防人たちの逃避行

この世に生きとし生ける人間全てに人権があるのならば、ロシア人もウクライナ人も救われますか?
 

抗議デモ・招集ミス・国外への脱出、部分的動員で始まった混乱 ロシア(1/2) - CNN.co.jp
動員令の混乱、ロシア国内外に 国境で“脱出渋滞” 拒否する国も | 毎日新聞
「動員は部分的」本当に?疑うロシア国民、続々脱出 EUは保護議論[ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
ということで「事実上の」動員が始まったらしいロシアで脱出が相次いでいるそうで。

 ロシアのプーチン大統領が出した部分的動員令を受け、混乱が国内外に広がっている。ロシア国内の徴兵事務所が襲われる事件が相次ぐほか、フィンランドジョージアグルジア)との国境では国外脱出を目指す車列で渋滞が続く。周辺国でもロシア人の受け入れ拒否を検討する国がある一方、「難民として受け入れるべきだ」との声も出ている。

動員令の混乱、ロシア国内外に 国境で“脱出渋滞” 拒否する国も | 毎日新聞

 ウクライナ侵攻の兵員補充のためプーチン大統領が命じた予備役兵の動員を逃れようとする人々が、ロシアから出国を急ぐ動きが止まらない。制裁で行き先が限られた国際便のチケットは早々と売り切れ、陸路での脱出を強いられる人も多い。欧州連合EU)内でも政治的迫害を受ける難民に準じて保護すべきだとの声が出るが、議論は難航しそうだ。

「動員は部分的」本当に?疑うロシア国民、続々脱出 EUは保護議論[ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

うん、まぁ、そうねぇ……。
本邦でも平和主義にガチな人たちが「戦争になったら逃げればいい」という大前提からウクライナを批判するという愉快な光景が繰り広げられておりましたけども、まぁそのポジションで言えばこうしてロシア人たちが逃げようとしているのは、そんなユニークで歪な『平和主義』に則った行動なのかもしれないね。


ともあれ、上記ニュースでも言及されているように一体ロシア以外のどの国が彼らを保護=権利を守るのか、という大問題に直面することになるわけで。
今占領されていたウクライナで見せられているような人権侵害の光景だけでなく、リベラルな私たちが普遍的権利だと信じているはずの『人権』のあられもない実態が、そのウクライナの反対にあるロシアでもまた一つ。
緊急事態では、私たちの生命財産や権利は結局のところ自国政府しか守ってくれない。
もし、それを自国政府が守ってくれないのであれば……。
という現代世界のあられもない姿がここに。寒い時代になってしまったよねえ。


そうなるとどこまでいっても他国政府の不安定な民意に拠った『善意』に頼るしかなくなってしまう。
――「戦争相手」であるロシア人たちはその善意を期待することができるだろうか? なんて。
まぁこの辺はヨーロッパがここ十数年ずっと議論してきたお話ではあるんですよね。北アフリカや中近東から逃れてきた人たちを、どこまで守り、その権利を擁護していくのか。そして未だに答えは見出せていない。

今年6月にはスペインの極右政党「VOX(声)」に向けた激しい演説で、自分にとっての優先事項を列挙。「自然な家族に賛成、LGBTロビーに反対、性的アイデンティティーに賛成、ジェンダー思想に反対(中略)イスラム主義暴力に反対、強固な国境に賛成、大量移民に反対(中略)大きい国際金融機関に反対、ブリュッセルの官僚に反対!」と述べた。

イタリア総選挙、極右政党が勝利 - BBCニュース

その帰結の一つが、その移民問題の最前線であったイタリアでの(極)右派政権の台頭でもあるんですけど。


侵略されているウクライナ人たちが自らの権利を守る為に戦い、
侵略している側のロシア人たちが自らの権利が守られないと逃げようとしている。
そしてこの物語の始まりが、「ウクライナ国内のロシア系住民の保護のための特別軍事作戦」である、というこれ以上ない程歪な世界について。


みなさんはいかがお考えでしょうか?