「深く静かに支配せよ」を守れない人たち

ありがとう反面教師。


時事ドットコム:韓国政府、日本への対応抑制=竹島「紛争地域化」を懸念
ということでなんかオリンピックの政治的活動云々とリンクして思ったよりも盛り上がってる竹島のあれ。海外報道でも地味に散見されるようになっていて、まさかのちょっとした世界的ウェーブになってます。国内問題だけで済ませたかった李明博さんもこの辺は誤算だったんだろうなぁと生暖かい気持ちに。


しかしまぁ今更何か特別に面白いことが言えるわけでもなく、結局のところ、お馴染みの韓国の皆さんのアレということになってしまうんだろうなぁと。

 【ソウル時事】韓国の李明博大統領の竹島(韓国名・独島)訪問に対し、日本が国際司法裁判所への提訴を検討する方針を表明したことで、韓国では、国際社会で紛争地域とみなされないよう、冷静な外交を求める声が広がってきた。これを受け政府も、過度の刺激を避ける対応を取り始めた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012081300663

つまりそういうことであるんですよね。ぶっちゃけ何でこの人たち、こんな見事に自爆しちゃってるのかと。


元々彼らの採るべき最善の戦略とは、深く静かに支配せよ、であるわけです。「風化させること」こそが勝利条件なんだから。
彼らが既に実効支配しているのだから、そもそももう騒ぐ必要なんてありはしないのです。だってもしそこで騒いでしまったら彼らのやってきたことが白日の下に晒され「色々と」問題がある事が明らかにされちゃうじゃないですか。だから日本が求める国際司法裁判所なんかにも出るつもりもないわけで。むしろ国際的に声を上げなければいけないのは日本の側であって、韓国は逆にそれを黙殺する、という構図であるはずなのです。しかし何故か役割がまったく逆になっているこの喜劇。ひょっとしてこれは高度なギャグなんだろうか。
本来のポジションとしては尖閣諸島における日本の立場、あるいは北方領土におけるロシアのそれと同様なんですよね。彼らにとっては――それこそ私たちが尖閣諸島で口にしているように――「そもそも領有権の問題は存在しない」というポジションこそが最も正解に近いのです。


そして実際に、少なくともかつての韓国指導者たち――特に93年以前の軍事政権時代まではそうした基本方針で動いてきました。
しかしそんな方針は皮肉にも韓国で広く民主主義政治が実現することで変化してしまったのです*1
これまでの日記でも書いてきたように、だって現代に生きる私たち有権者やそしてそれを利用したい政治家たちの両方にとって「領土問題は蜜の味」であるから。民主主義政治が広まってしまうことで加速する『領土』への情熱。まぁこの辺は韓国の愚行というだけでなく、私たち日本でも結構当てはまる問題ではあるんですよね。「深く静かに支配」したいのに思いっきり大きな声を挙げてしまう人たち。まぁその気持ちが全くわからないとは言いませんし、声を上げる事が常に間違っているとも思いませんけども、しかしやっぱりそれは端的に言って戦略ミスではあるよなぁと。
あくまで感情の問題であって「理屈じゃねぇんだ!」と言われてしまえばそれまでなんですけど。


ということで、まぁこの一連のお話で重要なのは、ただ騒げばいいというやり方だけじゃないという事を教えてくれると同時に「私たちはあんな風にならないようにしよう」という『人の振り見て我が振り直せ』という伝統的なお話ではないかと思う次第であります。

*1:ついでに冷戦構造の終焉もその要因の一つであるでしょう。反北から反日へ。