通常日記

手抜き日記。
 

  • プーチン戦争終わらせるまで日本と努力 欧州委員長 - 産経ニュース
    • 日本と努力云々はともかくとして、この戦争を終わらせたときその後のヨーロッパは一体どういう姿になっているんでしょうねえ。まさかのワンチャン『ヨーロッパ合衆国』あったりするのか。でも今のようにNATOの存在が大きくなるとそれはそれで分裂傾向に進みそうだし、そして何よりメルケルの居なくなったあとのドイツはどこへ向かうのか。

 

  • マクドナルドがロシアから撤退 市民の反応は - BBCニュース
  • 「同社は1990年にモスクワにロシア1号店を出店。冷戦の緊張緩和を象徴する出来事として受け止められた。」
    • まさか中国よりも先にロシアがこうなるとは思いませんでした。良く考えてみると市場規模で見れば、何かあった時にあっさり撤退しやすいごくごく当たり前の結論だとも言えるんですけど。

 

 

 

 

  • 反ヘイト「路上寝転び抗議」で摘発 17人書類送検 警視庁 | 毎日新聞
    • 時代は変わったというか。排外主義に抵抗するほうがこんなことするのがまた。
    • コメントとして出ている弁護士の先生にまったく同感で、対立を生むだけというか非合法な手法に出る時点で「追い詰められてる」「負けてる」感が出るからやめた方がいいと思います。実際に中の人たちがそう考えているならば、まぁそういう行動にでるのもやむなしだと思いますけども、僕はあんまりそうは思わないかなあ。

 

 

 

 

石川優実さんの新しい心

ならば『たわわ』を見て実際に痴漢やセクハラをした男も、無罪と言えるだろうか?


石川優実さん「私がグラビアをやってた時も風俗で働いていた時も私の自由意志で選んでやっていたことになるんだな。あんなしんどい精神状態の時のものを自己決定権といわれるのはつらい」 - Togetter
いつものようにネットの玩具になっていると生暖かく見ていたんですが、しかしちょっと中身を見ると今回は個人的に面白いことを言っているとは思うんですよね。
不勉強ながら以前から何度か炎上している件で初めて存在を知ったので、今度是非作品を買って勉強させていただきます、とお馴染みの社交辞令を言って地雷を踏むような羽目にならずに済んだパターン。

私がしんどいなと思うのは、「本人の意思の尊重」に基づいて話をしてるんだったら、私がグラビアをやっていた時も風俗で働いていた時も全て私の自由意思で選んでやっていたことになるんだなって感じるからなんですよね。
あんなしんどい精神状態の時のものを自己決定権と言われるのはつらい。

石川優実さん「私がグラビアをやってた時も風俗で働いていた時も私の自由意志で選んでやっていたことになるんだな。あんなしんどい精神状態の時のものを自己決定権といわれるのはつらい」 - Togetter

自由意志とは何か、ということについてとても考えさせられるテーマだと思います。
なぜ「自由意志など存在しない」と科学者は主張するのか? - GIGAZINE
ベンジャミン・リベットの自由意志の存在についての実験から、最近ではAI開発の議論も絡んで割と最前線のテーマであるわけだし。


個人的にこの話を見て思い出したのが、日記タイトルの元ネタでもある最近ノーベル物理学賞を取ったロジャー・ペンローズ先生の『皇帝の新しい心』で言っていたお話で、そこで「その場その場の状況や合理性に流されてしまう(アルゴリズム的)方こそが無意識である」と仰っているんですよね。
むしろ合理性や計算で説明できない判断に従うことこそ、意識的思考である、なんて。
それこそミクロな個人的生活を送っている私たちだって、サブリミナル効果ブラック企業による洗脳などでは精神的・肉体的に追い詰めてからこそ無意識に行動させることが可能になる、という話は多かれ少なかれ聞いたことがあるわけだし。



