ギリシャを救おうとする者は一切の希望を捨てよ

しかしどう見てもその門の銘文を書いているのがギリシャ本人というオチ。「俺たちを救おうとする者は一切の希望を捨てよ」えーと、なんというか、端から見ている分には面白いですよね。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34541
口を出せば「ドイツが支配しようとしている!」と詰られ、金を出せば「口は出すなよ!」と詰られる。どう見ても期待されているのはただのATMです。一部日本の人たちがそんなドイツの現状を見て無条件に同情してしまうのも理解できなくはありませんよね。いつか見た光景。かわいそうドイツかわいそう。
しかしまぁこうした各国の危惧がユーロ危機以来新しく生まれたのかというと、そんなこと全くないわけですよね。元々欧州連合諸国の中には、ドイツがユーロと欧州中央銀行を通じてヨーロッパ全体を支配するのではないか、なんてことはそれこそ統一通貨の発行以前の時点から言われていたし、ついでにドイツはドイツでユーロを導入したら『強いマルク』が失われ自分たちの経済政策の管理ができなくなってしまうかもしれない、なんて恐れてもいたのでした。結局どちらも恐れていたのだと。
当時のこうした恐怖はその後の(表面的な)成功によって薄れていったものの、しかし現在に至り、かつてあった恐怖が再び舞い戻ってきたのでした。「だからあの時言ったじゃないか!」なんて。まぁ『金の切れ目が縁の切れ目』という身も蓋もない話ではありますけど。



さて置き、しかし大詰めを迎えていたギリシャとの交渉が見事に再びグダグダになりつつある姿を受けて、さすがにあちらの方の意識も潮目が変わってきたのかなぁと。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34529
Euro crisis: Losing patience with Greece - BBC News
UPDATE2: ギリシャ第2次支援、選挙後へ延期も デフォルトは回避=EU筋| マネーニュース| Reuters

 そのためギリシャからより明確なコミットメントが得られるであろう選挙後まで、民間の債務交換を含め支援策全体が延期される可能性があるという。
 あるユーロ圏筋は、すべて延期となった場合「われわれは3月20日に145億ユーロを支払う必要がある。まさにどぶに捨てるようなものだ」としながらも、「(2010年5月の)第1次支援の未使用分で(3月償還分は)手当てできるため、選挙後の新政権発足まで支援策すべてが延期される可能性がある」と語った。


 今回ドイツ、オランダなどが支援策を延期すべきと主張した背景には、ギリシャに対する政治的圧力を高める狙いがあるが、同時にユーロ圏内の忍耐がいよいよ本当に切れつつある兆候と指摘する声も上がっている。

UPDATE2: ギリシャ第2次支援、選挙後へ延期も デフォルトは回避=EU筋| マネーニュース| Reuters

まぁ気持ちは解らなくはありませんよね。もうギリシャに一体何度騙されたのかと。このまま延々と償還期日が来るたびに支援を繰り返し――そしてギリシャの口約束にまた騙され――ていくしかないのか、という無力感。かといってきちんと文書などで約束をしようとすれば、主権の侵害だ、と更に批判されてしまう構図。ここまでくると逆にギリシャさんちの方が実は一枚上手なんじゃないかという気さえしてきてしまいます。
WRAPUP1: ECB当局者、ギリシャ国債からの利益放棄する用意あると表明| マネーニュース| 最新経済ニュース | Reuters
その一方で欧州中央銀行は「利益放棄の用意がある」なんて悲壮な決意を表明して見せていて、そんな彼らの善意が逆説的に、ただの撤退戦が末期戦にレベルアップした感を醸しだしていてすごいです。いや、この場合下がったのか。
ともあれ、そんな『地獄の門byギリシャ』をくぐるのかどうか悩む欧州連合さんちを、これからも生暖かく見守っていきたいです。他人事でよかった。