世はまさに大軍拡時代

一人では軍縮王にもなれそうにない私たち。


中国の脅威、衛星破壊やサイバー攻撃…英戦略研 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
アジアの軍事費が初めて欧州超えへ、中国軍拡などで=報告書| ワールド| Reuters
ということで毎年恒例のイギリスの国際戦略研究所さんちの『ミリタリー・バランス2012年版』だそうです。

中国の11年度国防費は約890億ドル(約7兆2250億円)とみられ、5年おきに倍増するペースで拡大。12年度も前年から11.2%増加する。

また報告書は、他のアジア新興国も軍事費を拡大し、新たな紛争リスクが生まれていると指摘。IISSのチップマン所長は「アジアで起きていることは、19世紀型の領土紛争から経済的対立、核兵器保有する可能性がある国など、あらゆる種類の戦略的挑戦だ」と述べた。

一方、欧州では経済危機や差し迫った安全保障上の脅威がないことから、北大西洋条約機構NATO)加盟国が兵力規模を削減。こうした背景から、オーストラリアとニュージーランドを除くアジア各国の総軍事費が、欧州を上回る見込みだという。

アジアの軍事費が初めて欧州超えへ、中国軍拡などで=報告書| ワールド| Reuters

まぁこうした軍拡競争の難しいところはそれが気に入らないからといって一人だけ降りるわけにはいかない所ですよね。構図としては、全員そろって軍拡も全員そろって軍縮も、勢力均衡という点からすればあまり違いはないわけで。だったら全員そろって軍縮すればいいじゃないかと言うのはまさに然りなわけですけど、じゃあ一体誰がその中国さんを説得するのでしょうね? ノーベル平和賞が欲しい方は是非挑戦してみてください。明らかに苦労に見合っていないというのは確かにその通りです。
どちらにしても、隣の家が何の相談もなく急に害虫駆除を始めたら、追随して自分の家もやらないわけにはいかないのです。だって結局その分は私たちの家に害虫が余計に押し寄せてくるわけだから。
まぁそんな経済学における負の外部性という議論だけでは語りきれないのが、国家の安全保障というものなわけですけど。


ともあれ、読売の方の記事にもあるように、結局のところ中国の『空母』はその象徴に過ぎず、むしろ他の手段――衛星破壊兵器や巡航ミサイルサイバー攻撃能力など――こそが問題とされているのでした。まぁ空母なんてアメリカがやってみせているように、地球の裏側まで攻め込む用だと言っては過言かもしれませんけど、まぁおおむねその辺りなわけですし。その意味で、より中国の周辺にある国家としては、少なくとも近い将来において空母なんて恐れるような代物ではない、ということなんでしょう。
それは韓国さんにとっての北朝鮮核兵器に近い感じでしょうか。近過ぎてそんな兵器は問題ではないと。


【図解】アジア諸国の2015年の国防費予測 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
しかし一方ヨーロッパではもうそれを漸減しているらしいというのに、今になってこんなことをまた始めているアジア的優しさ溢れる私たち。実はようやくあの時の彼らに追いついたとも言えるかもしれませんけど。まぁ昔のヨーロッパさんたちも似たような嘆きをしていたのかと思うと是非もなしという所なのでしょう。逃げたくても逃げられない私たち。脱亜入欧とか仰っていた方の気持ちが少しわかる気がします。あ、でもユーロだけはかんべんな。