選挙と外交

オバマさんのうっかりネタ。ではあるんだけど我が身を省みるとしかしそれさえ羨ましくなってしまうお話。


CNN.co.jp:「選挙が終われば柔軟に」、米ロ首脳の非公式会話がマイクに筒抜け
なんというベタなうっかり。これを密約だのと批判する向きもあるんでしょうけど、でもまぁ実際どこだって当然これくらいのお話はしているんでしょう。だからこそ『首脳会談』というものにかなり大きな意味が付与されてもいるわけですし。むしろこうしたオフレコの話ができないようなうっすい会談にこそ、意味がなかったと批判されるべきものじゃないかと。
それがこうして見事にうっかりバレてしまっている辺りどうしようもないと言えばその通りなんですけど。

両首脳は26日、韓国・ソウルで開かれている核安全保障サミットを前に、1時間半にわたって公式会談を行った。会談の終了間際に写真撮影のため報道陣が入室した際に、スイッチの入っていたマイクが会話の一部を拾った。

この中でオバマ大統領は「これは私の最後の選挙になる。選挙の後はもっと柔軟になれる」と話して理解を求め、メドベージェフ大統領は「分かった。この情報をウラジミール(プーチン次期大統領)に伝える」と応じていた。

CNN.co.jp:「選挙が終われば柔軟に」、米ロ首脳の非公式会話がマイクに筒抜け

ともあれ、よく言われる「日本の強いリーダーを!」なんて言葉についてはまぁものすごく脱力するしかないんですけど、しかしまぁ普段から短期政権が常となっている日本の政治からすると羨ましいなぁとは思ってしまうお話ではあります*1。内政問題はともかくとして、しかしこうして外交の場において寝技を使える辺りはやっぱり長期政権の強みでもあるわけで。


「選挙の後はもっと柔軟になれる」と話して理解を求める、いやぁ羨ましいお話です。当然そういう交渉はあって然るべきではあります。
逆説的に、だからこそアメリカの大統領選挙期間中は特に『選挙問題はそれ以外の全ての問題に優先する』なんて批判されたりすることについて、案の定正しかったのだと証明してしまってもいるお話でもあると。じゃあ年がら年中それをやっている日本は一体どうするんだっていう。そんな「選挙の後」がちっともやってこない私たち。それを考えるとまぁ日本の外交が弱体であると批判されてしまうのも無理はないよなぁとしみじみ考えてしまいます。それをかつての自民党時代は『党』という存在によって多少なりとも確保できていましたけど、では翻って今の民主党、そうして今後の自民党ではどうなんでしょうね?
そうした視点からすると、少なくともこうした外交の場においては『強いリーダー論』は少しは同意できるお話ではあるかなぁと。


まぁこの辺りはやっぱり日本政治だけの問題というわけでもなく上記アメリカ大統領選挙中の政治の停滞の問題も根っこは同じで、より根本的な民主主義政治における指導者と選挙、というお話で議論されていたりしますよね。皆さんはいかがお考えでしょうか?