グレタさんとは違い、「大人な」私たちが避けては通れない難題

「進まない気候危機対策」の現状を自身で文字通り再現するアイドルな彼女。



ダボス会議前にグレタさん声明「気候危機に対し必要な行動を」 | NHKニュース
トランプvsグレタ 温暖化対策めぐりダボス会議で主張対立 | NHKニュース
ということでeconomy無しでは生きていけない私たちにとって重要(庶民な私たちにとっても重要だとは言ってない)なダボスが始まったそうで。

温暖化対策を求める若者の運動を世界的に広げたスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは21日、スイスで始まった世界経済フォーラムの年次総会でスピーチしました。

この中で「あなたたちは『子どもは心配するな、悲観的になるな』と言うけれど、何もしていない。もっとひどいのは空っぽなことばと約束で、十分な対策がなされたという印象を与えていることだ」と述べ、世界のリーダーたちを批判しました。

さらにアメリカのトランプ大統領らが森林保護のプロジェクトへの参加を表明するなか、「木を植えるのはいいことだが、それでは足りないにもほどがある。会議に参加している企業や銀行、政府などに対して、化石燃料の調査や採取への投資をやめるよう求める」と述べ、温暖化対策に向けて具体的な対策をとるよう求めました。

これに先立って演説したトランプ大統領は、環境問題について「今は悲観的になる時ではなく楽観的になる時だ」と述べ、温暖化に警鐘を鳴らすグレタさんらに反論した形です。

トランプvsグレタ 温暖化対策めぐりダボス会議で主張対立 | NHKニュース

かといってecologyも無視できない私たちは、かくしてここでも最近散々繰り返されてきたプロレスな光景を再び見ることになると。
いやもうほんとワンパターンな演劇で、そろそろみんな飽きてきているんじゃないかな。
その意味ではトランプさんなんて、このネタだとほんとイキイキとしてるよねえ。



しかし、だからこそとても皮肉で、故にクッソ面白いなあと思うのは、その進歩のなさ・同じ演目の繰り返しというのはほとんどそのまま彼女が批判する『進まない気候危機対策』とそっくり同じ構図だというのを証明してしまっていることだと思うんですよね。
「強硬な」否定論者であろうとしているトランプさんと、善意と危機感溢れるグレタさんの対立が、こうしてどちらも決定打を打てずに膠着状態になっていることそれ自体が、現状の気候危機を取り巻く世界の現実そのものでもある。


良くも悪くも、現在の気候危機問題の現状について正しく象徴するアイドルだよね、グレタさんって。
そのボトムアップな市民の声の盛り上がりの旗手としても、
結局それでも何も進んでいない停滞した現状としても。




COP25の概要と残された課題|TOPICS|国立環境研究所
つい先月行われ、そして案の定何も進まなかったCOP25の合意の顛末が、これまでと同じだったように。

COP25では、6条を積極的に活用して自国の2030年排出削減目標をより達成しやすくしようと試みたブラジルやオーストラリア、中国などと、利用を最小限度に抑えるべきとした欧州や小島嶼諸国等との間で歩み寄りが見られず、来年に持ち越されました。日本はすでに「二国間クレジット制度」(Joint Crediting Mechanism : JCM)という独自の制度を2013年に開始し、モンゴルやバングラデシュなど17か国(2019年6月現在)と署名を交わし、相手国の削減分を日本側にも取り込めることを目指していましたが、この実現も来年に持ち越されました。

COP25の概要と残された課題|TOPICS|国立環境研究所

一体何が「必要な行動か」私たちは合意できない。
上記のようにヨーロッパや実際に被害を被る小島嶼諸国たちより踏み込んだ行動こそが「必要な行動」だとしているし、
かといって今後もより二酸化炭素を排出する=経済成長が期待できる新興国はできるだけその邪魔にならない行動こそが「必要な行動」だとしているし、
私たち日本は日本で独自の二国間クレジットの設定こそ「必要な行動」だとしているし。
悲しいかな私たちの世界は、この期に及んでも一つになれない。


