オバマさんの覚悟と、プーチンさんの不覚悟を、決定的に見誤ったヨーロッパ

一方はあれほどやる気がなく、もう一方はあれほどやる気があると、見事に読み間違えた人々。


前にも後ろにも進めず時間切れすら期待できないウクライナ - maukitiの日記
今も昔もウクライナの「ロシア離れ」を担保するもの - maukitiの日記
前々回・前回の日記を受けてのオチ的なお話。話題のクリミア・ウクライナ問題の個人的な感想のまとめ。概ね今回ので書きたいことは書き終えた感じで概ね角度としては、致命的な外交上の失態侵したをヨーロッパ、というお話かなぁと。あとは『アラブの春』の余波によって生まれてしまった鬼子の危機。どちらかが無ければ上手くいったかそもそも起きなかったかもしれないのにね。
――しかし、彼らは信号が青だと決定的に勘違いしてしまった。


ウクライナ、対テロ作戦開始で東部に部隊集結 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ウクライナ大統領代行、親ロ勢力の武装解除なければ軍投入へ| Reuters
ウクライナ東部ドネツク占拠の親ロ勢力、地域一帯を掌握する意向表明| マネーニュース| 最新経済ニュース | Reuters
ということで東ウクライナを巡る争いはどんどこエスカレートしていっているそうで。まぁ前回日記でも言及したとおり、こうなると最早ウクライナ政府自身でどうこう出来るというレベルは超えていて、それこそ単独では過去のウクライナとロシアの関係にあったように、力関係そのままにされるがまま、と言った感じであります。
一部で言われているように、冷戦時代に見られたような『代理戦争』という構図だと言うのは概ね正しいものの、一方でその代理を担うべき、アメリカも欧州連合が実際には「本気で支援する気がない」というのが現状なのでしょう。代理戦争のレベルに達していない。こうなるとそれでもウクライナは自身の手で問題を解決、あるいは危機進行を遅らせようと努力する以外になく、それは必然的に暴力的な対応を採らざるを得なっていき、それを見た欧米各国は(死ぬほど自分勝手な話ではあるものの)益々冷めていく。
ロシア=プーチンさんの覚悟を甘くみすぎた人々。


――で、こうした構図を見ると、じゃあ何でそもそもこの危機を進めてしまったんだ、というお話になってしまうわけで。
彼らは最初こそ意気揚々とウクライナを支援しておきながら、現在はこうして見事に「事実上」見捨てている。まぁ結果論であり、今更のお話ではあるんですが、やっぱりその点を考えると、今回の件は概ね一部――外交政策を担っていただろうバカな欧州連合の中の人たちの失態ではあるよなぁと。プーチンさんが今回の件を利用しているのは間違いないでしょうけども、それでも、最初に火をつけたのはやっぱりあのヤヌコビッチさんの追放からであったわけだし。
もちろんいつもの口だけ出す詐欺のオバマさんの失態もあったりするんでしょう。でも上記プーチンさんの覚悟なんて予め解っていたように、オバマさんの不覚悟だって、イラクアフガニスタンやシリアやらを見ていれば解っていたはずですよね?



そもそも、今にして思えば決定的な『帰還不能点』となったのがクリミアのそれでありますが、しかし身も蓋もなく言えばそれってウクライナ―ロシア間に「元々あった危機」でしかないんですよね。独立ウクライナの誕生とともにあったクリミアの帰属問題は、現在のロシア議会なんかがやっているように、それこそ1990年代前半には「ウクライナからの分離支持」とか普通にやっていたほどだったわけであります。
――ところがそのクリミアの帰属問題は、ロシア国内でチェチェンなどを始めとする分離独立運動が過激化していく中で、ロシア側から問題にすることが減っていった。まぁ当たり前の話ではありますよね。だって自国内で分離独立を徹底的に弾圧しておきながら、自身はウクライナへそれを支持するなんてダブルスタンダードで矛盾した話になる。
かくしてクリミアの帰属問題は、ロシアが積極的に取り上げなくなることで「封印」されてきたのです。ウクライナに飴と鞭を使い分けることで、彼らは現状維持で概ね満足してきた。


そこへ今回の危機が起きてしまった。もちろんウクライナの「欧か露か」という問題は必ず将来やってくる避けようのない選択ではあるものの、ヨーロッパの側の彼らはそれに――『アラブの春』であったような――中途半端な覚悟で望んだ一方で、しかし同じく『アラブの春』の経緯を見ていたロシア=プーチンさんは徹底的に対抗することを決意させてしまった。
こちらも考えてみれば当たり前の話ではありますよね、ウクライナで起きたそれを看過すれば、次はベラルーシで起きてもまったくおかしくはないし、挙げ句にはロシアの自治区内で起きても不思議ではない。そうなればロシアの国家戦略としてあったNATOとヨーロッパの東方拡大の「最後の砦」であった緩衝地帯である両国を失い、南方のカフカスではそのロシアにとって地理的障壁であったコーカサス山脈を失うことになってしまう。
強いロシアの復権を目指すプーチンさんにとって容認できる事態では決してなかった。



その意味でヨーロッパの中の人たちは二重の意味で、勘違いしてしまった。
アメリカ=オバマさんの口だけは出すものの実際にはほぼ何もする気はないという覚悟のなさと、一方でロシア=プーチンさんの古き良きパワーゲームへ掛ける本気の覚悟を、どちらも見誤っていた。どちらか一方ですら致命傷になりかねないのに、どちらも等しく。


かなり結果論ではありますが、ほんともう何でこんな外交上の初歩的な失態を犯してしまったのか、ものすごく疑問であります。いやまぁ過去の歴史を見るとそういう事例ばっかりでもあるんですけど。ユーロの危機の結果「貧すれば鈍する」とばかりにウクライナ問題に覚悟もないまま突っ込んでしまった感じ。
Ukraine and Western Europe's Blind Spot | RealClearWorld
↑なんかの記事では、ドイツ・フランス・ポーランド外相が主導したとありますけど、日本のそれもよく言われるものの、あちらの外交政策も正直笑えないよなぁと。





みなさんはいかがお考えでしょうか?