人間社会のどこにでもある「お前の態度が気に入らない」という無敵の論理の極北にあるもの

よーし、みんなで一緒に「いっせーのっせ」で核兵器を捨てようぜ! 裏切るなよ! 絶対に裏切るなよ!!1



【拝啓 議員様】核廃絶 なぜ進まない?問い続ける若者たち ぶつかった「与党の壁」(HOME広島ホームテレビ) - Yahoo!ニュース
うーん、これは素晴らしい活動!
やっぱり未来を変えるのは若者なんだよなあ。
『核なき世界』を冷笑する奴らはだまっとれ!





ただまぁそれだけ書いても日記ネタにはならないし、嫌々ながらも仕方なく渋々に敢えて苦言を呈するならば、ワザとやってるのかあるいは天然なのか、「核兵器廃絶はなぜ進まないの?」「核兵器禁止条約に賛同していますか?」という二つの問いを混同しているのはあんまり誠実ではないよね。
それって厳密にはイコールではないでしょう。
核兵器禁止条約に賛同することと、核兵器廃絶が進むことは、悲しいかな未だ証明されていない別の問題である。
まぁ前者をすれば後者が実現できるという主張することは、錯誤を狙ったりポジショントークとしてするなら一つの戦略だとは思いますけど。でもやっぱり誠実な議論ではないよね。
「恋と戦争は手段を選ばず」というのであればやっぱりそれはそれで一つの考えた方だとも思いますけど。


ともあれ、だから個人的には、正直ここに出てくる議員たちが質問に対してなんで言葉を濁しているのがよく解らないんですよね。

核兵器禁止条約に賛同していますか?」

「保守王国」広島の自民党議員にも問いかけます。彼らは「核廃絶を呼びかける」としながらも、政府が条約に反対していることもあり、歯切れが悪いようです。

問い続けることで、政治を変えることはできるのか。彼らの活動から見えてきたこととは。

【拝啓 議員様】核廃絶 なぜ進まない?問い続ける若者たち ぶつかった「与党の壁」(HOME広島ホームテレビ) - Yahoo!ニュース

そんなの「現状で核禁条約に参加しても核廃絶が進みそうにないので、反対しております」でいいじゃんね。
条約ができて核兵器が無くなるならば話は簡単だった。
しかし悲しいかな、お隣の北朝鮮の核開発騒動を利害当事者としてこれまで見てきて嫌でも解ってしまったように、あるいはミクロな私たちの個人生活ですらそうであるように、法や条約で禁止されたからと言ってその理想通りの世界になるわけでは絶対にない。
そうだよね、わるものはみ~んなよのなかからいなくなればいいんだもんね。




さて、その上でなぜ彼らはそうしないかというと、まぁ結局はその条約に関わる相手を信用していないから、という身も蓋もない理由にたどり着くことになる。
国家安全保障という国民の生命財産が掛かっているのに、1ミリでも疑わしい相手を信用することなんてできない、と。


その意味で言えば、実は『核廃絶』も『核保有』も、両者はどちらも同じ事を言っているんですよね。
つまり、核兵器があった場合・核兵器が無くなった場合、そのどちらも過誤を犯した際の致命的リスクについて心配している。
一方は核戦争のリスクを。もう一方は一方的に核攻撃されるリスクを。
そしてこちらも両者は等しく、どちらも相手の理性や正気を究極的には信用していない故に、核廃絶しようとするし、核を絶対に手放すまいとする。
だからこの核兵器をめぐる構図って表裏一体なんですよ。

  • 保有国の理性と正気を信用できない故に、万が一の核戦争を回避するために核廃絶を呼びかけるのは当然の帰結である。
  • 保有国の理性と正気を信用できない故に、核廃絶というお題目に騙されずに核兵器を開発し手放すまいとするのは当然の帰結である。


何を言っても根本的に相手を信用していないので、話し合いが不可能な構図。
こうした「相手の態度が気に入らない・信用できない」からという事実上無敵の論理で席を蹴ることは、まぁ悲しいかな私たち人間社会ではありふれた光景であります。それを言われてしまったらぐうの音もでなくなってしまう。
ミクロな私たちの個人的生活だったら距離を置いて他人として生きていけばそれでいいんですよ。
しかし国際関係となるとそうはいかない。




安倍政権のもとで改憲「反対」58% 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル
実際、本邦でもそういう無敵の論理を持ち出されてしまうのは、安部政権時代にはそういうの一杯ありましたよね。
「安倍政権での憲法改正は反対である」なんて。
韓国の原子力学会 処理水の海洋放出「韓国への影響はわずか」 | 福島第一原発 処理水 | NHKニュース
あるいは東電や日本政府がやることは根本的に信用していない、という人たちも同様に。
別にそれが良いとか悪いとか批判するつもりはなくて、悲しいかな認めざるをえないことに、確かにその理屈には一定の説得力があるんですよ。
それを言い出したら議論がまったく進まないだろうと言うのもド正論なんですけど。


それをする政治家や政府や機関や国連といった相手そのものを根本的に信用していないので、幾ら言葉を尽くされようが拒否をする人たち。
おそらく、アメリカと中国やロシアや北朝鮮など、それぞれのお互いへの信用としては上記アベや東電より低いわけでしょう。


ということで、敢えて話を矮小化するならば、この核廃絶の問題を解決するのに必要なことって割と単純ではあるんですよね。
「相手が信用できない」からと核兵器を手放すことを拒否する国々、アメリカや中国やロシアや北朝鮮イスラエルや(イランや)英仏やインドやパキスタンなどを、それぞれお互いを無条件に信用できるようにするだけ。
お互いに信用できればいっせーのっせっ! でみんな核を捨てられる。
その契約が成立しないのは、本質的に相手を信用していないから他ならない。
まさに私たち日本人自身も、中国や北朝鮮やロシアの言葉をそのまんま信じられないように。あるいはアメリカの言葉をそのまんま信じられないように。



大前提としてお互いに相手の誠実さを信用していない故に、契約に合意することを拒否し膠着状態に陥る人間たち。
う~ん、控えめにいって人間ってクソなのでは???
この不信感の連鎖を解決できる方法などあるのだろうか?
もしかして:ニュータイプ




核兵器禁止条約 来年1月に締約国会議 核軍縮機運 高められるか | 核兵器禁止条約 | NHKニュース
もしかしたら、今は中身スカスカでも締約国会議でそうした「信頼性を確保できる方法」あるいは「例外規定の無い強制力を持った罰則」ができるかもしれないね。
そうすればお互いを信用しなくても、罰則があるからと行動を制限することができるから。
会議でそれが実現できるのであれば、僕はもちろん賛成します。
だれが、どうやって、罰を与えるのかは知らんけど。
でも誰かがそんな叡智を思いつくかもしれない。がんばれ賢い若者たち。


「お前の態度が気に入らない」と無敵の論理で提案を拒否する構図について。
そしてその極北にあるだろう核廃絶問題について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?