いっそ、もう誰か賢い人が――別にグレタさんが決めたっていい――その「必要な行動」の中身を定義してくれればいいのにね。
しかしその定義が決まったところで、悲しいかな衆愚たる私たち市民がそれに同意するかどうかはまた別問題なんですよね。
はしか流行で緊急作戦中のサモア、陰謀説広めた反ワクチン活動家を逮捕 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
もし本当に賢い科学者が「正しい答え」を定義してくれるのであれば、反ワクチン運動も、あるいは放射能基準値云々に関する諸々の問題もあるはずないのにね。
しかし現実を振り返ってみると、そうした諸々の悲喜劇が尚も繰り返されている私たちの日常でもある。
ということはつまり……。


だから実際に彼女のいうような気候危機に「必要な行動」を、誰かとても賢い人が定義できたことを思考実験してみると、それはそれでこちらも茨の道が続くのは間違いないんですよ。
いざ、その「必要な行動」に私たちのような民主主義国家においてそれが主流世論とならなかった場合、民主的意見こそを重視する私たちは一体どうするの?
――まさにそれが現実の実例としてかなり明確に示された一つが、京都議定書の直前にアメリカで採択された『バード・ヘーゲル決議』でもあったわけでしょう。
ちなみに当時アメリカの政権に居たのは、『不都合な真実』でノーベル平和賞を採ったアル・ゴア副大統領でもある。


そこで起きるのは何も0や100かの単純な話で拒否されるという話じゃないんですよ。
当然重視される『国益』という観点において、実際にそのコストを支払う私たちがその負担はできるだけ軽くして(つまり他所の国の負担はその分重くなる)欲しい、という当然で真っ当な要求をされたら民主主義政治の政治家たちはどう応えればいいの?
上記のように、かつて正しく民主的手続きで選ばれたアメリカの議員たちは、そこでアメリカにとって不公平な負担は絶対に背負わないと選択した。


いやあ、民主制国家じゃなくて賢帝による独裁国家ばかりだったら話は簡単なのにね!
やっぱ民主主義ってクソやな!





グレタさん「空虚な言葉、沈黙より悪い」 ダボスで皮肉:朝日新聞デジタル
かくして私たちの前に「空虚な言葉」が並ぶことになる。
――でもこれって何も悪意から・問題を先延ばしにしようという気持ちによってそうなっているワケではなくて(いやそれがまったくないとも言いませんけど)、むしろ国際関係史の教訓から見るとひたすら私たちが無能であり能力に限界があることの証左でしかないでしょう。
ただただ私たち人類に、全世界が受け入れられるだけの合意を生み出せるだけの叡智がないというだけ。
ザ・ハンロンの剃刀。
いやまぁ、その合意を生み出せないことを人間の『無能』とするか、あるいはそもそも人間の手に余るような『奇跡』なのか、については議論の分かれる所ではあるんでしょうけど。


その意味で言うと、グレタさんは『悪意』や『怠惰』故にそれが実現できていないと考えているのでしょう。
――個人的にはどちらかというと、そもそも私たち人類の手に余るような『奇跡』が実現できていないことを責めてもなあ、と摩耗した大人らしいポジションの方に立ってしまいます。
もちろんだからといって努力しなくてもいいというわけでは絶対ないですけれど。


  • 私たちの国際関係は世界全体を射程に入れた「必要な行動と合意」を生み出せるのか?
  • そして私たちの民主主義政治は、その合意を支持できるのか?

「子供な」グレタさんは別に応えなくてもいいんですけども、しかし「大人な」その支持者たちは避けては通れない問題だよね。



みなさんはいかがお考えでしょうか?

