だからそこは日本が10年前に通り過ぎた場所だというのに

いつもの「日本大勝利!」のお話。敗北を知りたい。


S&P、ユーロ圏各国の国債格付けを一斉引き下げ 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34366
ということで少し前に一斉に格下げされて微妙に盛り上がりを見せていた、私たちからすると見慣れたいつもの『格付け機関不信』であります。
しかしまぁ私たち日本から見れば「なにを今更」という感がものすごいですよね。もう恒例行事と化して最近ではもう「すわ日本国債格下げか!?」という報道が出るたびに「あー……じゃあ、まあ、座ればその辺……」という何とも言えない空気が漂うわけです。あまりにも敏感に反応し過ぎる防犯装置を見ているかのようですよね。そのあまりにも多すぎる警戒警報はいつしか無視されてしまうと言うのに。

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による日本国債の格下げは1月27日に市場を震撼させた。その後は例によって、格付け会社が日本の信用力について何を語るかはほとんど重要でないという冷静な認識が広がった。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5363

それでもまぁ各格付け機関は、あのエンロンサブプライムローンという決定的な破綻を見逃したとしても――ついでに日本の信用力はともかくとしても――それぞれの国債に関してはそれなりに正当な格付けをしているはずだ、という(諦めの悪い)認識があったのでした。でもまぁそれも理解できない話ではありませんよね。何せそれまで彼らは他人事だったわけだから。
そしてとうとうユーロ危機を受けて今回見事に彼らは他人事ではなく当事者として、かつての日本と同じように、その場所に立つことになったのです。
――で、それを受けての上記のようなフランスのサルコジさんたちなどの「身勝手で無責任な格付け機関」への激怒であったと。いやもうなんというか、生暖かい気持ちになってしまいますよね。


ちなみに、10年前のあの時の日本で第一次小泉内閣財務大臣だった塩川のおじいちゃんは、ボツワナと同レベルにされた日本国債の格付けに反発し、次のようなことを述べていました。

「日本への内政干渉である。格付け機関は身勝手すぎる」

わーそっくりー。
ということでまた日本が未来に生きていることが証明されてしまいました。その国債格付け機関から一方的に格下げされた時、どの国も皆そろって似たように激怒する。また一つ日本の勝利が証明されてしまいましたよね。すごいむなしい。