左右が手を結ぶ時、沖縄の米軍基地撤去の物語がはじまる、かもしれない

また一つステージが進んでしまった感じ。



<社説>米軍属女性死体遺棄 日米両政府に責任 防止策は基地撤去しかない - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
ということで沖縄が結構ヤバいそうで。基本的な構図としては、単純に米軍人の凶行云々というよりは、一発逆転起死回生だったはずの政権交代民主党があのザマだったので結果としてまともな別案が存在しないことが明白となり、この問題の手詰まり感というか八方ふさがり感がまた現地の人たちの鬱屈に拍車を掛けている面は大きいのだろうとは思ったりします。
――このままではきっと10年後も我々は同じ悲劇に苦しめられているに違いない。
そんな「未来の救いのなさ」という点で、やはり彼らの嘆きは特筆すべき事態ではあるのでしょう。

 容疑者は軍人ではないが、嘉手納基地で働く元海兵隊員の軍属である。米軍には軍属も教育する責任が当然ある。だが事件がなくならないことからして、米軍の教育には限界があることが分かる。ならば、選択肢は一つしかない。沖縄から去ることだ。

<社説>米軍属女性死体遺棄 日米両政府に責任 防止策は基地撤去しかない - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

ともあれ、でもまぁ各所から既に揶揄されているように、こうした物言いが特段彼ら「独自の」言葉かというとそうでもないんですよね。それは日本の右側のアレな人たちだけではなく、海の向こうの欧米ですら『極右』候補として半ば大っぴらに語られるようになってたりする。
オーストリア大統領選決選投票 極右候補敗れる | NHKニュース
〇〇人たちは我々の安寧を脅かす異分子であり、彼らを全員「撤去」させる以外に我々の生活を取り戻すことは出来ない! なんて。


だから、この琉球新報の社説って――「是非」はともかくとして――政治的意見表明としてはそれなりに効果的ではあるんですよね。こうした論理に同意する人たちは、まさに欧米の政治状況が証明するように、決して極小の少数派ではない。
一本の矢では簡単に折れてしまう矢も、二本三本と重ねればいつか……。まぁそれって両極が一周まわって握手するっていう絵でもあるんですけど。
気に入らないガイジンは全員追い出そう。在沖縄アメリカ軍人・関係者だけに限定すれば味方は少ないかもしれないけれども、それが別の在日外国人たちにまで拡大すれば(悲しいことにミソもクソも一緒だと*1)そこに同意する人たちはおそらく増えていくでしょう。


この辺は以前も書いたネタではありますが、結局のところ沖縄に基地があるのは概ね「一にロケーション、二にロケーション、三にもロケーション*2」であるわけですよ。
この現実はもちろん強固ではありますが、しかし私たちの愛する民主主義であれば圧倒的な民意があればそのハードルだって突破できないこともない。嗚呼素晴らしき民主主義。
つまり、より多くの人たちが基地撤去に賛同できるだけの政治的主張として、別の何かをアレンジし拡大し扇動して言うことが出来ればワンチャンあるかもしれない。


こうした点から考えると、やはり今回の琉球新報の社説は実はものすごく考えられた主張だったりするのかもしれない。あるいは本当に何も考えてないのかもしれない。どちらにしても結果的に、やっぱりそうした主張は実は「ある層」を味方につけるにあたって、欧米社会の現状にある現代民主主義を見る限りそこまで非合理的ではないんですよねぇ。

 審議会の終了後、翁長知事は「日米地位協定の特権的な状況があり、そこで働いている軍人・軍属が大変、ある意味で占領意識を持ちながら県民を見ているところも大きい」と述べ、地位協定改定に向けて日米両政府に働き掛ける決意を語った。

1分間の沈黙、そして「日本の独立は神話」 翁長知事、首相に訴え - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

「日本(沖縄)社会に寄生する、素行の悪いガイジンは全員追い出せ!」
その切なる願いに左右の違いなどありはしない。その両者が手を結ぶとき、日本も今世界中で起きつつある「流れ」に合流してしまうことになるのでしょう。




みなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:遺棄容疑者、海兵隊員として沖縄に 妻は日本人、乳児も - 沖縄:朝日新聞デジタル

*2:ちなみにこれは同じアジアのちょうど真反対にある米軍基地のインジルリク基地についての言葉。