オバマ大統領の掲げた理想の顛末

以下の日記はいつものことながらオバマ愛、もとい独断と偏見と電波に満ち溢れている可能性があります。


Opinion & Reviews - Wall Street Journal
Disappointed, down, despondent - The Democratic left
不満なアメリカ : 地政学を英国で学んだ
これまでも個別の政策としてオバマ批判やその幻滅が語られることは良くあったんだけど、上記の記事等を見る限り、中間選挙が迫ってきて潮目が変わり始めた感がありますよね。もはや個別ではなくて総体としてのオバマ政権への幻滅という観方。
まぁ実際の所、これまでの日記でもさんざん書いてきた「医療保険改革」も「グリーン・ニューディールを始めとする環境政策」も「核なき世界」も「イラクよりアフガン重視戦略」も、まぁそれぞれの理由でほとんど壊滅に近い状況なんですよね。あ、何か書いてて悲しくなってきた。そして更にはBPの原油流出事故や経済問題や人種問題さえもそれに追加される。

  • 上記の中でもせいぜい成功したのは医療保険改革位であるが、むしろそれさえも文学風に言えば『ピュロスの勝利』だったりした。
    • もちろん彼の信念的には大きな一歩なんだろうけど、しかしぶっちゃけてしまえばその成立までの過程と結果によって、オバマ大統領の政治的得点に何かなったのかと言えばほとんどならなかった。茶会運動などを始めとする強烈な反対運動をくぐり抜けてまでようやく成立させたオバマ大統領の医療保険改革法案は、しかし「損害が大きすぎて、得るものが少ない勝利」だった。
  • またオバマ大統領の目玉政策の一つでもあったグリーン・ニューディール環境保護政策は、結局、温室効果ガス排出量を制限するための包括的エネルギー法案の成立も断念された*1
    • 日本でもエコ大好き的な人たちが去年位に盛り上がってましたよね、その法案が下院を通過したとかで。で、その一年後の現在、上院で前述の医療改革法案などで共和党の恨みを買い捲った結果成立の見込みナシとなった。もしあの時上院補欠選挙民主党候補が勝ってさえいれば*2、もしあの時オバマさんが共和党の恨みを買ってさえいなければ、もし共和党がもっと優しければ。しかしそうはならなかった。
  • 「核なき世界」はオバマ大統領は演説とかをがんばってノーベル平和賞を受賞し、大変素晴らしいと思います。おめでとう!
    • そしてそれを横目にイランはトルコやブラジルと独自に協定を結んでいた*3。核なき世界はどこへ?
  • アフガニスタンは、駐留司令官は更迭されるわ*4なんか機密文書的なものが流出されるわ*5で大騒ぎ。退くも地獄進むも地獄です。
    • しかし最初に言った以上(そしてイラクを事実上見捨てた以上)ここでも退く訳にはいかないものの、しかし大兵力派遣を決断できるほど政治的に余裕があるわけでもない。この点でアメリカは進むことも退くこともどちらも同じ位恐れている。
そろそろ次の大統領の話ですか?

もちろんこのような最初に掲げた公約の失敗だけでは絶対にない。彼が進展をもたらしたものは確かにある。しかしそれでもまぁ私たちは大抵の場合「減点方式」が大好きだから。最初にハードルを上げ過ぎたせいで余計に苦労を背負い込み、それが積み重なればデッドラインをいつか越えてしまう。総体としての批判が表に出てきたのはそうした状況なんでしょう。


結局の所、かつての彼の武器だった理想やチェンジなどの幻想は、今度はまさに幻滅という弱点の形で現れてしまった。それは実際の所同じ物であって、かつてそのカリスマ故に評価され、そして今はそのかつてのカリスマ故に幻滅されてしまう。
こんなはずではなかったと。