そんなペンローズ先生的議論で言えば、確かに精神的に追い詰められ自由意志はなかったと当時を振り返る彼女の主張には現代科学の視点からも支持される可能性のあるお話だと思います。
――ただこの議論って、既に上記ネタ元のtogetterでちょくちょく指摘されているように、現代の人間社会の根本をかなり揺るがしかねないセンシティブな議論ではあるんですよ。
それを解ってやっているなら社会を動かすアクティビストとして素晴らしいと評するしかありませんけど、無自覚ならば……うん、まぁ、そうねえ。


この構図についても日常生活を送る私たちが殺人事件等の判決などのニュースなどで偶に見る問題でもあって、つまり心神耗弱や心神喪失と言った『自由意志』の範囲を狭めれば狭めるほど、それは結果として当人の『無罪証明』に繋がってしまう。
認知科学と自由意志研究の大家であるダニエル・デネット先生*1が言う、所謂「潜行している無罪証明という亡霊」を解き放ってしまうから。
科学が進歩し「実は私たちに自由意志が無かった」と証明されてしまえばしまうほど、それは私たちの倫理的責任を弱めていく。
これは諸々の宗教における神と人間の悪行という頻出のテーマでもあって、やっぱり私たちにとって普遍的な哲学問題でもあるのでしょう。


「月曜日のたわわ」日経広告の波紋 「痴漢を助長する」と指摘された過激表現とは?(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
ここで皮肉にも面白い親和性を見せるのが、少し前にも炎上していた「たわわ」騒動でもあります。。
つまり、今回のような狭い『自由意志』をめぐる議論を前提にして考えると、日経のたわわ広告を見た人間に痴漢やセクハラを助長するような悪影響があるからけしからんと怒る人たちは、その広告を見て現実に痴漢に走った男たちはあくまでその巨乳JKなスケベ漫画に唆されただけ=無意識であって、そこに本人の『自由意志』はなくつまるところ無罪である、という結論に至ってしまう。
たわわがギルティな存在であればあるほど、たわわを見て痴漢をした性犯罪者の男の罪は軽くなる。
う~ん、なんてハラショーな展開。


こうした構図は以前からポルノなどを取り締まろうとする(過激な)フェミニスト運動への皮肉な成り行きの一つとして指摘されていて、ポルノの悪影響を強く訴えれば訴えるほど、それを見て実際に性犯罪を犯した男性の自由意志の範囲は狭くなり、ポルノが悪かったので自分は悪くない(実際に裁判でそう主張した人もいる)と主張することで罪を回避することが可能になってしまいかねない。
女性の性的アピールについての是非の議論でもちょくちょく見かけますけど、一周回ってガチガチな男性優位社会で見られるような「男を誘惑した女が悪いのだ」的議論になってしまうのは皮肉と言うか、ちょっと面白過ぎるよね。
フェミニストじゃなくて男根主義者なのかな???



ともあれ、ということで石川優実さんの「自由意志はなかった」という主張は、かのようにして現代社会における特に倫理的責任能力の追求について、致命的な一撃を与えかねない取り扱い注意なお話ではあります。
しかし、だからといって、まさに彼女自身も経験からそう主張しているように、科学の進歩によって私たちの心の仕組みを解き明かされどんどん『自由意志』の範囲が狭まっていっているのも間違いない。
AV対策法案、なぜ今? 18歳成人で被害増の恐れ―ニュースQ&A:時事ドットコム
昨今では「大人」扱いする年齢の引き下げなんかがニュースになっていたりしますけども、むしろその責任能力を決定するような自由意志が科学的には――そして盛り上がる表現規制の意味でも――狭まっていっているのは大変愉快で面白いと個人的には思っています。

国連女性機関は「男性が未成年の女性を性的に搾取することを奨励するかのような危険もはらむ」と広告を掲載した日経新聞を非難。

「月曜日のたわわ」日経広告の波紋 「痴漢を助長する」と指摘された過激表現とは?(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

そうそう国連の女性機関もそう言っているんだもんね。
ぼくたちおとこはわるくない! 
ゆ~わくしてきたやつがわるいんだ!
自由意志なんてないせいしんじょうたいだったんだ!


