とうとう時間切れ

東アジアの平和体制の構築に失敗した失敗した失敗した。


朝日新聞デジタル:「2030年には覇権国家なくなる」 米情報機関が予測 - 国際
中国が最大の経済国、日欧は衰退…米NIC予測 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということで中身としてはそれなりに衝撃的だけれども、あまりにも頻繁に使われたせいで何故か一周回って「今更かよ」な議論となってしまっている、微妙な『世界潮流2030』であります。それでもまぁ公的な所からこうしたお話が出るというのは、それなりに意味があるお話なのかなぁと。
故に、多分にアメリカさんちの自省的な面から要請されているお話ではあるんですよね。無理して覇権を維持しようと考えるのではなくより「『適切な撤退』を考えよう」と。実際オバマさんもそうであるように、この辺は今後しばらくの米国大統領たちにとって主要課題の一つとなるのでしょう。


さて置き、先日の日記コメントから「国際協調ってなんだろう」と考えていて繋がった、以下適当なお話。
しかしまぁ私たち日本からすると――特に昨今の南シナ海での騒動を鑑て――今回の事が意味していることの一つは、結局東アジアに(『超大国』たるアメリカの力を利用しての)平和体制を作ることがついに出来なかった、ということでもあるのかなぁと。ヨーロッパではそうしたアメリカのスーパーパワーを利用して平和体制を生み出すことに成功した一方で、しかし私たちは見事に失敗した。
各国の軍事的緊張をアメリカの力で無理矢理に抑止している間こそがその千載一遇のチャンスだったのに。しかしもう時間切れ。


それは多分に野心を捨てることのなかった中国さんちの責任であると同時に、やはり私たち日本の責任でもあったのだろうなぁと。ちなみに三番目はそうした体制が東アジアに出来ることを望まなかったアメリカさん―ーていうか新しい『極』のひとつでもある欧州連合の際も反対していたので当然のお話でもあるんですが――の責任でもやっぱりあるのでしょう。
それこそドイツのように、決定的な謝罪を梃子にして再び地域における主要な役割を果たそうとする意欲を最後まで持つ事ができなかった私たち。
よく海外から「日本はきちんと謝罪をしていない」という耳の痛いお言葉を頂戴して概ねその通りだと僕も思いますが、それは単純に「反省していない」という要素だけではなく、そうした将来へのビジョンへの意欲の有無という点もあったのではないかと個人的には思います。戦後ドイツと戦後日本をわかつもの。謝罪の先にあるものを見出せなかった私たち。そこに何か見出すほどの情熱をもてなかったからこそ、傲慢さというよりはむしろ、ある種の諦観として「許される」ことを諦めてしまったんじゃないかなぁと。もちろん、だからといって正当化できるものではないのは当然のお話でありますが。
他にも、そもそもの環境の違い――あちらは西欧という括りで解りやすかった構図が東アジアでは西に東に第三にともうぐちゃぐちゃだった――という要素もあったのでやはり一概には比較することはできませんが。もし冷戦が終わるのがもう少し早ければ、あるいはあの『アジア通貨基金』などが成功していれば、結果は違っていたかもしれない。しかしまぁ歴史にifは禁句ですよね。


ともあれ、やはり世界平和の礎となるべき東アジアの平和体制構築の機会はこれで失われてしまったのだろうなぁと改めて思う次第であります。いやまぁ身も蓋もなく言うと中国さんの台頭が決定的になった時点でもう遅かったとも言えるんですけど。
ナイ教授が仰る所の『部分的な平和』について。世界全体の平和の為にこそ、まずそれぞれの地域の平和を追求すべきである、という大目標の失敗。
鳩山さんもあと20年早くその東アジア共同体をがんばればよかったのにね。