前例から学習すればするほど「流される血の量」が増えていった『アラブの春』

教訓から学び賢くなった結果がこのザマだなんて。


朝日新聞デジタル:シリア内戦死者、6万人超 国連調査で詳細判明 - 国際
時事ドットコム:シリア内戦の死者6万人超に=データ分析で推計−国連
そういえば新年が明けてもまったくおめでたくないシリアはとうとう「死者6万人」となったそうで。今後も益々この数字は詰みあがっていくのだろうと思うとやるせない気持ちで一杯になってしまいますよね。
多くの人に謳われた『アラブの春』の現状について。
『アラブの春』が最後に辿り着いた場所 - maukitiの日記
去年五月の日記でも既に書きましたけども、こうして「チュニジア→エジプト→リビア→シリア」と(メインとなる)ステージが後になっていけばいく程どうしようもなく悲惨になっていくのは、やはりそれぞれが前者の経験から着々と学んでいった結果、という面がやっぱり大きいのだろうなぁと。


その独裁者たちは先にあった『独裁者の末路』を見て「ああならないようにしよう」と固く決意した結果更にそのムチを強く振るい、そして民衆たちは『前任者たちの革命』にますます勇気付けられ多少劣勢だろうが「戦えば勝てるのだ」と確信し銃を取る。
一方欧米を中心とした国際社会は下手に介入しても「そのコストが嵩むだけだ」と気付いてしまったことでますます腰が重くなり、そして中国やロシアは「ここで下手に軟化すると武力介入の前例を作ってしまう」ということに気付きその反対姿勢をより頑なに貫くようになっていった。
かくしてプレイヤーたちは、それぞれ誰もが経験から「正しく学習した」連鎖の結果が、このザマであります。
学んだ結果として、話し合いではなく、銃を取る。
学んだ結果として、傍観する。


正しく「他人の経験から学ぶ」人びと。
それを元ネタ*1のように「賢者は〜」「愚者は〜」なんて簡単に言うことはできませんが、しかし心底救えないお話ではありますよね。去年は「『アラブの春』が最後に辿り着いた場所」なんて書きましたけども、あるいは、この次があったりするんでしょうか? 
このパターンでいくと次はもっとヒドいことになってしまいそうではありますけど。

*1:「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む」オットー・フォン・ビスマルク - Wikiquote