通常日記

手抜き日記。

 

  

  • 蔡総統、「中国は台湾を尊重すべき」 BBC単独会見 - BBCニュース
    • 前回日記で書いた「現状維持」と「現状打破」この構図で見ると、むしろ台湾の方が「現状打破」をしている(故に地域にカオスをもたらしつつある)ように見える、ということになるんですよねえ。まぁそれもこれも中国の振る舞いの結果として自業自得ではあるんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 『ドラクエX』 Pay-to-Win系課金アイテムの販売を予告 「プロジェクトの運営を継続していくため」 - Kultur
    • 引退勢としてはこれを見てちょっとやる気になった感ある。最前線を走っている人たちは小刻みに行われる「上限解放→即カンスト」で割と速攻コンテンツを食いつぶしていくんですけども、後発組や新規はその長年の積み重ねを見て遠すぎて萎えちゃうんですよねえ。長く続いたソシャゲがどこでも新規を取り込むのに苦労している=どこでも優遇措置を採っている理由の一つでもある。
    • その意味で言えば、個人的にこの課金ブーストは賛成派かなあ。それならもういっそFF14みたいにLvカンストまでジャンプさせてもいい気はしますけど。でもまあ各職業のレベル上げ育成ゲームなDQ10でそれをやったら終わり感はある。

韓国ちゃんは現状打破したい

しかし一方で「アメリカちゃんは現状維持したい」なすれ違い。




韓国、米大使の口ひげが物議 日本の朝鮮総督を想起 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでハリスさんのチョビ口髭騒動もあって、以前から続く不協和音な状況がまたもや盛り上がっている米韓関係だそうで。
はたして今後彼らの関係はどうなっていくのか、というのは私たち日本も絶対に無関係ではいられない以上、ただ嫌韓云々な感情論ではない冷静な関心は持っていくべきなのでしょうね。
日本にとっての韓国も、韓国にとっての日本も、悲しいかなお互い無視するには近すぎるしお互いに重要過ぎる。
韓国が米国を無視して「レッドチーム」入り間近?元駐韓大使が解説 | 元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」 | ダイヤモンド・オンライン
ただ、その意味でいうと、(これまで何度か当日記でも使ってきたものの)あまり使いたくない言葉でもある「すわレッドチーム入りか!?!?」、というのはちょっとアレだなあと。

 韓国は米国の理解を得ていると言い張っているが、米国の説明と食い違っており、米国の意向に反する動きを続けている。韓国は自説を言い張り、思うがままに突き進もうとしている。これは韓国が、米国よりも北朝鮮との関係重視に、より一層大きく舵を切ったことの証左でもある。

 文在寅政権は、これまで北朝鮮の非難や挑発にもかかわらず、北朝鮮との融和に腐心してきた。再三に渡って南北の協力事業や交流の必要性に言及し、人道支援も行ってきた。

 しかしながら、北朝鮮は韓国に対して取ってきた厳しい姿勢を改めようとはしなかった。そこで文在寅政権は北朝鮮が一向に振り向かない要因を分析し、韓国が米国の意向を斟酌し、南北協力に躊躇していることが北朝鮮の反発を呼んでいると判断したのではないだろうか。北朝鮮の韓国への反発を和らげ、南北関係を立て直すためには、米国の意向を無視して、南北協力事業を推進していく以外ないと判断した可能性が、ここ最近の動きから分析できる。ついに、韓国が米国離れへ向けて動き出したということだろう。

韓国が米国を無視して「レッドチーム」入り間近?元駐韓大使が解説 | 元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」 | ダイヤモンド・オンライン

韓国の親北朝鮮への傾斜(それ自体は間違いない)と、かといってそれが親中国にまで行くかどうかは別問題でしょう。
この辺のお話についてはレッドチーム云々よりは、ただただ韓国が目指したい目標・場所が私たちのソレとは違う、というだけなんだと思うんですよね。


当たり前の話ではありますけども、私たち日本も、アメリカも、韓国も、中国も、そして北朝鮮も、それぞれに国家として(民主主義な私たちとしては≒で国内的の主流世論として)別々の目指すべき目的・理想像があるわけで。
そもそもそこが同じだと考えること自体がありえない大前提でもあるわけでしょう。
誰もが自分たちと同じように考えるだろうなんて確信は、ぶっちゃけ傲慢すぎるよね。
私たち日本としては一般に戦争に巻き込まれない『平和状態』な現状維持こそをその大目標に掲げていますけども、しかしそれが全世界の万人に受け入れられる理屈かというと、悲しいかなそうではないわけでしょう。
――戦争をしてでも、あるいは戦争を脅迫材料に使ってでも、自分たちの目的を達成したいという国家は確実に存在している。
それは言わずもがなのアフガニスタンイラクで見せたアメリカの振る舞いであるし、ウクライナやシリアで見せたロシアの振る舞いであるし、そして台湾問題で武力攻撃オプションを常に「公的な立場として」明らかにしている中国の振る舞いでもある。



