俺たちの敵がこんなに弱いはずがない

もうちょっと強ければ手を結ぶこともできたかもしれないのにね、なお話。



マリ北部の2勢力統合、独立イスラム国家建設で合意| ワールド| Reuters
ということでリビアさんちの巻き添えを受ける形でマリさんちの北部が「独立だー!」盛り上がってたアレ。最近の例だとスーダンの分裂とか、こうして戦争が新しい国家を生み出すのは、やはりある種必然の帰結なのかなぁと。マイケル・ハワード先生も『戦争なしに国家が生まれたことなどない』なんて身も蓋もないことを仰っていましたし。
しかし幾ら独立の為とはいえ、イスラム主義を掲げる勢力と世俗的な民族主義を掲げる勢力が手を結ぶなんて、一体どういうことなの、という感じではありますけども。


http://japanese.ruvr.ru/2012_05_29/afurika-mari-hanseifuseiryoku/
ところがやっぱり、こうしてあっさり仲違いをしてしまう人たち。おいおい展開はやいな。二日しかもたなかっただなんて、幾らなんでも共闘崩れるの早過ぎというか、ノープラン過ぎます。まぁそのイデオロギーの違いを考えたら納得してしまいますけど。水と油過ぎます。
しかしまぁこうして新しい国家を建国する為に、それぞれが手を結ぶというのは歴史的にはよくあるお話ではありますよね。大ドイツ主義とかチェコスロバキア主義とかユーゴスラヴ主義とか。新興勢力たる彼らは周辺国の圧力と戦う為にも、強力な国家を作らなければならない。だからこそ違いを乗り越えてでも手を結びパワーを確保しようとしたのでした。まぁそのヨーロッパでの最終的な結末は大抵以下略なわけですけど。
嫌いな奴と手を結ばなければ独立もままならない、でもやっぱりキライ……、というジレンマ。端から見ている分には愉快なお話ではあります。


まぁぶっちゃけこの彼らの同盟後即分裂といった騒動も、元々の政府軍があまりにもアレ過ぎたから、という面があるんだと思います。政府軍の中の人も「無能だからクーデターしたった」とか言ってましたよね。もし共通の敵たる政府軍がもっと強ければ彼らだってその為にガマンできたかもしれなかったけれども、しかしそんなことなかったので彼らにはそうした危機感など生まれるはずもなかったと。いやぁ笑っていいのか悲しんでいいのかよく解りませんよね。政府軍の弱さによって独立一歩手前まで来たけども、しかし『敵』としての存在価値のなさが逆に同盟内での結束をも難しくしている。
もしこれがマリ政府の戦略だとしたら脱帽するしかありません。こっちはこっちでノープランな可能性もかなりある気がしますけど。
敵が『弱すぎて』同盟が続かない。けどまぁなんというか、その先輩たるヨーロッパの惨状を見ると、将来的な禍根が絶てて良かったとも言えるかもしれませんが。


がんばれマリの人。