あの時、本当に助けるべきだったのか?

ソマリアの惨状を世界が見捨てた訳 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
リメンバー『ブラックホークダウン』の話。

 98年、国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとされるソマリアイスラム過激派が、ケニアタンザニアの米大使館を爆破。01年に9・11テロが起きると、米国防当局は再びソマリアに目を向けるようになった。 

 だがソマリアには石油はなく、アルカイダの大物幹部もいない。国際社会はこの国を混乱から救うより、周辺国への混乱の波及を防ぐことに知恵を絞るようになった。

ソマリアの惨状を世界が見捨てた訳 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

あれだ、廃ビルとか廃工場にたむろする不良グループに頭を痛める市長、な構図。
色々あって廃墟となった場所に、タチの悪いやつらが集まりそうだからどうにかしたいけど、解体爆破(更地)にするには金が掛かりすぎて不可能。


そうして事業仕分けのごとく「ソマリアが安定しなくても困りませんよね。無駄ですね」の一言でソマリアは無かった事にされている、と。


関連:ソマリアの重さとアフガンの重さ - maukitiの日記


 アルカイダソマリアに本格的な拠点を築く恐れがある限り、完全に手を引くわけにはいかないが、混乱収拾の道筋も見えない。17年前にアメリカの楽観論がこの国を混乱に陥れたとすれば、今はアメリカの悲観論がこの国を絶望の淵に捨て去ろうとしている。

ソマリアの惨状を世界が見捨てた訳 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

この記事ではアメリカが悪いかのように書かれているけど、
実際の所、何が見捨てたって「民主主義という理想」が故に見捨てられたんだと思うんですよね。
かつてソマリアを植民地としたイギリスを始め、19世紀頃の欧州の帝国は(道徳的な問題はともかく)かなり安定して植民地を統治・経営していた。
何故かって別に現地で誰が独裁的に振舞おうが、本国にさえ逆らわなければどうでもよかったから。



翻って話は現在、軍事独裁政権は失敗し、内戦となったソマリア
で、国連やアメリカ軍はどこを目標にこの混乱を収めようとしているのか?
今更、軍事力で収める独裁政権だとか、イスラムの過激派に委ねるなんてとんでもないと思っている。
昔の植民地統治と違って、今は21世紀。わざわざ介入した結果がそれなんて誰も納得しない。


だけど現在のソマリアに民主主義が根付くなんて、絶対に、無いと言い切れる。
しかし一度介入した以上、今更もう民主主義以外の結論となるのは許せない。後には引けない。
かと言って民主主義はどう見ても不可能。
で、結論としては「どうやったら無かった事にできるか」と。


こうして見ると「失敗したアメリカが悪い」というよりもむしろ、
「そもそも何で介入しちゃったの?」という後悔の方が強いように見える。


このソマリアの件においてもっとも救えないのは、
「初めから介入なんてしなければ良かったのに」というそれはもう人道的にひどい結論と、
まさにそれが正しかったと証明されているソマリアの現状なんだと思う。