虐殺資源

いやぁ石油ってほんとうに「悪魔の排泄物」ですよね


南スーダン・ボルに反乱軍民兵が進攻か 国連、武装集団を確認 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
南スーダンの首都北部で反政府勢力と政府軍との衝突発生| ワールド| Reuters
ということで話題のスーダンさんちの再びの内戦ではありますが、やっぱりその焦点は石油地帯なのでしょうね。国家が分裂し新国家が生まれ、その新国家でもまた分裂する。でもまぁこの事態がまったく想定外だったのかというと、まったくそんなこなくて、むしろ「やっぱり」という方が近い構図ではあるんですよね。
いやぁにんげんってすばらしいなぁ。




油の油による油のための「戦争と平和」 - maukitiの日記
「平和とは次の戦争の準備期間だ」を地で行く人たち - maukitiの日記
それこそ2011年の国家独立当時に書いたうちの日記でも触れたように、そもそもスーダンの石油というのは昔から停戦協定を破る決定的な要因となってきたわけであります。
つまり、石油を支配してしまえばその利益を軍事に回すことができ、競合勢力から圧倒的なアドバンテージを得ることができる。現代の戦争とはつまり経済力であるのだから。それは限りなくゼロサムゲームでもあります。自分の取り分が大きければ大きいほど、他者の取り分は減り、つまり軍事的優位は確固たるものになる。故にスーダンにおける各プレイヤーたちは、むしろ平和であればあるほど、その分配比率による格差固定を打破するために、軍事蜂起を起こすインセンティブを持ってしまうことになる。
あの国家分裂以前の内戦時にもあった、1983年の停戦協定を破ったのも今回の構図と同じく石油利権を巡るものだったわけで。そして今回2013年、再び同じ轍をふんだ。まさに「平和とは次の戦争の準備段階である」を地で引く人たち。まるで成長しないひとびと。
いやぁ心底救えない構図ですよね。
ただ、もともとスーダンにおける内部紛争というのは、宗教にしろ民族にしろ、別に石油利権を巡るモノから始まったわけではないんですよ。ただそれが文字通り「火に油を注ぐ」構図となったのが石油の発見であっただけ。ほんとうに皮肉な話ではありますが、この巨大な石油埋蔵量こそが、世界中どこにでもある宗教紛争・民族紛争の一つに過ぎなかったそれを、これまでの数十年にわたる内戦で200万人以上の死者及び数十万人の難民を生み出す、世界屈指の悲惨な内戦にまでレベルアップさせてしまった。
ほとんど資源を持たない私たち日本では、しばしば、そうした『資源大国』な彼らを羨んだりもしますけども、しかしこうして彼らの資源利権をめぐる内部争いの歴史を見ていると、やっぱりまぁあんまり素朴に羨むこともできませんよね。その地中や海底下に眠る資源は一体だれのもの?




ちなみにこうしたスーダンの構図が、私たち先進諸国に住む人びとにまったく無関係であるわけでもなくて。そんな石油利権に群がる軍事勢力に資金やインフラを提供してきたのも欧米石油会社だったりするんですよね。まさに軍事勢力と手を結ぶことで「安全」になった土地に石油会社が道路を作り、そこを軍が通り、そして軍にとっても「石油会社にとっても」邪魔な敵対住民を物理的に排除する。
それこそフィクションに出てくるような残虐非道な国際石油企業の裏の顔が、現実に起きていたスーダンという土地。
韓国軍の弾薬支援要請で、一際日本でも自衛隊派遣がされているスーダンの情勢が語られるようになりましたけども、そもそも韓国軍の危機感ってこうした歴史的背景を考えると当然の帰結ではあるんですよね。スーダンの紛争は、そうやってより大規模に、より容赦なくなっていったのだから。
果たして国連軍は虐殺を止めることが、引いてはこの「負の連鎖」を断ち切ることができるのか?
私たち日韓両国は国内向けに愉快なプロレスを続けていますけども、しかしよりマクロな国連活動として見れば、スーダンの問題というのはこのようなそれはもう大きな何台に直面しているのでした。
ユーゴやルワンダでも直面した、国連軍は(大虐殺に繋がる可能性が限りなく高い)紛争を止めることができるのか? 
あのユーゴの時はそれはもうヨーロッパ内部であった以上決断はしやすかったものの、では、遠く離れたアフリカでは? ルワンダの二の舞に?


21世紀の国連の試金石。ここで失敗すれば更に国連への信頼感は低下していくのだろうなぁと。
みなさんはいかがお考えでしょうか?