開き直れられたら止められない

ある種の瀬戸際外交のような風景。


安倍首相の靖国参拝、米国は「心から失望」 分析 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでこの師も走る時期に行っちゃったそうで。うーん、まぁ個人的には行かない方がめんどくさくなくていいしさっさと別の何か作ればいいのにと思っていますけども、だからといって別に誰かを説得したいほどに反対派というわけでもないし、その参拝の是非についてはどっちを書いてもめんどくさそうな人を招来してしまいそうなので割愛。
ただまぁこうして安倍さんが開き直りとばかりに行ったことの理屈は解るかなぁと。
――だって、別にこれで行ったからといって『現状の』日中・日韓関係で失われるかもしれないマイナスの要素が見当たらないから。
ぶっちゃけてしまえば、少なくとも靖国神社に行こうか行くまいが現状のような近年最悪にまでなってしまった日中・日韓関係において、「行かなかったおかげで得られたモノ」なんて無かった――と安倍さんなど賛成派な人に言われてしまうと反論に困ってしまうんですよね。


行くべき理由は見つからないけど、少なくとも対中韓という視点で見れば、行かない理由もなかった。


ほんとは「行かない」ことで、(彼らは不満だったでしょうけど)何かアメを与えるべきだったんですよ。最低でも今年中に首脳会談位しておけばよかった。そうすれば「もし行ったら次はないぞ」と脅すことだってできたはずなのに。ところがそんなアメは彼らの一辺倒な行動の現状どこにもなく、中韓の彼らが少なくとも建前上は求めている「参拝見送り」という点について、どうせ失われるものなどないのだからと安倍さんを開き直らせてしまった。少なくとも安倍さんの周囲の反対派たちの説得力は弱まってしまった。ちなみにこの構図って来年以降の(安倍さんかどうかは知りませんけど)首相は外交カードを握ることにもなるんですよね。ただ「行かない」ことで恩を売ることができてしまう。初めから日本にアメを与えておけばそんなことにならなかったのに。

 現在は米シンクタンク戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies、CSIS)のアジア担当上級副所長を務めるグリーン氏は、「現政権にとって道徳的怒りはそれほど大きくないだろうが、心から失望したと思う。この重要な時期に日米同盟の勢いが大いにそがれるからだ」と語る。

安倍首相の靖国参拝、米国は「心から失望」 分析 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

もちろんそこには米国の反対という実際に(失われるかもしれない)利益もあったんでしょうけども、ただ、こうした中韓による反日的な行動に際して見れば、少なくともアメリカさんちが何か日本の為に行動してくれたことって実際のところほぼなかったわけで。どちらにしても彼らは中立に立つ以外にない。その上で、しかしアメリカは日米同盟を推進する以外の選択肢なんて事実上ない。だからここでもやっぱり現状から敢えて失われるものってあんまりないんですよね。世界的現象として最近言われる、アメリカの影響力の低下というのはやっぱりここでも顔を出す。
故に安倍さんはやっぱり開き直る。「行かないことで、何か現実の利益はあるのか?」なんて。




その意味で、もし、そんな安倍さんの開き直りを止められる要素があるとすれば、やっぱり国内世論の大多数の反発の方であるのだろうなぁと。逆説的にそれって推進の要素でもあるんですけど。
毎日世論調査:安倍内閣支持49% 初めて5割切る - 毎日新聞
首相の靖国参拝「すべきだ」46%…読売調査 : 世論調査 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
――実際に日本国民の多数派は一体賛成反対どちらにあるのか?
その最後の抑止力となるべき国民世論を読んだ上で行くことを決めたのか、それともそんなもの気にせずにただ自分が行きたいからいっただけで今後その決断のデメリットを背負うことになるのか。今回もおそらく一部のマスコミの皆さんは「中韓国民感情の反発」という報道になるんでしょうけど――でもそれって現状と何か変わった部分があるのかというとアレなんですけど――果たしてそれがそのまま安倍政権の致命的な支持率低下に繋がるかどうか。
もうしそうなれば安倍さんの今回の決断は愚行だったと言うしかないし、逆にそうでなかったら以下略。




世界が平和でありますように。