かくしてまた別の目標を持つ韓国というのは、アメリカからも日本からも中国からも等しく「自主独立」した韓国でありたい、という理想的状態を目指しているというだけ。
南北協力巡る米大使の発言に警告 「非常に不適切」=韓国大統領府 | 聯合ニュース
故に韓国は、アメリカの上から目線に反発する、という構図が生まれると。
まぁ「自主」それ自体は、どれだけ重要かという問題はさて置き、当然私たち日本にも理解できる外交政策でしょう。それこそ「横暴なアメリカ!」という声は本邦では右も左も少なくないわけだし。

【ソウル聯合ニュース】韓国青瓦台(大統領府)は17日、米国のハリス駐韓大使が韓国人の北朝鮮への個人旅行は米国との協議が必要と言及したことについて「非常に不適切」との立場を明らかにした。

南北協力巡る米大使の発言に警告 「非常に不適切」=韓国大統領府 | 聯合ニュース

そしてその上で、誰からも文句が付けられない=付けるべきではない、民族的悲願としての南北統一の推進であると。
そうした彼らの悲願を「レッドチーム入り」とするのはちょっと扇動的すぎるよね。




もちろんその実行に動く今というタイミングが国際情勢として適切なのかどうか、あるいはそもそもその目的にそこまでの価値があるか、というのは別問題ですけれども。
ミクロな私たちですら、当事者でない他者の本気の・決死の行動について「コイツまともじゃない」と思ってしまうのは別に不思議じゃないように、まぁ当事者でない外野から解らない情熱ではあるでしょう。。
まさに北朝鮮がそうしているように、自分たちの目的実現の為には核兵器開発・使用だって辞さない、という国家だってあるのだから。
私たち日本が掲げる憲法九条だって、少なくとも世界の一部からはクレイジーと思われていても不思議じゃないし、実際そう思われているのは間違いないだろうし。
かといって当事者である私たちの抱いている理想が、そのまま間違っていることを意味しているわけでもない。
ただ他の国家たちはそうしないというだけ。


北朝鮮の融和の為にはアメリカとの関係悪化だって辞さない、という韓国が今見せている振る舞いは、まぁその意味では正しくチキンゲーム的に私たち外野に向けた『覚悟』表明の一種だと言うことはできるかもしれない。
そうしてでも実現したいたい目的があり、つまりそれはどうにかして現状を打破したい韓国、という構図の証左でもある。




国際関係論の基本でもある世界を「現状維持勢力」と「現状打破勢力」という視点において、韓国というのは前政権以前からも既にその傾向を見せてきたものの、文在寅政権になって以来更に明確に後者に位置するようになった、というお話なのだと思います。
――まぁ歴史を見れば一目瞭然であるように、世界に混沌を生むのはいつだってそうした現状を打破しようとするプレイヤーたちでもあるんですけど。
その意味で言えば、レッドチーム云々ではないものの、やっぱり韓国は私たち日本とは違う所に行ってしまった、というのはまぁ間違いないかなあ。


自主独立を目指す韓国の現状打破主義について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?

絶対正義を求めてしまう人たちのよくある陥穽

あるいはカミュが「無垢への郷愁」と呼んだ何か。



韓国・文在寅政権──モンスターになってしまったモンスターハンターたち | 崔碩栄(チェ・ソギョン) | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
うーん、まぁ、そうねえ。ミイラ取りがミイラというか、深淵を覗きこんでしまった人が深淵から見返されてしまったというか。
まぁ昔から『絶対正義』を革命などによって追求する人たちの陥穽として、よく指摘されるお話ではありますよね。


