パレスチナ問題の「inエジプト」と「outアメリカ」

あるいは中東主要プレイヤーエジプトさんの復活劇、のお話。


ファタハとハマスが和解、統一政府の樹立で合意 パレスチナ 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_229575
エジプトの民主化による影響。確かにこうして後になって考えてみれば方向性としては不思議ではないんだけども、しかしまさかこうくるとは全く想像できませんでした。
つまり前ムバラク政権時代の親イスラエルなポジションから変化して、元々あったエジプトの国民的な親パレスチナの感情によって今後エジプトが反イスラエルな方向へとシフトする、というのは以前から結構予想されていた話ではありまして。
世界が逆に回転する-イスラエル編- - maukitiの日記
でも現実の結果としてこんな風に「ファタハハマスの和解」がそんなエジプトの仲介によって達成されるなんて、やっぱりびっくりです。


さて置き、まぁ現在でこそこんな大きなニュースになりますけど、元々パレスチナファタハハマスは一緒にやってきたわけであります。少なくとも2007年の挙国一致政権崩壊と分裂内戦までは。で、結局それが元に戻っただけ、という見方もできなくはないんですよね。少なくともパレスチナの中だけを見れば。
でもあの時と全然違うのは、そんなエジプトのポジションがほとんど180度変わってしまったことにあるわけで。
これまでエジプトがそんなハマスの支配するガザ地区の南側を封鎖していたからこそ、三者イスラエルファタハ・エジプト)の暗黙の協力によるガザ地区及びハマスの封じ込めに成功してきた。そんな肝心要のエジプトがガザ地区との国境を開放すれば、そんな目論見なんて簡単に吹き飛んでしまう。
となれば残されたパレスチナさんちの選択肢としてはこうなる結果しか残っていませんよね。


といってまぁ多分、なんだかんだと次の選挙まではこのまま均衡状態が保たれるんではないでしょうか。
それまで中立ないし不干渉だったエジプトがこうして親パレスチナの姿勢を明確にした以上、何か色々火がつきそう気配ではありますけど、しかしそんな「ファタハハマスの和解」は、同時にアメリカをややイスラエル寄りのポジションへと再び回帰させるんだろうと思います。

 米国も警戒する姿勢を示した。国家安全保障会議の報道官は「以前に言ったように、国連は和平につながるような条件でのパレスチナの和解を支持する。しかしハマスは、民間人を標的にしたテロ組織だ」としている。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

実際こんなことも言っているわけだし。オバマさんのイスラエル離れという「チェンジ」の成果がまた一つ消えた感。
今回の事態を受けて、以前のブッシュさんの時と全く同じことを言言わざるを得なくなってしまったオバマさん。悲しいお話ですよね。折角ハマスが大人しくなって「チェンジ!」できたと思ったらこの様ですよ。


結局の所、今回パレスチナはエジプトという味方を得たわけだけども、でもそれは逆にイスラエルアメリカが着くことになるんじゃないかなぁと。それって得してるのか損してるのか結構微妙なラインじゃないのかなぁと考えたりします。