ヨーロッパ人は今度こそ『ミュンヘン会談』の歴史のifの夢を見れるだろうか?

今度こそウクライナを犠牲に平和を買うことはできるだろうか?


UK unlikely to send troops if Russia invades Ukraine, says defence secretary | Ukraine | The Guardian
ということで先日の日記「ヨーロッパの平和」を目指した人たちの覚悟が問われるときがやってきた - maukitiの日記に続いて、尚も我々オタクの興味を引き続けているロシア―ウクライナ情勢日記ではありますが、最近のそらそうなるよねニュース。

It is highly unlikely that Britain or its allies will send troops to defend Ukraine if it is invaded by neighbouring Russia, the defence secretary, Ben Wallace, has said.

UK unlikely to send troops if Russia invades Ukraine, says defence secretary | Ukraine | The Guardian

ウクライナNATO加盟国ではないので軍は派遣しないよ」
まぁ正直と言えば正直だよね。
できもしないことを嘯くよりはずっと誠実かもしれない。身も蓋もないと言えばその通りなんですけど。




一方でそんなイギリスの正直さと身も蓋のなさというのは、
いつまでたってもミュンヘンの悪夢が忘れられない - maukitiの日記
ミュンヘン会談の二の舞を演じないために - maukitiの日記
かつてのあの歴史に燦然と輝く(同様に全く準備をしていなかったので融和政策をするしかなかった)『ミュンヘン会談』の構図をどうしても彷彿とさせるんですけども。
歴史が韻を踏んでいてクッソ面白いよね。

こうした構図における歴史の教訓がやっぱりあの有名な『ミュンヘン会談』になるんでしょう。
それはあのヒトラーに対する宥和政策が失敗だったというわけではなくて、そこに至ってしまったこと自体が、そしてそうした『宥和』以外の選択肢が事実上なかったことこそが、(特にイギリスにとっての)あのミュンヘン会談の失敗の歴史として語られるわけです。ドイツに屈服したことが悪かったのではなくて、そこから得るべき真の教訓とは「何の準備もせずにそこに至ってしまった」ことにあるのだと。

ミュンヘン会談の二の舞を演じないために - maukitiの日記

クリミアの時は、まさかこの現代世界で領土獲得なんてこと現代人たる私たちの大多数は夢にも思っていなかったのでセーフとしても、
それ以来ロシアはずっと国境に軍を並べて圧力をかけ続けてきたのに、今になっても「何の準備もせずにそこに至ってしまった」あの時とまったく同じ有様になっているのは笑えないよねえ。
まさか大戦争の準備なんかできるはずがない、という当時の私たち市民の意識も同様なので、やっぱり無能な政治家たちだけの問題でもないんですけど。
しかしそうした「平和を愛し確信する素朴な市民たち」の足下と間隙を巧妙にロシアや中国に突かれているのが、2021年の現代世界であるのも間違いない。
こちらもやっぱり歴史が韻を踏んでいてクッソ面白いです。




ともあれ、でもまぁ個人的には今回の「ウクライナ割譲」はヨーロッパの平和を買うにあたって割と分の良い賭けだとは思うんですよね。
G7、ロシアをけん制 ウクライナ侵攻なら「重大な結果と厳しい代償」伴うと - BBCニュース
ロシア、ウクライナ情勢の緊張緩和のため条件提示 - BBCニュース
ロシアが求めているのは徹頭徹尾、自国を守るための緩衝地帯でもあるわけだし。
さすがにプーチンヒトラーほど狂人ではないでしょう……たぶんね……おそらく……いや、きっと……。
現状のように狂人理論の如く、戦争も辞さない態度を示しウクライナを混沌に叩き込むことでNATOEU加盟機運を凍結し続けることができるのであれば、少なくとも大目標にとっての一定以上の成果を得ることができるから。
その場合ヨーロッパにとって問題なのは、確実に次のターゲットになるだろうバルト三国ポーランドの反発でしょう。
彼ら彼女らを脅すか宥めすかすことに成功すれば、今度こそ『ミュンヘン会談』の歴史のifを見ることができるかもしれないと思うんですよね。いつまで経ってもあの使い古されたネタをついに一発逆転するチャンスなんや! 
まぁそのままズルズル言って「何も成長していない……」オチになるのかもしれませんけど。



チェコスロバキアでは失敗したものの、今回のウクライナでは成功するかもしれない。
まぁまったく同じ構図で圧力を掛けられている当事者である私たち日本人にとっても無視できない重要なテーマだよね
ミュンヘン会談は、融和政策は、実際に平和を買うことが出来るのだ! なんて。
台湾は幾らで売れるのかな???


80年前の私たちと同じく、現代に生きる平和を愛するみなさんはいかがお考えでしょうか?