アジアの平和(笑)

定期的(あるいはアリバイとしての)シリアネタ日記


シリア内戦の死者、20万人超に 監視団体が発表 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでシリアでは死者20万人に越えたそうで。

【12月3日 AFP】シリアでの戦闘などによる死者が、内戦開始から4年を前に20万人を超えたことが明らかになった。非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が2日、AFPに対し明らかにした。犠牲者の大半は、政府軍や反体制派の戦闘員だという。

 シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表によると、2011年3月以降に死亡した人は20万2354人に上り、そのうち13万人超が戦闘員だった。市民の犠牲者は6万3074人で、うち1万377人が子どもだった。

シリア内戦の死者、20万人超に 監視団体が発表 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

うちの日記でもちょくちょく折を見ながらその総数に言及しながら追っていますけども、まぁ行くところまで行きつつありますよね。確か難民も300万人を越えていて、見事に歴史に残るレベル。きっとルワンダポルポトと同じく「何であのとき何もしなかったんですか?」とか未来の子供たちに聞かれちゃうんでしょうね。
最早国外の好意に縋るしかないシリア。しかしその好意を持つ外国は――当然私たち日本を含めて――何処にもなく、代わりにやってきたのはイスラム国だったっていう死ぬほど救えないオチ。


そして親米リベラルな人びとが信じる所の、弾圧される薄幸な人びとの国際社会における最後の「裁判所」であるアメリカ合衆国は、その門を開かなかった。
ただやっぱりそれは単純にオバマさんの無関心っぷりやキッシンジャーばりに冷徹な現実主義というだけでなく、究極的にはアメリカ国民がそもそも気にもかけていない、という身も蓋もない背景事実があるわけですよ。まさに民主制における政治指導者であるオバマさんだからこそ、それを無視することはできない。内向きになったと言われて久しいアメリカの国民世論の当然の帰結として、事実上シリアは完全に見捨てられている。
20万人死のうが300万人以上が難民となり住む家を奪われようが、自分の国には全く関係ないではないか、なんて。
まぁ一昨日の日記の繰り返しなお話ではありますけど、シリアにまったく無関心なそのような冷酷非道なアメリカ世論を非難することもやっぱり私たちにはできませんよね。だってそんなの日本だって全く同じ穴の狢なのだから。もちろんその無関心自体は否定できませんが、まぁそれでいてシリアの方をまったく見ようとしないまま日本国内で「アジアの平和の為に○○を!」とか言っているのは死ぬほど鼻で笑っちゃうお話ではありますけど。シリアはアジアじゃなかった。


さて置き、国際社会の捨て子となったシリアについて、こうした各国国民世論の無関心っぷりを指摘してしまうと身も蓋もないお話にはなってしまうんですが、それでもシリア政府軍の化学兵器使用でのレッドライン詐欺にあるように、アメリカの――オバマさんのリーダーシップの欠如があったのは間違いない。まだどうにかなりそうな時に手を打てなかった故に、状況は悪化し続け最早介入不可能な地平にまで至ってしまった。
今になって振り返ってみると、やっぱり最後のチャンスはあのキャメロン首相によるイギリス議会投票であり、あの敗北こそが帰還不能点だったなぁと。それこそコソボの時だって、そこまで覚悟を持っていなかったクリントンさんへ最後の一押しを決めたのが盟友でもあったブレアさんの働きであり、彼は議会支持を取り付けることで英米手を取り合っての空爆強化へ踏み切ることができたわけで。
でも、オバマさんにはそんなお友達は居なかった。
この「友人の居なさ」こそオバマさんのシリアでの外交政策失敗の要因の一つではないかと思っています。次の米国大統領にはそんなトモダチが居るといいね。


がんばれアメリカ。