私たちはその責任能力と自由意志のラインをどこに引くべきだろうか? という議論は今後ますます避けては通れなくなっていくのでしょう。
それはつまるところ、「自立した大人の定義」について=責任能力の有無という社会が荒れるの待ったなしな議論とほとんどそのまま地続きでもある。
かつては貧乏人や女性や黒人たちがそういう定義に入りえなかったことを考えると感慨深いよねえ。


みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

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  • 消える「平和の配当」 ウクライナ紛争で再び冷戦経済に: 日本経済新聞
  • 「「日米軍事同盟によって、日本は世界経済と政治的安定の果実を享受しながらも、世界秩序を維持するための支出がほとんどない。この潜在的な『フリーライド(ただ乗り)』によって、日本は高い経済成長を遂げることができた」と分析していた。」
    • なんでそんなひどいこと(正論)いうの???
    • 本邦でも未だにいっぱい軍事費を払わずにすんでいた時代を夢見て反対する人は多いんですけども、まぁ僕はさすがに世間の目がそれを許さない時代になっていると思うょ。次の『平和の配当』の時代がはやくやってくるといいね。(n回目*1

 

 

 

 

 

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  • Home | peace-between
  • 「ロシア軍とウクライナ軍は現在地で戦闘行動を停止し、真剣に停戦会談を進めるように呼び掛けたい」
    • そこで「ロシア軍が」撤退すればと言えないのが語るに落ちているのがとっても面白いと思います。つまり、強大な軍事力を以ってとりあえず軍事侵攻しておけば停戦までの領土と戦利品は取り逃げできる、という最近のネトウヨでも見ないような過激な軍国主義を許容しているということだよね。アメリカのベトナムイラクアフガニスタン、あるいは大日本帝国の中国や東南アジア諸国でも同じ事を言っているなら一貫してて素晴らしいんじゃないかな。侵略されても抵抗しなければいいんだもんね。
  • 戦争状況下で「足りぬ足りぬは工夫が足らぬ」と叫ぶ人たち - maukitiの日記
    • 先日の日記でも書いたようにまぁ別に人権よりも平和の方が大事だっていうなら、やっぱりそれはそれで一つの考えた方でいいとは思うんですよね。まさに現代中国はそうした価値観の延長線上の元ああした政治体制で運営しているわけだし。ただまぁ絶対にそれを「リベラル」だとは絶対に言えないですけど。
    • 「(外交問題を戦争で解決しようとする)軍国主義を支持する声明」とでも書いておけばいいんじゃないかな。まぁ実際にそういう時代が再びやってくるかもしれないし。
  • 【解説】 ロシアの主張に耳を傾ける国々 ウクライナ侵攻 - BBCニュース
    • 下の白井先生のように、そういう人たちが世界的に見て圧倒的に少数派かというと、やっぱりそうではないんだしね。

 

 

 

 

 



 

 

 
 

リアリズムの先をさがして

鉄アレイで殴り合うと死ぬ我々が、鉄アレイで殴り合わずに済む方法をさがして。


プーチン氏、「欧州側がロシア侵攻を準備」とウクライナ侵攻を正当化 対独戦勝記念日で演説 - BBCニュース
良い意味でも悪い意味でも期待されていた5月9日の戦勝記念日に、プーの人が特に何も面白いことを言わなかったので別の日記にしようと思います。


ミアシャイマーの“悲劇”…なぜロシアや陰謀論者たちに付け込まれてしまったのか? ? SAKISIRU(サキシル)
というこで今回のウクライナでの『特別作戦』から、本邦でも陰謀論やQな人たちにとって大人気となったミアシャイマー先生のリアリズムのお話について。

このような厳しい見方をする理論を提唱しているミアシャイマーを、日本の右派や陰謀論者たちは「真正保守である」という。だが結論から言えば、ミアシャイマーの考え方は、一般的な「右派」や「左派」という政治志向の分類を超越したものだ。

