「誰も……戦争を止めようとしていないのである!」

それでも、世界平和は誰かがきっと運んでくれると信じている、少年少女な僕たち。


「領土問題は戦争で解決できるという先例になりかねない」 ナゴルノ・カラバフ紛争に専門家が警鐘 | ハフポスト
当日記でも何度か書いてきたポジションそのままで、同意するしかないお話。
ではありますが、あんまり評判良くないのでちょっと自分まで悲しくなってしまうので、応援がてら「誰も消防車を呼んでいないのである!*1」ネタで適当日記。


2国間で武力による領土の奪い合いが起きているのに、国際社会のほとんどの国が距離を置いてみていたという現実をどう感じているだろうか。

「決して、いい終わり方じゃないですよね。不当に領土を取られた国がある戦争を30年近く国際社会が放置したことが一番良くないと思います。そこで両方が納得行くような解決を、早めに国際社会が導いていれば、今回のことは起きなかったと思うんです」

その上で、廣瀬さんは「未承認国家は平和な状態ではない」と強調した。「ナゴルノ・カラバフ共和国」という未承認国家を28年間に渡って国際社会が放置してきた結果、多くの死者が出る紛争に繋がったという見解を示した。

「今回の件は悪い先例になりかねなくて『取られた領土は戦争で奪還できるんだ』という認識が世界に広まると、似たようなことが各地で次々に起きると思うんですよ。これが先例になってしまうと、今後はすごい問題になる。そういう意味でも、私は警鐘を鳴らしたいですし、国際社会は身を持って反省すべきだと考えています」

「領土問題は戦争で解決できるという先例になりかねない」 ナゴルノ・カラバフ紛争に専門家が警鐘 | ハフポスト

いつものごとく「読まずに批判」な人たちから、この廣瀬先生の『先例』という言葉尻を捕えて批判している人がいますけども、まぁこの記事の要旨ってそこじゃないでしょう。
――領土奪還の先例そのものではなくて、我々が両大戦を経て国際連合憲章として合意したはずの「戦争は良くない」という現代国際関係における基本的規範を弱体化させることの『先例』として。


「国際社会が黙ってない」と主張する人たちは本邦にも少なくありませんけども、まぁ確かにそれはそれで目に見えない抑止力の一つの形でもあります。そうした国際社会からの批判や介入を恐れて、ならず者国家たちは未然に行動を抑止する、はずだと。
ただそうした抑止力というのは、実際に機能している所を見せなければ、どんどん失われていく儚いモノでもあるわけでしょう。
――そして、みごとに、今回はそうした抑止力は機能しなかった。
ナゴルノ・カラバフは、領土問題を戦争で解決することの先例ではなく、「国際社会は看過する」という『先例』となってしまった。
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世界平和をあれほど希求しているはずの、私たちの不作為。
……そう、普段「国際社会が黙ってない!」と抑止力を誇示しておきながら、実のところ国際社会のプレイヤーたちは誰も本気で戦争を止めようとは思っていないのである!
曲がりなりにも民主主義国家である私たち日本にとっては、その政治家の不作為とはほとんどそのままリアリズムな私たち有権者の内心を正しく反映してもいる。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、

にほんこくけんぽー? なにそれおいしいの?
 
 

すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。*2

こくれんけんしょー? なにそれおいしいの?
 

 
(自分ではない誰かが)世界を平和にしてくれますように、なんて。
自分の手を汚したくないし、なんならお金も払いたくない。
うんうん、そうだよね、僕も常日頃から不労所得で「5000兆円欲しい!」って思ってるよ。


我々が「戦争反対」「世界平和」の望む心というのは、実のところこの程度の本気さでしかなかったということが、また改めて明らかになってしまったナゴルノ・カラバフ紛争。
いやあ廣瀬先生が言うように、やっぱりおっそろしい『先例』を生み出してしまったものだよね。


「(国際社会は何も言わないので)領土問題は戦争で解決できる」という2020年に改めて証明され先例となってしまった件について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?