『世界の警察』だけでなく『大悪魔』でもなくなりつつあるアメリカ

まぁ考えてみたら当たり前の話ではありますよね。


【イラン核合意】最高指導者ハメネイ師は反米堅持「どんな話し合いできるというのか」 - 産経ニュース
昨日に続いてイラン核協議合意の余波についてのお話。そういえばイランと言えば「アメリカは大悪魔」と罵る国家だったよねぇと。

 イランと米国が今後、中東地域の問題で連携できるかも注目されるが、ハメネイ師は米国と建設的な対話をする意思はないと表明。「(レバノンイスラムシーア派民兵組織)ヒズボラをテロ組織呼ばわりし、子どもを含む市民を殺すイスラエルを支持する政府と、どんな話し合いができるというのか」と指摘した。ヒズボラはイランの革命防衛隊の指導下で創設された経緯がある。

【イラン核合意】最高指導者ハメネイ師は反米堅持「どんな話し合いできるというのか」 - 産経ニュース

まぁイラン現体制のそもそもの成り立ちを考えれば、そこで致命的なコンフリクトを抱えることに成るのも当然ですよね。まさに彼らの革命新政権は「アメリカと密接に結びついた」独裁者=国王を排除した事こそがその正統性としてあるわけだから。故に大悪魔であるアメリカとの対決は、存在意義そのものですらあった。そりゃ反米国家以外に成りようがありませんよね。
ちなみに逆にアメリカの怒りを買いまくったのは単純に関係の深かったイラン王政を打倒したからだけでなく、そもそも新政権が当時あったアメリカの資産を没収したからであり、そこに大使館人質事件がトドメを刺してしまうのでした。


しかし、皮肉なことにアメリカが相対的に弱くなることが、そんなイランの反米感情を和らげることに繋がっているっていう現状。
焦点:中国にらみ戦闘機配備へ、フィリピンが元米軍基地を再利用| Reuters
この辺は以前も少し書いたフィリピンの二の舞を避けられるだろうか? - maukitiの日記まさにイランと同じく腐敗した政権と結びついたアメリカを独裁政権と一緒に追い出しながら、現在になって呼び戻したフィリピンの事例と少し似ていて興味深い事例だよなぁと思います。
圧倒的な超大国であったアメリカ時代にはなかったインセンティブがどちらにも働いている。つまり、最早アメリカと戦う理由がなくなりつつあり、以前は半ば冷戦構造下におけるアメリカ関与として半ば強制されていた(多くの場合で独裁者とアメリカの癒着によった)対米関係が、冷戦構造が無くなった現代にもかかわらず自発的選択として復活しつつある。
時間って偉大だよね。


最早強大でなくなりつつあるアメリカは敵ですらなく、むしろせいぜいアメリカは利用した方がいい。
世界の警察をやめつつあるアメリカは、しかし今度は――本邦でもそうであるように――退職後の天下りとしてはむしろ人気を集めてもいるっていうね。フィリピンの時も書きましたけど、北風と太陽なお話だなぁと。


みなさんはいかがお考えでしょうか?