なぜなら彼の関心は、アメリカが国際政治のパワーゲームにおいてうまく立ち回ることができるかどうかにあるのであり、国内政治がからむ右・左というイデオロギーには単純に分類できないからである。

ミアシャイマーの“悲劇”…なぜロシアや陰謀論者たちに付け込まれてしまったのか? ? SAKISIRU(サキシル)

奥山先生が言う通り、まぁコレが全てかなあと。
リアリズムの大家である彼の理論って、ある意味で――我々オタクにお馴染みのネタを持ち出すなら――「鉄アレイで殴り続けると人(国)は死ぬ」なことしか言ってないんですよね。
鉄アレイで人を殴ることの「是非」、あるいは鉄アレイで人を殴る「意図」、などについては理論の主題じゃないんですよ。
そしてそこから、もし相手が鉄アレイを持っていたら、殴られないように自分も鉄アレイを持つべきである、というこれ以上ないほどアナーキーミアシャイマー的な理論が生まれるわけで。
かくして、もしウクライナNATOに入れようとするならば、ロシアは抵抗すべきである、という単純な主張に行きつくことになる。その文脈にある是非や意図といった複雑な議論は無視されて。


しかし上記でも指摘されているようにそうしたアナーキーな世界観って、ほとんど全ての地政学や国際政治など国際関係の研究者やオタクな人たちにとっての知的根源であり出発点でもあります。
それは彼の理論に対してのリベラル派のような批判的ポジションでも同様で、「何故歴史上で、大国同士が鉄アレイで殴り合わないケースがあったのか*1」「ならば鉄アレイではなく、国際法や人道の罪が力を持つようになるためにはどうすればいいのか」などもやっぱりミアシャイマー先生のようなリアリズムを分析の土台として持っているわけで。


今回のウクライナの件では、国連憲章国際法上の正当性、ウクライナ各地での残虐行為の是非とその抑止、あるいは核兵器の扱いなど*2、そのリアリズムという分析の先にこそ考えるべき裾野が広がっている。
一方で、ミクロな個人的生活に追われている私たちが、まぁそんなこと考える暇がないだろうというのは概ねその通りなんですよ。
だからこそ大学にお金を出して賢い人たちに代わりに考えてもらうべきなんですけども――この話題は今ではセンシティブな話なのでヤメヤメ。

結果として、ミアシャイマーアメリカ率いるNATOの過剰な東方拡大に今回の紛争の根本的な原因を見てしまっていることから、単純な反米主義者や陰謀論者のような、表層的なわかりやすさを求める人々に対して、無用な論拠を与えてしまっているといえる。

ミアシャイマーの“悲劇”…なぜロシアや陰謀論者たちに付け込まれてしまったのか? ? SAKISIRU(サキシル)

ともあれ、「鉄アレイで殴り続けると人は死ぬ」という理論を見て、その行為が正当化されると考える人たちは、まぁ率直に言って……と思ったけど表層的な解りやすさを見る人たちにとってはそういうモノなのかもしれないね。
Ω<ミアシャイマー陰謀論の流行は、結局のところ『バカの壁』という養老先生の大ベストセラーなお話だったんだ。
ΩΩΩ<……な、なんだってー!?


ということで世界平和を本気で愛する人は、もし暇があるなら国境を越えて連帯云々よりも奥山先生の『大国間政治の悲劇』を読みミアシャイマー先生の理論を最初の一歩として、どうすれば国際関係において世界平和を実現できるのか考えてみればいいんじゃないかな。
論文も書けるし世界平和も実現出来て一石二鳥!
そんな暇が無いというながら……うん、まぁ、やっぱり、賢い人たちを支援してがんばってもらうしかないよね。


みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:有名どころではアメリカの勃興と、それまでの超大国であったイギリスの没落の関係など。

