令和でも「井戸に毒を投げ込む不逞外国人」を再発見する人たち

ザ・魔女狩り



能登の被災地で「マイクロバスに乗った中国人窃盗団」というデマが拡散中。情報源の消防団長は「誤情報だった」と認める。 - Togetter
ということで正月早々大きな地震があったそうで。地震とは切っても切れないわが国ではありますが、まさかの元旦直撃なのは精神的ダメージが一段上になっている感はあるよね。

2024年1月3日頃から、能登半島中部の志賀町で「中国人窃盗団がマイクロバスで被災地を回って窃盗をしている」というデマが拡散しました。
最終的には情報提供したとされる消防団長当人が中国人窃盗団の存在を否定して、誤情報だと確定しました。
しかし、その後も「マイクロバスに乗った中国人窃盗団」 というデマが拡散され続けています。

今回のデマは情報源がはっきりしていて誤情報だとの確認も早かったですが、東日本大震災の時には同じような内容のデマが情報源不明のまま拡散し、中国語話者の殺害を掲げた自警団も被災地にやって来る危険な事態になりました。
今回は被災地の内部から出て来たデマでしたが、このデマがどこから出てどのように拡散したのか記録しておきます。

能登の被災地で「マイクロバスに乗った中国人窃盗団」というデマが拡散中。情報源の消防団長は「誤情報だった」と認める。 - Togetter

で、こんなオモ白ユカイな自体がまた起きていたそうで。


でもまぁ仕方ないよね。この前も草津でレイプ犯がいると聞いてその流言飛語に飛びついた人たちがいたことを考えると、なにも今回だけの例外的なバカだと断定できないのが悲しい人間のSaGaであります。
もちろんこうした件をもって「だからニホンジンは~」といつもの中世ジャップランドなレッテル貼りに勤しむこともできなくはないですが、僕はやっぱりダニエル・デフォーがペスト流行の混乱期について指摘していたような、それこそ人類が『出版』をテクノロジーツリーで解放した瞬間から始まった流言飛語の拡散が大衆に混乱の種をもたらすことの歴史を思い出してしまうかなあ。
17世紀からニンゲンって進歩してないのね。
……たかが300年ちょっとじゃそんなものか。


ともあれ、個人的にも好きなので当日記でも以前から『地獄への道は善意で舗装されている』な警句をよく引用したりしていますけども、今回の件もその典型でしょう。
ネット上の「救助隊を日本が拒否」言説は「公平性欠く」 台湾の外交部が声明 - 産経ニュース
一方でこうした左右からの政権批判という名のデマが噴出したりしていますけども、これはどう見ても震災をいつものように『ザ・政争の具』にしているだけであって、上記とは微妙に違う構図であります。
――つまりそんな震災を政争の具にするようなマジの不逞の輩と違って、震災やコロナなど社会の危機の際に颯爽()と登場する彼ら彼女らは何かの切っ掛けによって、その『善』によって一線を越えても構わないと考えるようになってしまった。
これこそが面白いというか、ふとニンゲンのサガについて考えるに値するテーマだとは思うんですよね。


普段は正義を素朴に愛していた一般市民が、あるタイミングによってまるで独裁者のように「目的の為なら手段は何でもいい」とばかりにあっさり一線を越えてしまう。
それまでは一応は余所者を受け入れ推定無罪を前提に文明人らしく振舞っていた人たちが、何かの契機にいきなり思い付きで行動することは悪ではなくなり、専門家による検証作業など必要としなくなってしまう。
目的の為ならば、多少手段に問題があってもいいし、誰かを犠牲にしたっていいのだ、なんて。


かつての時代では、せいぜい村の中の魔女を磔にして火あぶりにするだけで済んでいたそれが、大衆紙の登場、そしてコロナの騒動でも明らかになったようにSNS全盛期によって誰もが「暴走する独裁者」な振る舞いをできるようになってしまった。
普段はちょっと理解しがたい独裁者の暴走ですけども、そう考えると独裁者がとっても身近に感じられるようになるし、実はドラえもんに出してもらうまでもなく誰もが『どくさいスイッチ』を持っていたなんて2024年ってすごいね! 
いや、原作のどくさいスイッチと違って、別に『セカンドレイプの町・草津』と相手を磔にしても、その評判を元に戻すことは今更できないのだから欠陥商品なのでは???


欠陥品のどくさいスイッチで正義を執行しようとする人たちについて。
みなさんはいかがお考えでしょうか?