「真」なる国家というポジションを目指す人たちの狂瀾の時代ふたたび

軍事的優越と国連クラブ会員権をめざして。



新しい国の作り方 必要な要素は - BBCニュース
面白いしタイムリーな話題ではあると思うんですけども、これって「作り方」というよりは「認められ方」だよねぇ。国連という会員制国家クラブに認められるか否かが「真」なる国家となる為の最終ハードルで、それはまぁ本人の努力だけではどうにもならないパターンが多いと。『IS』は結局はムリだったし、カタルーニャも雲行きは怪しいけれども、はたしてクルドはどうなっちゃうの〜???



ともあれ、作り方、という面ではやっぱりこの一言に尽きるお話。

この根底には、主権国家はほかのいかなる権力や国家に対して、依存も従属もしていないという前提がある。

新しい国の作り方 必要な要素は - BBCニュース

逆説的なお話ではありますが、80年代後半に世界規模で分離独立や民族紛争などの件数が増加したのは、つまりソ連が弱体化し崩壊することによってその勢力圏内部で、現地の自分たちがどこにも依存も従属もしていない(するつもりがない)という意識が生まれたからでもあるんですよね。おそらく人類政治史における普遍の大原則であろう「軍事的優越=政治支配」という均衡状態の変化。タタールならぬ『ルーシの軛』が外れた時代。
翻って現在は、今度は『アンクルサムの軛』が外れつつある時代でもある。そりゃ少なくない人たちが盛り上がることになるのは不思議ではないよね。


それこそ、現在私たちが様々な思いを抱きつつも生暖かく見守っている北朝鮮さんによる核兵器騒動も、基本的にはこの「優越」と「承認」という所に行き着くわけで。それはアメリカや中国に対してもそうだし、そして韓国にも。その意味では私たち日本って、軍事的優越という意味でも(発言力あるプレイヤーとしての国家)国際的承認という意味でも、どこまでいっても話のマクガフィンでしかないんですよね。もちろんそれは私たちは「口」しかしないせいでもあるし、そして(個人的にはそれでも尚メリットの方が大きいと思っていますけども)最後の最後にはアメリカ頼みという外交方針による影響が大きいせいで。
まぁでも有事の際の巻き添え被害役としては随一というポジションくらいはあるかな。少なくとも北朝鮮のマッドマンな戦略には欠かせない重要どころです。嬉しくないね。


世界各地で分離独立と民族紛争が吹き荒れ大増加した1980年代末の当時は、まぁかまびすしく世界秩序の混沌が叫ばれたわけですけども、結局それはソ連崩壊の一時的な現象でしかなく、その後はパクスアメリカーナがやってくることで収束した。しかしそんな『アメリカの(軍事力世界的展開による)平和』も一辺に消失というわけではないにしろ、確実に縮小を続けつつある。
ということはつまり、再び上記のような「あの」時代の到来ということなのか? それとも今度こそ混沌がやってくるのか?


がんばれ「真」なる国家を目指す人たち。