あるいは「マルクスが夢見た共産主義が失敗した理由」ともちょっと似ていて。アレが失敗した理由はまぁ色々あったりするんですが、その有名な一つはそもそも「(成果が同じなら)できるだけサボろうとする人たち」を想定していなかった所にあるわけですよね。
行動経済学という地平を知った今の現代人たる私たちから見るとまぁバカみたいなお話ではありますけど。
できるだけ手を抜きサボろうとする私たちを(その成果によらず)無理に働かせようとする→後はもう国家権力による強制力を行使するしかない→巨大な国家機構の必然的誕生→不正と腐敗の温床へ。
いやあ黄金パターンだよね。
終末だというのにあなたは一体なにをしてるんですか? 忙しいわけないですよね? だって世界の危機ですよ? - maukitiの日記
前回日記でも触れたフリーライダー問題と直結したお話ではありますけども、グレタさんの言うような危機的状況な環境保護賛同にしろ、共産主義にしろ、あるいはリベラルな絶対的正義にしろ、そこで必然的に生まれるフリーライダーのような『裏切り者』をどのように対処するのか、というのは社会的動物である私たち人類の永遠の政治テーマでもあるわけですよ。
その正義を絶対的としてしまうと、そお価値観に同意しない裏切り者への扱いは苛烈になっていく。
古今東西の所謂『左派』たちがいざ権力を握ると、恐怖政治や全体主義に走ってしまう要因はこうした所にあるわけでしょう。


皮肉にも彼ら彼女らは、自身の信じる『正義』に確信が人並み以上にあるからこそ、その裏切り者への弾圧が正当化されることになる。
何も彼ら彼女らが特別に邪悪であったりサディストだからそうなるんじゃないんですよ。
その正義への確信の強さこそが、そのまま裏切り者への扱いの苛烈さと直結する。
いやあせいぎっておそろしいよね。



ともあれ、話を戻して。個人的にとっても皮肉で面白く、そして象徴的だと思うのがこの部分だと思うんですよね。

軍事政権でさえ弾圧しなかった大字報に関する今回の起訴は、その意味においても韓国社会にとって衝撃的だった。ことに今、文在寅政権の主軸を担っているのは他でもない、軍事政権下に於いて大字報を書き、貼り出すなど、広く活用してきた人々だ。文在寅大統領自身も学生時代民主化を要求するデモに参加し逮捕された経験があり、大統領秘書室の人員や長官等の多くが、学生時代には大字報という土台の上で民主化運動を行ってきたのだ。

韓国・文在寅政権──モンスターになってしまったモンスターハンターたち | 崔碩栄(チェ・ソギョン) | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

彼らはかつての壁新聞の当事者たちでありながら、今それを禁止しようとしている。
つまりそれが意味するのは、逆説的に『効果』が解っているからこそそれを禁止しようとしているという合理的な振る舞いでしょう。
もし、そもそも当事者たちの実感として効果がないと感じていたならばそもそも無視しておけばよかったわけだし。
――ところが彼らは、まさに軍事政権時代が「解っていなかった」故に放置していたようなそれを、正しく禁止しようとしている。


皮肉にも報道のチカラを信じているからこそ、権力を握った今になって蛮行に走る人たち。
いやあ経験に正しく学んでいる、かつての軍事政権よりもずっと賢い人たちだよね。何しろ過去の彼らはそこを甘く見たからこそ、敗北したんだから。
その実体験を元にするのならば、弾圧することこそやはり権力者として正解である。


いや、もしかしたら自分たちの『実体験』から、それにはどうせ効果ないからと父権主義的にそんな無意味なことをやめさせようと、あるいは「風説の流布」「デマ」の危険性を認識しているからこそやっているのかもしれませんけど。
まぁ現状を見る限りその可能性は薄そう。


絶対的正義を追求しているからこそ、それに背きかねない私たち愚民たちの「自由」に恐怖しそれを縛ろうとする、善意の権力者たち。
誰もがそのすばらしい正義や真理に賛同してくれたらいいのにね。
――しかし愚かで自由な私たちは、幾ら正義や真理を説かれても、万人その全てが等しく同意するわけでは絶対にない。


ならば、その同意しようとしない『裏切り者』への罪の重さは一体どれくらい?


