エルバラダイさんの誘われ攻めテクニック

あるいはエジプトさんちの家庭の事情。


エルバラダイ氏「変革率いる用意ある」、デモ死者7人に エジプト 写真9枚 国際ニュース:AFPBB News
大規模デモを前にエジプトでインターネット遮断 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

同氏はウィーンで記者団に対し、「求められれば「変革」を率いる用意がある」と話している。

エルバラダイ氏「変革率いる用意ある」、デモ死者7人に エジプト 写真9枚 国際ニュース:AFPBB News

なんか語尾に『(キリッ』とでも付きそうな勢いですけど、ぶっちゃけこの人前回のエジプト議会選挙でボイコット呼びかけたんだけども、全然相手にされなかったんですよね。で、失敗し国外に逃亡してた。だからウィーンに居たわけで。
エジプト議会選挙、第1回投票は与党NDPが圧勝 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
結局、去年11月末にあった選挙結果は現与党の圧倒的勝利だった。ていうか選挙民はその時何してたんだって話ですよね。だってエジプトで選挙あったのはたったの2ヶ月前なんだから。デモだなんだと騒ぐ位ならその時に野党に投票するなり、あるいはエルバラダイさんの扇動通りに選挙ボイコットするなりすれば良かったのに。だけどチュニジアに釣られて燃え上がってしまったエジプト。勿論確かにエジプトの現政体は一党独裁状態なんだけども、しかしなんか微妙に気の抜けるお話ですよね。何で今更燃え上がってるの感。


この辺の経緯は日本語のサイトだと、
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/
特定非営利活動法人 日本イスラム連盟 [JISL.ORG]
辺りが詳しい。

 エジプト出身で、IAEAの事務局長を務めた、ムハンマドエルバラダイ氏が任を離れ、帰国した後で、エジプトの民主化運動を始めた。憲法を改正し、誰でも大統領に立候補できる状態を、生み出そうと呼びかけた。
彼の提案は、エジプト国民の間で広く支持され、それに伴った民主化運動が、沸き起こった。結果は、何人もの死者と負傷者、逮捕者を出すというものだった。エジプト人の友人たちに聞くと、ムハンマドエルバラダイ氏は、肝心な段階になると、外国に出てしまい、継続してエジプト国民と、民主化運動をしていたのでは無いということだ。
つまり、インテリがよくやる、社会派的な見せ掛けの、運動でしかなかった、ということであろう。長い間エジプトを離れていた彼は、エジプトの実情を正しく理解していなかったし、エジプト国内での、政治運動の危険さも、分かっていなかったということだ。

http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2010/12/no_928.html

 エジプトの左翼活動家のミラド・ハンナ氏は「エジプト国民は現状に満足している。彼らは与党を受け入れているのだ。」と語り「エジプト国民は選挙結果なんか気にしていない。国民の間では選挙は関心事ではなかったし、投票にも行っていないのがほとんどだ。」したがって国民が怒ったり、抵抗活動を始めるということはあり得ない、と冷たい反応を語っている。

「エジプト国会選挙は与党の大勝利で終わった」 - 特定非営利活動法人 日本イスラム連盟 [JISL.ORG]

いつもの如く、この辺はあんまり日本では報道されてませんが。でもこうした経緯を前提として最初の発言を見ると、エルバラダイさんも前回のことがあるから殊更にもったいぶって感じで「やばいなー、仕方ないなー、そこまで言われるとなー、ほんとはやりたくないんだけどなー」的な誘われ攻めにしか見えませんよね。
で、更にいえばエジプト国民の皆さんは何故か今更燃え上がっている。エルバラダイさんが先々月の選挙までにあれだけ煽って失敗したのに。まぁ多分チュニジアのあれを見て自信を持ったからなんでしょう。エルバラダイさんじゃ全然大丈夫じゃなかったと。名前は似てるのにね!


今回のエジプトの話で証明されたのはつまり、『ノーベル平和賞受賞者の言葉』なんて要素よりも『チュニジアの成功』の方がよっぽど大きな影響力があったということなんですよね。こうしてまた「ノーベル平和賞(笑)」扱いされてしまうと。悲しいお話です。


そんな、確かに国際関係上の影響力は大きいんだろうけども、しかし微妙に気の抜けるエジプトのお話でした。