「これがメンタリズムです」

「人にやさしく」と生きてきたはずの私たちの恥ずべき内心を看破しているのか。あるいはただバイトテロな動画をSNSにアップして喜んでいるだけなのか。



メンタリストDaiGo氏、ホームレスの人への差別発言で「炎上」 | 毎日新聞
というこでメンタリストな人が大炎上していたそうで。
まぁ自称リベラルなポジションとしてはきちんと日記ネタにしておくべきなのかあとも思うので適当日記。
ていうか初めてこの人の名前を見た時にも思いましたけど、リアルにメンタリストって名乗っちゃう人マジでいるんだと逆に感心しちゃうよね。次からは「邪王真眼の使い手」とか名乗ればいいんじゃないかな。

 発言があったのは、8月7日にユーチューブでライブ配信された動画。視聴者の質問に答える内容だった。

 DaiGo氏はホームレスの人について「自分にとって必要の無い命は僕にとって軽いんで。だからホームレスの命はどうでもいい。いない方が良くない? 邪魔だしさ。プラスになんないしさ、臭いしさ。治安悪くなるしさ。もともと人間は自分たちの群れにそぐわない、群れ全体の利益にそぐわない人間を処刑して生きている。犯罪者を殺すのだって同じ」と述べた。

 また、生活保護受給者に対しては「生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい」「生活保護の人が生きてても僕は別に得しない。猫は生きてれば僕は癒やされる」などと語った。

メンタリストDaiGo氏、ホームレスの人への差別発言で「炎上」 | 毎日新聞

うん、まぁ、そうねえ。優生思想*1ネオリベな論点としては割ともう批判されまくっているので、今更僕がユニークなことを何か言えることもないんですが。


――ただ、「どうでもいい」と「居ないほうがいい(処刑した方がいい)」って、決定的に次元が違う態度だよねえ。
一見両者は相手に対して価値を認めていない点で地続きであるものの、しかしその『無関心』と『排除』は行動のレベルとしては絶対に隔絶しているし、なんならその境界こそ現代世界に生きる文明人としての我々が、良識として共有している『越えてはいけない一線』である。


ここで解っていながらその違いを敢えて曖昧にボカすことで肩書通り『メンタリスト』しようとしているのか、あるいはただ単にバカなだけなのか。
……個人的にはネットの玩具になっているのでタイトルの台詞くらいは知ってしますけども、実際にはこの人の活動をまったく見たことないので判断できないかなあ。
もしこの人がガチのマジで人の心を操ることに長けているなら前者はありそうだし、あるいはただただ大げさなことを言ってバイトテロをする若者のような炎上商法しているだけなのか。
メンタリストDaiGoに詳しいみなさんはいかがお考えでしょうか?







さて置き、ここでもし前者だとすれば、まぁ確かに今回の炎上事件も割とよくできていると評価できてしまう面はあるんですよね。
――つまり、「どうでもいい」と「居ないほうがいい(処刑した方がいい)」は行動レベルとしては決定的に違う次元で隔絶していると上記では書いたものの、やっぱり意識としてはそれはかなり地続きで連続性があることも間違いないわけで。


ぶっちゃけてしまえば、彼をこうして一斉に批判している大多数の『善人』な私たちも、多かれ少なかれ彼と同じようにホームレス(あるいは生活保護な)人たちを「どうでもいい」と思っているのは間違いないんですよ。
もちろん良識ある我々としては、ネコチャン……とは口に出しつつも、ホームレスを処刑しろやどうでもいいとも公では絶対に口に出さない。
しかし悲しいかなその私たちが隠しておきたい身も蓋もない実際の内心については、まさに現状の日本社会そのものが証明してしまっている。
生活保護を貶める態度や、ホームレスを見えない人間扱いする私たち。*2
ただそれって絶対に日本に限った話ではないので、今回の件で殊更に日本特殊論を唱える愉快な人たちにもウンザリしてしまうんですが。


そうした我々の隠しておきたい恥ずべき内心について、敢えて大げさにその偽善性を指摘することでスッキリ!した人たちの「いいね!」を稼いでいる。
――という構図なのだとしたら、まぁ素晴らしく原作の『メンタリスト』に倣った詐欺師の態度だとは思います。
まさに霊能者を騙ってお金を稼いでいた主人公ソックリだよね。こっちの方がずっと悪質ではありますけど。


ただバカなだけなのか、あるいは本物の『メンタリスト』なのか。
はたして彼はどちらなのでしょうね?
 
 
 

*1:今回の件は優生思想とはちょっと違うと思いますけど。

*2:だからこそ個人的に、そうした不公平感や無関心さといった反対意見を全員支給という力技で突破できるBI支持者でもあります。