独立危機と経済危機

燃料と火種の関係。


スペイン・カタルーニャ州議会選、独立派4党が過半数確保へ| Reuters
ということでスペインさんちでも独立騒動であります。いやぁ経済危機ってコワイよね、と言ってしまっては身も蓋もありませんけど。ベルギーにイギリスにスペインに。『一つのヨーロッパ』を謳いながらこうした構図になっているのは愉快なお話ではありますよね。

バルセロナ 11日 ロイター] スペインのカタルーニャ州の州都バルセロナで11日、経済危機に苦しむ中央政府から富を搾取されているとして、数十万人に上る民衆が自治権拡大を要求してデモを行った。

カタルーニャ州はスペインで比較的裕福な州だが、スペインからの分離独立を求める勢力は以前から存在しており、今回のスペインの経済危機が、そうした動きを煽る形となっている。

スペイン・カタルーニャ州議会選、独立派4党が過半数確保へ| Reuters

しかしまぁ典型例といってはこれほど典型的なお話もないわけで。
つまり――特に他の地域よりも相対的に裕福(あるいは資源のある)な人たちは――経済危機が起きると素朴に考えてしまうのです。「何故俺たちの税金で彼らを救わねばならないのか?」と。もちろん普段からそうした感情はありますけども、やっぱり経済危機のときこそより強く彼らはそうしたある種の『無駄遣い』に目を向けてしまう。
それは日本のような根強い独立運動が存在しない国でさえ例外ではありませんよね。金のウラミってこわい。いわんや、元々火種を抱える国をや。
かくして、本来であれば一部の人たちだけの遊び場に過ぎなかった『独立運動』は、経済危機によって広く一般性を獲得してしまうことになる。
だからこそ多くの資源国家――特に産油国での分裂があったりするし、ヨーロッパでもあの旧ユーゴスラビアの大騒動も最初に着火したのがスロベニアのそういう事態だったことを考えると、やっぱり当事者としてはあまり笑えないのだろうなぁと。


ただまぁ、現状のヨーロッパでは、個人的にはあまり可能性は高くないんじゃないかとも思うんですよね。
分離独立を掲げる多くの彼らがEUという共同体をアテにしている一方で、現状のユーロ経済危機が進めば進むほどEU自体も不安定化していってしまうわけで。かといってEUが安定するということは、同時また一般層に訴求力を持つはずだった経済危機が去ってしまうことでもあるわけで。
あちらを立てればこちらが立たず。


がんばれスペイン。