果たして彼らの分断戦略は成功するか

あの狂人っぷりは天然かそれとも計算なのか。


「お遊びの時間はおしまいだ」 | 酒井啓子 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ヨルダン国王、イスラム国に「厳しい対抗措置」宣言 操縦士殺害で 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
パイロット殺害映像でヨルダンは「報復」宣言、死刑囚を処刑| Reuters
ということで大騒ぎの焼殺ニュースであります。いやまぁぶっちゃけそれ以前の『首切り』だって普通に考えれば十分に凄惨過ぎる処刑だったわけですけども、まぁそれももうそれこそ10年近く(私たち日本人ですら以前の人質事件等で)見てきた光景だったので、言葉は悪いものの「慣れた」「見飽きた」所に、今回の処刑がまた新鮮な衝撃を呼んでいる、という面はやっぱりあるのだろうなぁと。

 だがその一方で、脅しは他の有志連合に十分に効いている。ヨルダン人パイロットが拉致されて以降、有志連合の一員、UAEは、一切出撃をしていない。それまで「アメリカのお付き合い」で形だけ参加していた湾岸のアラブ産油国は、ヨルダン以上に軍事的に脆弱である。怯えて手を引いても不思議ではない。

 ヨルダンが最大の頼りとするアメリカも、今後の進退が微妙なところだ。ヨルダンを単独で突っ込ませるわけにいかない。とはいえ、ヨルダンに引きずられて「イスラーム国」相手の全面戦争を決断するにはリスクが大きすぎる。アメリカもまた、26歳の女性ボランティアを「イスラーム国」に拉致されている。

「お遊びの時間はおしまいだ」 | 酒井啓子 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

確かに非人道的で文明社会に生きているのであればまったく許容できない彼らの野蛮人なやり方ではありますが、しかしそれが全く無意味で効果がないかと言うと、やっぱりそうではないんですよね。文明的であればあるほど、野蛮人の所業に怯える理由は大きくなる。幸か不幸か、素晴らしきIT時代に生きる私たちはその現地で行われる処刑の視聴者となることができる。
衝撃的な映像である故に、立ち竦む国は少なくない。
――もしこれが自分の国の兵士だったら?
つまり「俺たちを敵に回すとこうなるぞ」というのは、まぁどこでも見られる脅迫手法であり『脅し』としては基本であるからこそ効果的でもあります。国際関係において頂点にあるのが核兵器による『マッドマンセオリー』であるし、イスラム国によるあの凄惨な処刑もその一つであるのでしょう。理屈の通じない野蛮人であることが、あるいはそのフリをすることが交渉においては有利に働く(こともある)。
西側同盟諸国のココロの隙間を突くもの - maukitiの日記
こうしたお話は以前日記でも少し書きましたけど、やっぱり日本が狙われたのはその有志連合の分断戦略の一貫であり、今回のヨルダン兵士処刑もその一つであるというのは概ねその通りなのでしょう。そうすることで有志連合の足並みを、先走る国と立ち竦む国とで、乱すことが可能となる。
今回の衝撃映像は「万が一」のリスクを――実際にはともかく国民感情の面で――上げることになるのは間違いない。例えば私たち日本は「それでも」人道的支援をするべきなのか、というのはきちんとコンセンサスを得るべきだよなぁと。まさにそれが無かったからこそ、先日の人質事件ではあれ程大騒動になってしまったわけだから。


犠牲を恐れるのならば政策を変更するべきだ。恐怖という感情によって相手の行動を支配しようとする正しく「テロリスト」の戦略。敵側同盟に対する分断戦略。その意味で言えば、日本人人質事件や今回の焼殺も、それなりに意味のある行為と言うことはできる。
まぁやっぱり、歴史に習ったという意味で、上手い戦略だよなぁと感心してしまうお話ですよね。


果たして彼らの分断戦略は成功するか否か。
みなさんはいかがお考えでしょうか?