となりの密告者くん

彼女の考える「乗っ取られる」未来とは、イラクかシリアか、クリミアか。



香山リカさん「私は中国の味方。もし日本が中国に乗っ取られても生き延びるために中国語の勉強をしている(笑)」
うーん、まぁ、そうねえ。基本的にはいつもの中指を立てるような品のよくない軽口・ジョークあるいは彼女らしいポジショントークの一例ですよね。
露悪的に日本sageっていういつもの態度というと身も蓋もありませんけど。
でもそれだけじゃ寂しいし、久々にネタにマジレス日記。

香山リカさん
あと中国語を習ってて。それも、もし日本が中国に乗っ取られても、私は中国の味方ですって言って生き延びるために(笑)。だって、医学とか見てても中国ってすごい伸びてるし。去年、向こうの首相が北海道に来たとき、「北海道を乗っ取ろうとしている」とかみんな言ってて。もしそうなったときは「私はずっと中国の味方でした」とか、「中国語も話せます」とか言って(笑)。

香山リカさん「私は中国の味方。もし日本が中国に乗っ取られても生き延びるために中国語の勉強をしている(笑)」

たしかに理屈としては理解できるお話でしょう。杞憂というレベルなのかはともかくとして、万が一のリスク管理としては合理的。


ただこの辺の話って、つまり外国語を学習するほどに余裕がない貧しくて学のない人たちほど従来の『国家』に依存し(偏)愛することが合理的である、という国際主義な現代リベラルしぐさにとって致命的に痛い所だと思うので、正直良識あるリベラルであればあまり迂闊に口にしない方がいいとは思ってるんですよね。
今話題のゴーンさんとその家族のニュースでもそうですけど、そりゃもちろん危険が危ない国から逃げられる選択肢がある金持ちたちはそうすればいい。
だけど、それだけの備えがない大多数の人たちは一体どうすればいいの? っていう根本的問題。努力不足だって新自由主義っぽく突き抜ける人も少なくないんですけど。
この点を考えれば考えるほど、そりゃ多くの人たちがトランプ的な自国第一主義に傾倒するのも無理はないでしょう。キモくてカネのないオッサンオバサンたちは、それだけで特別扱いしてくれる自国を愛するしかないのだ。
先進国どこでも見られる民主主義政治のトレンドだよね。



ともあれ、ここで面白いのは、この彼女の言葉から、むしろ面白い本音がうっすら見えている所だよなあと。
つまり、こうして公になることを知っていながら「中国の味方と振る舞うため」と予め言えてしまうのは、逆説的に現代日本人たちの『理性』を信頼しているんだなあとちょっと温かい気持ちにはなります。
――少なくとも僕は、万一の有事の際の混沌を考えたら、そんなに簡単に日本社会を信用はできないかなあ。第五列扱いでワンチャン吊るされちゃってもおかしくないとおもうよ。
といってもそれは戦前戦中から続く中世ジャップランドの国民性というだけではなく、おそらく、世界中どこの社会だろうが同様に。
実際に、イラクやシリアや、あるいはウクライナ=クリミアで現実に見られた、「占領軍」と「現地住民」たちの様々な出来事を考えれば尚更。アメリカですら21世紀に入ってからの『9・11』後の雰囲気を見ればお察しでしょう。二月にあったインドパキスタンの熱狂もすごかったし。
そしてその延長線上に、ロシアや中国などの選挙介入があったりもする。こうした虚実ない交ぜにして分断を煽ることで。
いくらヘイワケンポーがあるからといって、現代日本だけが例外だって考える方がちょっとありえないよねえ。


よく言えばそんな事態心の底からあり得ないだろうと本気で思っているのだろうし、悪く言えば平和ボケしているとも言えるんですけど。
自己成就予言なのかもしれませんけど。


敵国寄り・スパイ・売国奴と「認定」されてしまうことのおそろしさについて。
それこそ本当に将来の事を考えてリスク管理しているのならば、敢えて事前にそんな発言する意味なんてないわけで。一見リスクを考えているようで、それとは別のリスクの可能性をまったく恐れていないという点でちょっと分裂症の気がみられますねえ(唐突な精神病認定)。
ということで、もし本気で中国侵攻リスクに備えて中国語を習おうと思っているみなさんは、同じリスク管理としていざという時社会から危険視されないように表面上は別の言い訳を考えておいた方がいいんじゃないかな!



ならば個人的に「中国軍の日本占領」リスクと、あるいは内通者・第五列扱いされて「日本社会から吊るされる」リスク、どちらが高いかと言うと……、うーん、まぁ、そうねえ。後者の方が現状ではまだありそう。


みなさんはいかがお考えでしょうか?