あなたは記者を信じますか?

そしてその先にある「現代社会におけるメディアの価値は」という深淵へ。




テニス大坂選手、全仏では記者会見に応じないと表明 精神的負担と - BBCニュース
大坂なおみさんの記者会見拒否宣言が話題になっているそうで。
「大坂なおみは記者会見の“膿”をさらしてくれた」英スポーツ記者が自省も込めて綴る | 「私たちは、いい奴らなんかじゃない」 | クーリエ・ジャポン
おかしな質問に涙、怒り… テニス選手と記者会見 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
色々と批判されていますけども、個人的には「反なおみ」よるは「反メディア」なポジションに近いかなあ。
この批判された構図って――グレタさんの時にもあったような――生意気な小娘に上からお説教ムーブはもちろんあるとして、同時にまた「記者会見は無意味」とされたことに怒る人たちの反発な構図もあると思っていて、だからこそ個人的にはいいぞもっと言えポジションではあります。
そうした、SNSを上手く使い意見表明をしている時代の寵児大坂なおみさんが、こうした批判をされているのは現代社会を良く現しているニュースだよね。

テニスの大坂なおみ選手の会見ボイコットと全仏オープン棄権を受け、英紙「ガーディアン」のスポーツジャーナリストが自省も込めて綴る。低俗な質問で若い選手を餌食にする記者会見の問題点、それを直視せずに大坂を非難する旧態依然としたメディアは自滅へと突き進む──。

「大坂なおみは記者会見の“膿”をさらしてくれた」英スポーツ記者が自省も込めて綴る | 「私たちは、いい奴らなんかじゃない」 | クーリエ・ジャポ

 記者会見を拒否して1万5000ドル(約160万円)の罰金を科され、さらに今後のグランドスラムで出場停止になる可能性もあると言われた大坂は、試合後の会見では「落ち込んでいる人間を踏みにじる」ような質問があると話した。

 さらに大坂は、ほぼ3年にわたって「うつの症状」に苦しんでいることも明かしている。では、会見に不安を感じているのは大坂だけなのだろうか。

おかしな質問に涙、怒り… テニス選手と記者会見 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

本邦でも繰り広げられる空気読めないアホみたいな質問、をする記者が居るのが日本社会だけじゃないなんて。
良かったバカなのは日本の記者だけじゃなかったんだ。
記者がバカなのは――、あるいはそんな記者の質問を楽しみにしている視聴者が居るのは、中世ジャップランドだけじゃなかったんだ。




まぁそうした「記者会見に価値があった」という時代があったのも、確かにその通りなんですよね。ミクロな個人の声を広く届けるには、新聞やラジオやテレビなどのマスメディアの力を借りるしかなかった。
かつて活版印刷が生まれるまで、本の知識がごく一部の持つ特権でしかなかったように。
――しかしグーテンベルクがそれを変えたように、現代社会でもSNSの発達はその独占構造を終わらせつつある。
その意味で、これまで不愉快な質問にも我慢をするといった『不公正な取引』を強いられてきた人たちが反発するのも当然の帰結でしょう。


そしてそれとまったく逆の立場から、自分たちの特権的ポジションを守ろうとする人たちの反発も。

記者として、幾千ものこの種の中身のないお勤めに同座し、その過程で幾度となくこの世の終わりに思いを馳せた者として言わせてもらうなら、私の最初の反応は共感しかなかった。ところが世間では、意外にも非難と激高の大合唱なのである。どうやら大坂の発表は、強烈な反感を買ったようなのだ。

一部の人にとって記者会見は神聖なる生きがいだったわけだ。たとえ自分たちの命を失っても、アスリートに「今日、あの瞬間はどんな気持ちだったのですか」と質問できる機会だけは絶対に守り抜くぞ、と言わんばかりに。

「大坂なおみは記者会見の“膿”をさらしてくれた」英スポーツ記者が自省も込めて綴る | 「私たちは、いい奴らなんかじゃない」 | クーリエ・ジャポン

だから今回の件って単純に大坂なおみさんの個人的問題にとどまらず、「個人所有されるようになった新興の発信手段」と、「既存勢力であるメディアの独占的権益」の相克という、形を変えつつも韻を踏み幾度も繰り返されても来た歴史の進歩という面白いテーマを孕んだニュースを私たちは見せられているのかもしれない。




ということで本邦はマスメディアの古典的権益を打破しようとする大坂なおみさんを応援しています。
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他にもBLMを訴えることで『政治的中立』をドグマにしたオリンピックの商業主義をぶっ壊そうとしたりと、彼女は本当にロックな人だよねえ。
単純に優秀なテニスプレイヤーという枠を超えた、よっぽどの大人物なんじゃないかって最近思ってます。


みなさんはいかがお考えでしょうか?