みなさんはいかがお考えでしょうか?

終末だというのにあなたは一体なにをしてるんですか? 忙しいわけないですよね? だって世界の危機ですよ?

「気候変動対策ニ賛同セザルハ人二非ズ」と叫ぶ人たち。



グレタさんが振りまく「終末論ムーブメント」――“破滅の未来”はなぜ人々を魅了するのか (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン
面白いお話。

 グレタ・トゥーンベリ氏が「気候危機って、未来を修復できない全面核戦争みたいなもの」(前掲書)と断言した通り、今や最も現実味のある「世界の終わり」は「地球温暖化の危機」です。

グレタさんが振りまく「終末論ムーブメント」――“破滅の未来”はなぜ人々を魅了するのか (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン

まぁこうした(善意あふれる)人たちが強い言葉を使うこと自体は――賛成するかはもちろん別として――合理的であると理解できるんですよね。
だって強い言葉を使えば使うほど、人びとの危機を煽り耳目を集めることができるから。
だって強い言葉を使えば使うほど、フリーライダーな人びとを減らすことができるから。
だからまぁ気候変動問題をそのままイコールで『世界の終わり』と結びつけるのは、一石二鳥でとっても便利な使い方ではあるんですよ。
何もかも一足飛びで説得力を増す(ように見せかける)ことができる、とっても手軽で簡単な終末論だいすきな私たち。
物語におけるデウス・エクス・マキナのようななにか。彼女が信じるストーリーにおいて、「世界の終わりだ!」と叫ぶのはそういう構図があるのだろうなあと。


ただ、そうした「世界の終わりだ!」という強い言葉には、同時に私たち全人類に向けた「議論の余地のなさ」「拒否権のなさ」という当然あるべき大前提が内包されることになるんですよね。
――世界の危機なのだから、当然だれもが協力すべきである。
穏健的な賛成派ですら彼女の言葉に内心しり込みしてしまうのは、意図しているのか無自覚なのか、こうした強い言葉を使うことによる個人の自由を縛りかねない恐怖政治や全体主義っぽさがわずかに顔を覗かせているからなんだと個人的には思うんですよね。
そこに議論の余地はなく、故に誰もが賛成すべきである、なんて。
気候変動対策に賛成しないなんて人間じゃない。


まぁ上記でも書いたようにやっぱりそのように糾弾すれば、この気候変動対策でも必ず生まれるだろうフリーライダーな人たちを牽制する効果は確かにあると思うんですよね。
一般にはその関係当事者なプレイヤーが多ければ多いほどフリーライダーしようとする人たちは多くなる。
――であれば、この地球そのものを共有地とするこの気候危機においては、事実上フリーライダーは極大化することになる。
そして、だからこそ彼女ような善意溢れる人たちはそのように「セカオワ!」と振る舞っているのでしょう。
やっぱりそれ自体は合理的ではある。


それこそ僕自身も基本的には気候危機があることが認めるし、行動する必要があるということには同意します。
しかし、だからといって、その同意がそのままその対策の為に学校に行かない自分自身の財布を積極的に開くほどか、と言われると正直言葉を濁すしかないないわけで。
そんなもん他の誰かがお金を出してくれた方がいいに決まってるよね。
しかし、もし、自分たちも影響が避けられないマジの「セカオワ」だったら吝かではない、かもしれない。

気候変動が紛争や大量破壊兵器を上回る長期的なリスクとなっていると世界のリーダーたちが指摘 - GIGAZINE
その意味でいうと、古くは『灯台問題』から、新しくは社会的ジレンマな『共有地の悲劇』による研究が教えてくれるように、フリーライダーな問題を真っ当に解決するために必要なのは(ウソでもいいから)「公正な負担感」でもあるわけですよ。
平平凡凡たるふつうの私たちが社会貢献にしり込みしてしまうのは、何もケチやわがままに自分さえ良ければいいという自分勝手さが根底にあるからではなくありふれた心情=自分だけが損をしたくない、というそれ自体は責めようのない率直な気持ちがあるからでしょう。
周囲に腐ったリンゴが目立てば目立つほど、私たちはその負担を負うことに拒否感がましてくる。誰だってそうだよね。
公平な分担と、フリーライダーをできるだけ減らすこと、それさえできれば共有地の悲劇の多くは解決する。


