ウクライナ人の生命の重さは何グラム?

ポーランドでは数人死んだだけで第三次世界大戦が危惧されるくらいなんですけど?


ポーランドにミサイル着弾で2人死亡、ウクライナ防空が原因のようとポーランドとNATO - BBCニュース
着弾は「ウクライナのミサイル」 ポーランド大統領「不幸な事故」―NATO域内初、2人死亡:時事ドットコム
ということでポーランドにミサイルが落ちて大騒動だそうで。

バイデン米大統領やスーナク英首相をはじめ、複数の西側首脳がポーランド政府と直接やりとりをした。バイデン氏はNATOのストルテンベルグ事務総長とも協議したという。

アメリカ、イギリス、欧州連合EU)、スペイン、ドイツ、カナダ、フランス、日本、オランダの首脳が急きょ集まり、情勢を協議。ホワイトハウスはこれを「緊急ラウンドテーブル」と呼んだ。

ポーランドにミサイル着弾で2人死亡、ウクライナ防空が原因のようとポーランドとNATO - BBCニュース

すわ第三次世界大戦ですよこれは。
――といっても徐々に報道が進む中で、割とウクライナ側の迎撃による副次的被害というのが最も可能性の高いシナリオという所に落ち着きつつあるそうで。
ここから更にウクライナ側の態度や、ロシアからのフェイクニュース的な扇動の問題が色々あったりするんでしょうけど、まぁとりあえず直近の危機は回避されたという事に安堵しておけばいいんじゃないかな。おわり。世界は平和に……はなってないけど我々の平穏と安眠は守れたのだエンド。



ともあれ、でもまぁ今回の件はその責任の所在がウクライナがロシアかという基本的な構造を越えて、より身も蓋もなく我々が共有している暗黙の大前提を浮き彫りにしてしまっているのはまぁ皮肉なお話だと思うんですよね。
つまり、ウクライナ人の生命は何千何万とどれだけ失われても何も変わらないが、その国境の反対側のポーランドではたった数人の生命が危険に晒されると話はまったく変わってくる。
それは単に欧米側が確信しているだけではなく、侵略している側のロシアですらも自明の論理として共有する。
国境の「あちら」と「こちら」というだけで生命の価値がこれだけ違うと言うのは、まぁ宇宙船地球号に乗っている我々としては認めがたい血も涙もない事実でしょう。
それはもっと言えばどの政府がその国民の生命財産を守るのかという国籍の問題でもあるし、そして更にはその政府がどの軍事同盟に属しているかという安全保障の問題でもある。
まぁこんなの選択の余地はないよね。やっぱりNATOがナンバーワン!
巨大な軍事力と、もっと直裁に言えば『核兵器』による脅迫の有無こそが、その両者の生命の重さという運命を決定的に分っている。
ウクライナの両側にあるロシアとポーランドの二つの国がこうして守られているのにも関わらず、しかしウクライナはそうではない。
まぁその文脈で言えば確かに『核なき世界』が実現すれば、両者の声明の価値は確実に等しくなるのも事実なんですよね。ポーランド側に立つ人がそれを望むかどうかはまったく別問題なんですけど。そしてそのことがほとんどそのまま核保有国側の正当化の論理でもあるんですけど。

  • 幸いかなポーランドの彼ら彼女らはその生命の価値は、NATOの存在によって常に天秤の反対側に第三次世界大戦の危機が載せられるほどに、重い。
  • 悲しいことにウクライナの彼ら彼女らの生命の価値というのは、吹けば飛ぶような西側からの支援によってギリギリ守られている程度には、軽い。


それは傍観者である私たち日本人自身も同様で、見て見ぬフリを続けていながらも実際にこの問題は等しく降りかかっているわけで。
今回のまるで寓話のようによく出来た、ポーランドウクライナの構図を考えないのはフェアではないよね。ここまであからさまに違う両者の生命の価値の差とは一体なんなのか。


日本人のみなさんの生命の価値はどれくらいだとお考えでしょうか?
我らが日米同盟のおかげでポーランドと同じかそれ以上? 
あるいは「一発なら誤射かもしれない」くらい?