*2:ちなみに「鉄アレイで殴り続けると人は死ぬ」なミアシャイマー先生は、多極化世界では全国家が鉄アレイ=核兵器を持つべきである、とも言っているわけで。今回ミアシャイマーを持ち出す人たちが割とシャレになってないのは、核兵器保有問題でもまったく同じ理屈=自分たちに核兵器を持たせた責任は相手にある、という構図も成立してしまう。

通常日記

手抜き日記。
 

 

 

  • 専守防衛「見直すべき」52%?JNN世論調査 | TBS NEWS DIG
    • ぐんくつのあしおとが聞こえてきたねえ。それは政府の暴走ではなく、上記のニュースなどを見た主権者たる国民の要望として。
    • 個人的にも自民党政権へのブレーキ役として野党にも期待するところはあるんですが、前回の日記じゃありませんけど『ブレーキ』じゃなくて『逆アクセル』踏みそうなのが笑える恐ろしいところではあるよね。違うそうじゃない感すごい。

 

 

  • ロシア外務省が発表、日本の入国禁止リスト63人 | 毎日新聞
    • ヒトラーアベが入ってなくて盛り上がってたやつ。つまりアベはプーチンとトモダチだった……ってコト!?
    • 以前も書きましたけど、ちょくちょく見かける安倍政権批判ネタとしてはこのロシア外交の失敗(なのは間違いない)はあまり筋が良くないよねえ。結果論として、むしろ失敗していた良かったというオチにしかならないんだし。いやまぁロシアと仲良くしようとしたこと自体を責める覚悟があるならいいんですけども、そんな全力で反ロシアやって大丈夫? 軍靴の足音聞こえない?

 

 

 

 

 

 

 



 


 

 
 

戦争状況下で「足りぬ足りぬは工夫が足らぬ」と叫ぶ人たち

追い詰められた軍国主義者だけでなく、過激な平和主義者も追い詰められ似たことを口走ってしまうのは、これ以上ないほど素朴な普遍的な人間の本質=共通性を感じられて心が温かくなるよね。
人間ってみんなおんなじなんだね!
 


比のゆくえ――憲法記念日によせて|三春充希(はる) ?未来社会プロジェクト|note
う、うーん……まぁ、そうねえ。
世論調査のまとめはかなり参考になるし、一応巡回はしているもののそれ以外の分野に関しては概ね電波が強すぎて某魔人ブウの「こまった、ちょっとかてない……」画像を思い出してしまう程度には素人にはおススメできないんですが、でもまぁこの人の国際関係ネタって毎回こんな感じだよね。むしろ専門分野だと突然マトモになる専門家あるあるの方。
個人的にはあのトランプ時代の北朝鮮との対話の時から「これで東アジアが平和になるので軍縮!」なポジションだったので、もうキケロ―ばりの「軍拡ほろぶべし」な定番ネタだと思ってますけど、。

 ロシアとウクライナの戦争を呼び水として、こうした軍拡だけでなく、改憲や統制の強化などが一斉に進められようとしている現状があります。自覚的であれ無自覚であれ、多くの人が戦争に絡め取られてしまっており、左派やリベラルはこの状況に対峙する有効な拠点を保持できていません。それではどのように考えを出発させたら良いでしょうか。

比のゆくえ――憲法記念日によせて|三春充希(はる) ?未来社会プロジェクト|note

でもこの胡乱な時代について考えてみる出発点としては悪くない点じゃないかな。
そもそも論で言えば自称リベラルな僕としては、『法の支配』を軽視する*1この人はまったくリベラルではないとは思ってますけど、それはまぁ別の話として。

「左派やリベラルはこの状況に対峙する有効な拠点を保持できていません」

同じ(上記にも言った通り同じではない)リベラルとしてその点は、まぁその通りだと思うし、そこを思考実験してみるのも理論武装していく上でも必要なことでしょう。
一体どうすれば戦争と虐殺を止めることができるのだろうか? なんて。


