『謝罪』というその場しのぎ

「謝罪はその場しのぎとしては意味がありましたよ」と実験結果から言われても、私たちは喜べばいいやら悲しめばいいのやら。


「謝罪」は「怒り」の衝動は消せるが「不快感」は抑えられないことが明らかに - GIGAZINE
へー少し面白いお話ですよね。

要するに、謝られると怒りの衝動をぶつけようという気持ちは抑えられるが、気分が良くない感じは継続していることになり、このことから怒りは「攻撃性」と「不快感」などの成分に分けることができ、従来は怒り全般の指標であると考えられてきた「心拍」と「皮膚電気反応(汗)」が、それぞれ怒りの「攻撃性」と「不快感」に関連づけられる可能性を示した、ということです。

「謝罪」は「怒り」の衝動は消せるが「不快感」は抑えられないことが明らかに - GIGAZINE

でも昔から心理学の世界では『怒りは二次感情』なんて言われてもいるわけで。
まず一次感情となる不安や不快感などがあってこそ、それが二次感情である怒りに転じるのだと。一次感情を解決できない限り、二次感情は抑えられない。
その意味で今回の実験が証明したのは、『謝罪』とは短期的な応急処置としては有効である=攻撃衝動(怒り)は抑えられるものの、しかしその怒りの根本原因には作用しないので『謝罪』という行為は長期的にはまったく無意味ですよ、というとても身も蓋もないお話じゃないのかと。こんなことぶっちゃけられても困ってしまうんですけど。
そんなその場しのぎのお話について。「浸水している船で必死になって水を汲み出している」な構図に近いですよね。本当に必要だったのはその浸水している穴を塞ぐことだったのに。
でも多くの大人が直面する、どうしようもなく謝るしかない場合って、穴があることは解っていてもとりあえずこの場は謝るしかない、的な構図ばかりなのでとても腑に落ちるお話ではあるのかもしれません。その点「とりあえず謝ればこの場はなんとかなる」という行為においてはその効用が認められたので喜んでいい気がします。まぁ同時に、それは根本的には何の解決にもなりませんよ、ということまでも証明されてしまいましたけど。


うるせーそんなこと解ってるんだけど謝るしかねぇんだよ!
いや、その通りです。大人になるってそんなもんですよね。そして謝罪相手から「謝ってももらっても何の解決にもならないよね」と冷たく言われると。仰る通りでございます。


そんな謝罪についての短期的効果と長期的無意味さ。やっぱり喜んでいいのか悲しんでいいのかわかりませんよね。