあまり高くない。
はたしてアメリカが『帝国の終焉』を決断せざるを得ない状況はやってくるのか。


やっぱり私たち日本としては、ことその決断がされる状況に陥ってはどう転んでもネガティブな影響しかないというハラショーな立場にいるんですけど。
でもそれも仕方ないよね。
だってアメリカという世界帝国の庇護下において、おそらく世界でも最も恩恵を受けぬくぬくとしてきたヘイワシュギな日本だもの。それが無くなってしまった時に一番大きなダメージを受けるのも道理であります。



アメリカ帝国の終焉について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?