ほんとうの地獄はこれからだー

ソマリアさんちの家庭の事情と、それを取り巻く視線、なお話。


帰ってきたソマリア飢饉、驚愕の死亡率 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
東京新聞:東アフリカ 過去60年で最悪の干ばつ:国際(TOKYO Web)
ソマリア南部2地域に飢饉宣言、国連が緊急支援を訴え| Reuters
ということで相変わらず大変そうなソマリアさんちのお話。「帰ってきた」ソマリア飢饉なんて。どこのマンですかって感じですよね。
干ばつに内戦に更には食糧価格の高騰というトリプルパンチ。これまでも何度か書いてきましたけど、チュニジアやエジプトなどの革命騒ぎもやっぱりその食糧価格の高騰がその一因と言われてたりするわけで。日本なんて数奇な運命により円高なりまくって久しいのであまり意識されませんけど。あるいはそんな日本でさえも微妙に影響が見えつつあるのに*1、じゃあ通貨安の国にとってはほんともうどうしようもないことになってると。ともあれ、そんな「革命を起こす元気さえない」ソマリアな人びと。


さて置き、じゃあそんな餓死でソマリアの人がどんどん死んでいくのかというと、これってまだ前段階でしかないんですよね。
つまるところ、「過去60年で最悪の干ばつ」がもたらす最悪のものはそんな単純な飢饉というわけではなくて、一般にそれは「きれいな水の不足による感染症の蔓延」によってこそ多くの人が死んでいくことになる。まず食糧不足によって栄養状態が悪化して、そしてプラスして干ばつによる水不足は必然的に水源の汚染を招き、結果として不衛生な環境が病気の猛襲を招くことになる。多くの場合で干ばつのもたらすもので真に苦しみをもたらすものはビョーキだった。


一般に『地球温暖化』の招く中でも特に悲劇的な将来ってこういう事態であるわけです。「水没する町」や「融ける氷」などがメインに語られる一方で、しかしあんまり中心に語られることはありませんけど。
だからといって例えば、一部の人びとが鬼の首をとったかのように批判するような、現在のドイツや私たち日本などの即刻原発をなくそうとする努力する人たちが地球温暖化問題に対して特別に悪質なわけでもない。これまでだってそんな温暖化によって苦しむ人びとはずっと無視されてきたし、そしてこれからも基本的にはそうあり続ける、ということでしかないんだから。私たちは右も左も推進派も反対派も、基本的には彼らのことを気にしてなどいない。まぁだからといって「25%削減を!」と叫んでいた人が真摯に考えていたのかと言うとそういうわけでもないんですけど。
その意味で、つまるところ彼らの真の苦しみの原因がどこあるのかというと、結局の所その「存在感のなさ」に求められてしまうのはやっぱり救えないお話ですよね。
先進国に住む多くの私たちにとって、彼らの苦しみが眼中の外にあること、それこそが真の悲劇であると。