綱渡りをやめつつある中国

社会安定と経済成長の間の危うい綱渡りが。



多発する暴動が「革命」に変わるとき 壊れつつある中国共産党の統治能力(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
まーた無責任に革命を煽っているなぁという印象。アラブの春でもまだ懲りてないのか。まぁ私たち日本と違って中東よりも更に僻地にある中国さんちへの関心なんてそんなものなのかもしれませんけど。

 しかしこれ以上、共産党民主化の政治改革を拒み続けると、革命が起きるのは時間の問題であろう。政党の統治能力は、どれほど建設的な批判を聞き入れられるかにもよる。中国共産党は、国民に少しでも多くの幸福をもたらすために、自ら改革に取り組まなければならない。今の中国社会を見れば、それは習近平政権の使命と言える。

多発する暴動が「革命」に変わるとき 壊れつつある中国共産党の統治能力(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)

ともあれ、これって話が逆なんですよね。むしろ彼らが強権志向を強め、弾圧を強めれば強めるほど、基本的には革命の危機は遠ざかる。最近のウクライナやエジプトやら『色革命』をはじめとして古今東西多くの歴史が証明するように、大抵の場合『革命』というのは「優しい」独裁者の時にこそ起こるモノなんですよ。まさに北朝鮮さんちなんかがおそらく世界最悪レベルの独裁体制にあるにもかかわらず、ああして強権体制を維持できているのは(経済成長を犠牲にしてまで)まったく容赦のない優しくないやり方を徹底的に貫いているからなわけで。
――故に、中国と言う独裁国家市場経済を続けるにあたって、最も重要なのはそのバランスなのです。緩めすぎても締め付けすぎても、どちらでも(独裁政権下での)社会安定と経済成長を両立することは難しい。
所得向上に必然的伴う人民の「権利意識の目覚め」をあまりにも放置し過ぎると必ず中国共産党の政治的正統性が挑戦されることになるし、かといって強権体制を推し進めすぎると必ず活気のある資本主義社会は失われる。とっても難しいバランス取り。それでも、少なくとも00年代初頭の頃まではそのやり方はうまくいってきた。
その意味では彼らが一面では優秀だというのはその通りなのでしょうね。


で、ところがここ最近の中国さんち、もっと言えば習さん時代になってから、かなり強権寄りになってきたわけなんですよね。
「自信なき大国」中国の未来 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
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彼らの成功戦略であったそんなバランス感覚は失われつつある。それは単純に政府の中の人たちの責任と言うだけでなくて、やっぱり中国国民がそれなりに豊かになり「カネを稼ぐ」だけでなく、個々の生活に関心を持ち始めたことの証左でもあるのでしょう。その要求の声が高まることで、徐々にバランスをとるのが難しくなってきた中国政府。
その意味で、壊れつつあるのは『統治能力』ではなくて『バランス感覚』の方なんですよね。

──最近では、弁護士の浦志強氏のような「中国ではどんな活動をすれば当局に拘束されるか」について知り抜いていた人まで逮捕されています。

 穏当な主張をする人まで逮捕しているのは、習近平国家主席)が危険を感じているからです。胡錦濤(前主席)時代には逮捕されなかった彼らのような過激ではない人たちがなぜ逮捕されるのか。習政権にますます「安心感」がなくなっています。胡錦濤時代にも、胡錦濤より前の江沢民(元主席)時代に逮捕されなかった(ノーベル平和賞受賞者の)劉暁波たちが逮捕されています。これも胡錦濤に「安心感」がなかったから。中国政府の不安感はますます増しています。

 習近平は最近、「三つの自信(理論への自信、進む道への自信、制度への自信)」というスローガンを掲げていますが、実は1つの自信もない。だから、彼らはもっとも穏当とされる人たちさえ逮捕するのです。この4月に習近平は(国内の治安強化などのために新設した)国家安全委員会の初会合を開きましたが、彼が掲げた「11の安全」のトップは「政治の安全」です。それほど彼らには安心感がない。

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こうした中国政府のやり方ってかなりの面で諸刃の剣でもあるわけで。確かにそれは短期的な安定をもたらすものの、しかしそれは上記穏健的な法律運動や労働者保護運動など、社会への不満に対しての最低限のガス抜きの機会さえも失われることに繋がり、社会安定の為に益々強権体制に頼らざるを得なくなっていく。故に彼らが強権に走るということは、逆説的に弱さの表れでもあるのです。最早バランスをとる余裕すらなくなりつつある彼ら。
一度転がり始めると止めるのは難しい負の連鎖。


最近の中国さんちってそんな坂道を転がり落ちつつあるように見えるんですよね。
みなさんはいかがお考えでしょうか?