いつもの民主党のみなさん

似たような例としてはブッシュ政権の二期目を思い出してしまいます。その前歴から幾ら正しい目的を掲げようが何をやっても批判され、そして見事に必然の帰結として失敗してしまう人たち。じゃあ一体誰が悪かったのか、なんていわれると困ってしまいますよね。



NEWSポストセブン|廃止された「子ども手当」 出生率上昇させる成果あげていた
http://www.news30over.com/archives/6038853.html
えー下段リンク先では、反応として批判的なものが多く見られたりしますけど、しかし実際のところ少なくとも解り易い目に見る形での『金銭的なインセンティブ』に出生率は反応する、ということはやっぱりまぁ多くの事例で証明されているわけで。親たちは子供を産む時にその費用対便益を計算する。故にその補助金を出すという政策自体は間違っていないのでしょう。まぁ勿論、その手法や効果逓減がどの時点でどれだけあるか、という点については当然議論の余地があるのでしょうけど。

 児童手当では、6月から所得制限が課され、夫婦と子供2人の世帯で年収960万円(所得額736万円)を超えると、手当の支給対象から弾かれる。親の所得にかかわらず平等に手当を配分することで「社会で子供を育て、少子化を食い止める」という子ども手当の理念は完全に失われた。
 実際、子ども手当の成果は上がっていた。実施後、2010年の日本の出生率は1.39と(前年比0.02ポイントアップ)、2年ぶりに上昇に転じている。こういうデータを役所は宣伝しないし、その意を受けた記者クラブ・メディアも報じない。
 子ども手当の効果は海外でも証明されている。日本と同じように少子化に悩んでいたフランスは、第2子以降には20歳になるまで月2万〜3万円程度の家族手当(所得制限なし)を給付するなどして、出生率EU加盟国2位の2.01(2011年)まで押し上げた。

NEWSポストセブン|廃止された「子ども手当」 出生率上昇させる成果あげていた

ともあれ、まぁ概ねとしてはこの議論に賛成はできるかなぁと。
少子化問題をなんとか自国内だけで解決しようとするならば金をバラまくしかない、という基本的な方向性自体はあまり間違っていない。というかそれしかないんじゃないかとは思うんですよね。無論その複数ある内の一つの対策として、ではありますけど。そしてそこで重要なのはどれだけ『解りやすく』バラまくか、という点ではないかと。それこそ身も蓋もなく言ってしまえば、親たちを如何にして「子供を産んだら補助金が出るんだ」と思わせるか。如何にしてそうしたインセンティブを働かせるか。
その意味で、同様に議論が色々あった高校無償化と合わせて、私たちが直面しているはずの少子化問題の対策という点で、満点ではないにしても、それなりに上手い手ではないかと思うんです。子供を育てる上で、やっぱり教育費の問題は避けて通れないわけだし。そこを圧縮しようとする試み、という点ではボロクソに言われがちな民主党政権の中でも(自民党政権時代には成しえなかった)『実績』足りえたんじゃないのかと。


成功さえしていれば。


財源元の説明やその配布の為の手法等々で彼らは見事に失敗し、そして世論に敗北してしまった。
目的としてはかなり賛成されるはずの政策だったにも関わらず、しかし彼らの――宿痾とも言うべき――その計画性のなさによって見事にその本質的な意義さえも否定されてしまったなぁと。いやぁほんと生暖かい気持ちになってしまいます。目的としては概ね正しかった彼らの手段過程での失敗は、しかし結果として悪い印象だけを残してしまっている。そしてそこに次に望む際のハードルは限りなく高くなってしまいましたというオチ。
こうなってしまうと民主主義政治においては、以後それはそれは不毛な争いにしかならないのでした。いやほんともうこんな事になる位ならはじめから何もしない方がマシだったのに、と思わざるをえませんよね。よく「やらないで後悔するよりやって後悔した方がマシだ」とはいいますけど、その後遺症や将来の議論への悪影響を考えると、むしろ何もしないでいてくれる方がまだマシだったというものすごく悲しいお話。


まぁ普天間にしろ原発にしろ消費税にしろ、もしかして彼らはわざとやっているんじゃないかというくらい毎回毎回泥沼に自ら飛び込んでいき挙句に自縄自縛に陥ってばかりなので、いつものことだと言ってしまえばその通りなんですけど。一体なんでこんな事に。