「初めに経済ありき」と歴史家は言った

現代超大国の原資たるもの。


米政府と野党共和党、「財政の崖」回避で合意 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで落ち着くべき所にごく普通に着地してしまって、一体これまでの騒動は何だったんだ感がすごい。そんなアメリカさんちの『財政の崖』騒動ではあります。まぁ後から結果論として見てみれば、元々両党の上層部の人たちはお互い妥協に前向きだったわけだし、あとはお互い強硬な一部の反対派を黙らせる為にチキンレースをやってみせていた、という辺りのお話ではあるのでしょうか。心底ハタ迷惑な話ではありますけども。


しかし今回の合意についてもやっぱり「中国さんちの影」という要素はそれなりに影響したのではないのかなぁと思ったりします。ライバルが居るからこそ、その妥協は成されたのだと。
それこそポール・ケネディ先生の言葉じゃありませんけども、やはり現代世界において、どんな大国であろうとも自国経済問題の適切な処理に失敗する国は、結局そのパワーたる軍事力も政治力も「どちらも」失うことになるのだから。まさに今回はその瀬戸際でもあったわけで。
『財政の崖』どころか『超大国としての存在感の崖』ギリギリだったかもしれない彼ら。やっぱり「アメリカ時代のおわり」という歴史に名を残したくなかったんだろうなぁと。そしてもし、今後本当にその崖に落ちるようなことがあれば、真に現代アメリカのモンローな傾向の証左となるのでしょう。


さて置き、そういえばうちの国の新しい首相である安倍さんも似たようなことを仰っているんですよね。「まずは経済」なのだと。
それって――もし本当に彼を批判する人たちが叫ぶように「軍国主義に猛進する気だ!」という批判が真実であったならば――実に堅実なやり方ではあります。コクボウグンとかケンポウカイセイとか言っているだけでそれが実現するなんてことありはしないんですよ。口先だけで本当に何かを変えられるのならば民主党政権時代にはもっと素晴らしいものになっていたはずで。しかし身をもって体験したようにそんなことありはしなかった。
結局、まさにアメリカさんや中国さんが実演して見せているように、その経済力の強化こそが、その道を舗装するものなのだから。
ということで、もし本当に安倍政権のそうした性格を今から心配するのであれば「経済立て直し失敗しろ!」はさすがに一部のアレな人以外正直に口に出すのは憚られると思うので、いつか見た風景である「真の豊かさを追求しよう!」とか言えばいいんじゃないかな。
まぁこれはこれで既に十二分に胡散臭さが露呈してしまっているわけですけど。



こうして見ると、国際的なパワーを追及しようとする人たちによる「経済立て直しを」という大義名分に反論することはとても難しい。だって最終目的は別としても、そこまでの採るべき手段は限りなく正解に近いわけだから。
そりゃ世界中の国の歴史で似たような教訓が溢れてしまうわけですよね。ヤツらは不景気と共にやって来る。しかし解っていても止められない。だって手段としては見分けはつかないんだから。もうその状況を作った時点で詰んでいる。


いやぁ不景気ってほんとうにおそろしいですよねー。