この二点こそ気候危機においても世界全体で動き出す最大のエンジンだと思っているので、グレタさんには是非その実現を訴えてもらいたいと個人的には思います。多分先進諸国における政治的な反対派の少なくない部分がそうした感情によるんじゃないかな。
――でも、そんな世界レベルでの「公平な分担」をやってしまったら、所謂後進国発展途上国たちは当然反発するんじゃないの?
『気候正義』の正しさの射程はどれくらい? - maukitiの日記
今ふたたび『差別化された責任』が問われる時代 - maukitiの日記
まぁ、それはそうだと認めるしかない。
そして、だからこそ、その分担割合を巡って私たち大人は尚も世界的な合意(それに基づいた実際の行動)をできていない。
僕たちより若い世代の――まさにグレタさんのような!――より賢いだろう人たちが、何か冴えた知恵を出してくれるんじゃないかな?
だからこそ、天才ガチャをいっぱい回すために、子供がいっぱい生まれる社会であって欲しいと願う次第ではありますけど。


気候危機対策において、『終末論』を持ち出す以外でその公平感を担保し、フリーライダーを減らすことができるだろうか?
結局このムーブメントが背景にある理由ってそういうところに着地するんだと思っています。
「世界の終わりだ!」と煽ってしまう時点で冷静で建設的な議論など不可能であると、もう語るに落ちてる感はありますけど。


みなさんはいかがお考えでしょうか?

今、再びそこにあるようになった先制攻撃の危機

「先制攻撃は決して怖くなーい勇気をもってくださーい!」by冷戦直前のランド研究所の研究員一同。



【解説】 イランとアメリカの危機は終わっていない 5つの理由 - BBCニュース
報復の連鎖も止まりそうだし、ついでにイラン側が旅客機誤射も素直に認めたことで、とりあえずは一安心な感じもするアメリカとイラン危機に、冷や水をぶっかけていただいているBBCさんちの解説であります。

この合意は重要だ。合意が成立する以前は、開戦リスクは本物だった。イスラエルが(そしてあるいは、アメリカとイスラエルが合同で)イランの原子力インフラを攻撃する可能性が、非常に高かったのだ。

イランは合意の他の当事者の支持を可能な限り取り付け、核合意を継続させようとするだろう。しかし、この危機は腫れ物に膿(うみ)がたまるように悪化を続けている。欧州がどれほど努力しても、イラン政府に対する経済制裁を緩和する方法は見つからない。合意はやがて破綻するのかもしれない。そしてその間にイランは、核爆弾の製造へと一気にスパートをかけるかもしれないのだ。

【解説】 イランとアメリカの危機は終わっていない 5つの理由 - BBCニュース

歴史が教えてくれる核戦争の危機というモノを考えれば、まぁ自明なお話ではありますよね。
「相手が反撃の核兵器をまだ持っていない時こそ、最も先制攻撃に適したタイミングである」なんて。
1940年代末から50年代の当時、おそらく世界でも最も賢い数学者や経済学者たちが集まったランド研究所で「出し抜かれる危険を冒すよりも、先に裏切るほうがよい」という結論を数学的見地からはじきだした、血も涙もない人たち。
(実際に後の歴史がかなりの部分でそうなったように)ぐずぐずしていればソ連も核保有国となり、アメリカと西側世界は地球滅亡の恐れのある核チキンゲームに巻き込まれるだろう。ならいっそその前にアメリカから核攻撃を……。


