末はユーゴかスーダンか

分裂の結晶化をもたらすもの。


シリア和平会議、来年1月22日開催へ 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでまた懲りずに『和平会議』が持ち上がっているそうで。

【11月26日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は25日、シリアの政権側と反体制派を交えた初の国際和平会議を、来年1月22日にスイス・ジュネーブ(Geneva)で開催すると発表した。ただ、政権派と反体制派それぞれの主要支援国が出席するかどうかはまだ不透明だ。

 潘事務総長は米ニューヨーク(New York)の国連本部で記者団を前に、シリア内戦を「国際平和に対する最大の脅威」と位置付け、「この戦いはあまりにも長く続いている。10万人以上が命を落とし、約900万人が家を追われ、行方不明者や拘束された人は数え切れない。甚大な人権侵害も起きている」と語った。

シリア和平会議、来年1月22日開催へ 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

しかしまぁ現状のシリアにおいてこれ以外に「何ができるのか」という点で、それはもう悲しい話ではありますが、正直、出来ることなんて何もないよなぁと。なので無駄と解っていても、失敗する可能性が高いと解っていてもこうして続ける以外にないのでしょう。そう、戦いに敗れても君は美しい。
あ、アリバイ作りだろうとか身も蓋もないことを言うのは禁句です。



ともあれ、じゃあこの和平会議が実現したら実現したで、おそらくまず第一段階として当然「一時停戦」が言われることになるんでしょうけども、けどそれって、しばしば、そのまんま『現状の固定化』を意味することになるんですよね。つまり内戦による国家分断の構図の固定化。有名どころではユーゴがそうであったように、あるいはスーダンでも。特にその悪意を一心に集める独裁者が温存されることになれば、かなりの可能性で。
それこそ2005年のイラクでは『民主主義』こそが結果として国家分断の未来を決定付けたとも言えてしまうわけで。占領状態からの一発逆転の方策であったイラクでの選挙実施も、それが国家融和となったわけではなく結果として起きたのは「多数派シーア派クルド人の勝者と、少数派スンニ派という敗者」な構図の固定化だった。民主主義という数の論理が運命づけた、勝者と敗者。
同じく、少数派であるアラウィー派こそが権力を握るシリアでもこの道をたどるのはほぼ確実ですよね。故に彼らがそのやり方を受け入れるなんてことは、まず、絶対に、ありえない。一方で反体制派たる「多数派」の彼らはそうは思わない。ほぼ絶対に勝てるのに、更に言えばそれは民主主義という『正義』にも適うのに、それを諦めるなんてとんでもない。


皮肉な話ではありますが――しばしば「善き」解決手段とされる――こうした政治的解決というのは現状を固定化されることを意味することになる。今回のシリアでも、もしこのまま予定通りに開催されることになれば、関係国がそうした分断状況を許容したことを意味するのかなぁと思います。
最早、海外からの軍事介入も、そして政府軍も反政府軍も勝ち切ることが不可能な膠着状態になった以上、現実の落としどころとしてはそこ以外にないのではないかなぁと。
まぁ確かに、少なくとも「和平」の役割はそれで果たせたと言うことはできるかもしれませんよね。それが将来どんな結果に繋がるかまでは解りませんけど。