安倍は舞い降りた

タイトルオチ。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37757
毎度毎度色々とアレなDavid Pillingさんの記事ではありますが、今回のは結構面白い内容になっているよなぁと。

 だが、そもそも何が日本にアベノミクスを受け入れさせたのだろうか? 因果関係を証明するのは決して簡単ではない。だが、突然のギアチェンジには2つの強力な要因があったように思える。2011年のツナミと中国だ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37757

概ね正しい認識ではないでしょうか。それは前民主党政権バックラッシュであるし、そして同時に明確に「対中国(ついでに韓国)」の姿勢を打ち出したことへの好感でもあるわけで。
もちろん故に現政権が「正しい」と言えるわけでは決してなくて、それでも――正しいか間違っているかはまた別として――一つの選択肢を提示したことこそが、現在の安倍政権の支持につながっているのだろうなぁと。あまりにも「決められなかった」前政権に対する揺り戻し。
だから現在の安倍政権に対して「性急過ぎる」という批判は、それなりに正しい指摘だとも思うんですが、しかし同時にだからこそ支持されてもいるのだと思います。



さて置き、『ツナミ』はともかくとして、『対中国』のお話。前者は別に良いんですけども、しかし結局のところ、後者をどうするかについては特に安倍さんの所謂「国家主義」が容認――少なくとも黙認されている現状なのだろうなぁと。もちろん安倍さんに批判の言葉としてよく挙げられる「国家主義者だ!」という言説は、まったくの筋違いでもないと僕も思います。やはりそうした傾向は少なからずあったりするのでしょう。
――ただ、じゃあそれ以外に、尖閣だけでなく南シナ海でも中印国境でも色々と騒がしい、現在の中国さんに対する姿勢として他の選択肢があるのかというと、やっぱり以下略なわけで。
沖縄タイムス | 中国の印象、9割否定的 県民意識調査
中国外務省報道官:沖縄は日本に帰属するとの発言を拒む - Bloomberg
今後私たちは現在の中国と一体どのように付き合っていけばいいのか?
「日本のウケイカ」を嘆く人は内外問わず少なからずいらっしゃるわけですけども、じゃあそれ以外にどうやって世界第二位の大国となった中国と付き合っていけばいいのか、まぁ他の選択肢がまったく見当たらないんですよね。例えば「対話」で、本当に現状の中国さんちの必然的な膨張傾向に本気で歯止めが掛けられるのだと確信していて、且つそれで国民を説得できればそれもいいでしょう。
この辺は半年前位に書いたお話でもあります。
まともな対抗言説の不在 - maukitiの日記
中国という国家が21世紀に入ってから決定的に強大化し変化したように、日本という国家とそして対中国に関する国民世論も変化しつつある。安倍さんのやり方に不満があり本当に日本の右傾化を止めたいのならば、リベラルなお人やハト派な人は本来そこを考えるべきなんですよ。それをせずに、ただただこの状況下で安倍さんを国家主義者だと罵って引きずり落とした所で、まず間違いなく次に出てくるのも同じような人になってしまうのではないでしょうか。それこそ民主党政権が代を経るごとに変化していったように。


日本も中国もその両国の性質が変化した以上、その「付き合い方」も変えなくてはいけない。むしろ現状にマッチするように上手く構築できていないからこそ、二国間関係は怪しくなっているわけで。ついでに、おそらくこれは対韓国でも同様なのでしょう。
時代が変化したのだから「アメリカとの関係を見直せ!」と叫ぶのと同じくらい、あるいは変化の度合いで言えばそれ以上に「中国との関係を見直せ!」のだって重要なはずなんですよ。まぁこれは右も左もお互い様感はありますけど。
別に「中国の姿勢が悪い!」と断罪したいわけではなくて、中国とどう付き合えばいいのか、あちらが変化したのだからこちらの対応も変えなくてはいけない。それがどういった関係性になるかはまた別の問題であります。
しかし「現状維持」以外にまともなことを言っている人がさっぱりな現状。


反対もそれなりに多いものの、しかし結果としてアベノミクスが容認(黙認)されているのも、対中国を主軸とした強硬な態度が容認されているのも、結局はこうした理由なのだと思います。
現状維持「以外」の選択肢を提示したからこそ。


かくして、(他に選択肢がないからこそ)タカが舞い降りてしまうことになる。