ここでまず大前提としておかなければいけないのは、欧州のリベラルな人たちがその為に積み上げてきた国連憲章国際法などといった枠組みが侵略や普遍的人権への侵害を止めることに概ね全て失敗した、という点にあるわけでしょう。
故に彼ら彼女らは最後の手段として、ウクライナへの徹底的な軍事支援とそして自身の軍拡にすら踏み出すようになった。
それは単純に平時からある選択肢の一つというわけではなく、最後の最後まで追い詰められた果てにヨーロッパが逃げ込んだラストリゾートであります。


ロシアへの制裁や国連での働きかけなど、少なくとも彼ら彼女らが信じる戦争以外の選択肢は全てやった上で、最後の手段に出ようとしている。
今回ネタにしている『比のゆくえ』で認識にものすごいズレを感じるのはこの部分なんですよね。
著者はこの期に及んでも、人びとの平和を信じる連帯が足りていないからだと確信している。国境を越えて私たちが共通性に目を向け平和を信じれば平和になるのだ。(私たちそれぞれの『平和』の定義に目を瞑れば*2)まぁその通りかもしれないね。でもこの精神論って結局無限に拡張できてしまう悪辣な論法でもあります。
お前が失敗するのは、お前らの信仰心がまだ足りないのだ、なんて。
つまるところ、今回の『比のゆくえ』で言っているのは、人びとの相互理解が「まだ」足らないから戦争が終わらないのだと、「足りぬ足りぬは工夫が足らぬ」以上のことは何も言ってないんですよ。
精神論で平和を実現しようとする人たち。さすが我らが大日本帝国の子孫であります。


一方でこの論点で言うと、皮肉にもこちらと比べれば相対的に切迫した戦争状況を解っている(ように見える)のが、某元大阪府知事さんの方でもあって。
ウクライナでの戦争が始まって以来、彼の「さっさと降伏しろ」論が議論を呼んでおりましたけども、あれだってむしろ彼の弁護士らしいリベラルなポジションの発露だとは思っているんですよね。その「状況に対峙する有効な拠点」としてとりあえずの『降伏』を選択している。
まぁその選択がもたらす短期的中期的長期的な副次被害については、まるっと無視しているようにしか見えませんけども
「ここは地獄だ」 問答無用で射殺、連日レイプ ブチャ市民らの証言 | 毎日新聞
実際に、頭上からは空爆されミサイルを撃たれ、地上ではレイプや虐殺されている人たちに対する、少なくとも現実的選択肢を提示しているという点ではまだこちらの方が100倍マシであります*3
それこそ現在進行形でロシアに侵略されレイプされ虐殺されている人たちに「隣国のロシア人との連帯が足りないからだ」なんて説教するのはサイコパスみたいなもんでしょう。




国際秩序と普遍的人権が侵害されている状況おいて、欧州リベラルたちは現状で持ちうる全ての選択肢を試したうえで、最後の切り札を切ろうとしている。

「左派やリベラルはこの状況に対峙する有効な拠点を保持できていません」

有効な拠点とは、結局、身も蓋もなく、軍事力である。
ザ・軍拡。
――という事を認めてもまぁ別に左派やリベラルと名乗ってもいいんじゃないかなとは僕は思います。アクティビストではない『リベラル派』とされる国際政治学者の大多数もそのことを認めているのだし。
普遍的人権よりも平和を愛するガラパゴスな本邦リベラルからするとなかなか受け入れがたいのかもしれませんけど、でも本場のヨーロッパは既にそうしているのだしね。
精神論を訴え実質何もしないまま侵略や普遍的人権への侵害を容認するよりもずっとリベラルな態度じゃないのかと。
もちろん一方で、そうした人権よりも戦争を拒否する方が重要だと考える、今回のようなユニークな人たちが居るのはそれはそれで一つのポジションではあります。
別にそういう人たちを論破()したり懐柔したり説得したりするつもりはないので好きに生きていけばいいんじゃないかな。
それをリベラルと呼ぶことだけはちょっとどうかと思いますけども。


みなさんはいかがお考えでしょうか?