こうした賢い彼らが推奨した先制核攻撃・予防戦争理論は、実際にソ連が水爆を配備するようになると、まさに彼らが指摘してもいた通り急速にしぼんでいくわけですよ。
そりゃ核兵器持っている相手に先制攻撃したらどうなるかなんて解りきっている話でもあるし。
かくして核兵器の均衡状態は『核による平和』を生み、その恐怖の均衡状態は当時彼らが想像した以上に強固な存在となってその後の私たちが生きる国際関係の基本構造を定義していくことになる。
実際に(それを目指しながら)結局は核を持てなかったイラクリビアがどうなったか、あるいは同様の成功(失敗)事例の極北として北朝鮮がどうなったか。皮肉にも保有が自他ともに確実となった2020年の今の北朝鮮を取り巻く状況がどうなっているか私たち自身が今目にしているように。


つまるところ、核兵器を自他共に「持っている」ことを認める・認めざるを得ないという所にまで行けば一安心という話でもある。
核戦争を避けるために核兵器を持とう!
――むしろ「持てるかもしれない」「持たれるかもしれない」というその不安定な直前でこそ最も先制攻撃の誘惑に駆られるタイミングでもある
あの北朝鮮の時もそれは同様で、おそらく最も先制攻撃容認に近づいたのが1994年ごろ*1だったように。


悲しいかな21世紀に生きる私たちは尚も、70年前にかつてランドな彼らが見出した血も涙もない論理の下に生きている。


よく『核なき世界』を目指す善意溢れる人たちからこうした構図について批判されたりしますけども、それは何も平和を生み出す・戦争を抑止することそものにに役に立つわけじゃないんですよ。
――そして何も短慮からそうしているわけですらない。
むしろ核兵器の危険性を本気で深く考えれば考えるほど、持たれる前に抑止しようとする先制攻撃のインセンティブが高まってしまう、という核兵器を巡る国際関係について、ただただ正しく説明しているに過ぎない。


核戦略とほとんど同じ時代に生まれたゲーム理論が説明してくれるのは、核兵器が生まれる直前こそ最も戦争のリスクが大きい、というお話でもある。
そして、つまり、現在のイランを巡る国際関係というのは……。


世界が平和でありますように。

通常日記

手抜き日記。
 

 

 

  • プラスチック禁止が「環境破壊につながる恐れ」 英シンクタンク - BBCニュース
    • ストロー禁止なバカな話もありましたけど、プラスチックという解りやすい「悪玉」に飛びついてしまう私たち、というお話なのかなあ。専門的な複雑な話をしても誰もついてこないもんね。だからこそ、話を限りなく単純化してくれるグレタさんなんかがああして人気を博しているわけだし。でもそんな単純化された事実が真実かというと、うん、まぁ、そうねえ。だから彼女とトランプさんって主張としては両極端ながら、実は限りなく近い所にも立っているんだと思います。
    • ここから「こうなったらYoutubeで社会の真実を見極めるしかない!」という所に行ってしまうのが私たち凡人の限界という感じはあります。誰も今すぐすべての私たちに叡智を授けてなどはくれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

  • 世界には宗教的少数派に対する虐殺や迫害が渦巻いている - GIGAZINE
    • むしろ21世紀な現代世界だからこそ、宗教迫害が増しているというのはホント皮肉なお話だよねえ。いや、これまでもずっとあったそれがより表に出てくるようになっただけ、というお話でもあるんでしょうけど。
    • つまりそれって普段リベラルを謳う私たちのスルー力・見て見ぬフリ力の逆証明でもあるんですけど。いやあへいわとかじんけんってだいじだもんね! ウイグルのみんなももっと防護服でも着たらいいんじゃない?

 

 

 

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    • E6開始前には先行組の様子を見て「まーたカットイン運ゲーかよ」とかなりやる気が削がれていたものの、いざやってみたらラスダン一発でS勝利だったので、リアル体調を生贄に幸運を招来させた感があります。いやまぁ実のところ元々貴重な運上げしている(他は北上アブゥのみ)エース駆逐艦である夕立綾波が、ぴったし特効艦だったからという身も蓋もなさではあるんですが。結果として見れば今回のイベントで運営開発の一番の友情ポイントってここだと思います。元々最強艦が更に高倍率特効艦なんだからそりゃ楽(ワンチャン生まれる)だよねっていう。
    • ともあれ、提督のみなさんおつかれさまでした。次の冬()イベでまたがんばりましょう。