今、そこにある(唯一の)危機

北朝鮮が持つオンリーワン。


トランプ大統領、対北で防衛力強化を明言 安倍首相と電話会談 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
北朝鮮攻撃の日は近い?米国で崩れてきた前提とは 米中首脳会談は成果を出せるか(1/5) | JBpress(日本ビジネスプレス)
ということでなんだかあれよあれよと風雲急を告げる状況になりつつある北朝鮮問題ではあります。むしろ撃たれている側の私たち日本が「ハイハイいつものね」と見ていたのに、なんだか急にアメリカがマジになっちゃって当事者なのに置いて行かれている感じ。
このタイミングについて、トランプさんの暴走や韓国政変との絡み等々言われていますけども、まぁやっぱり『9・11』以後のアメリカの明白なる天命となった「テロ攻撃の阻止」という視点が王道なのかなぁと素人考えでは思っています。


もちろんいかにも引き金が軽そうなトランプさんの単純な世界観という影響もあるのでしょうけど、そもそも北朝鮮の核問題って、現状アメリカにとって「テロの危険性がある核兵器」という文脈ではほぼ唯一無二の存在でもあるんですよね。
実際、オバマ政権の最初の対外政策でも「アメリカ市民への最大の脅威は、核を使ったテロ攻撃である」としていたように、『9・11』以後のアメリカにとって大規模テロを避けることは絶対のドグマであり、特に核によるテロ攻撃は予想される最悪のシナリオとして念頭に置かれ想定され続けてきたわけですよ。核兵器によるテロは絶対に避けねばならない。その強迫観念に近い危機感の大きさこそ、イラクでの無様な失態の遠因とも言えるほどであります。
ところがそんな危機感とは裏腹に、上記イラクでの結末が示すように、結果として見れば現代世界ではまぁ思ったほど「核兵器テロ」は直近の危機だとは言えなかったんですよね。アルカイダ旧ソ連時代の逸失核兵器等々、噂として何度もあったものの、しかし確実な情報としては何もなかった。もちろんロシアや中国をはじめ、イランや印パ間の核兵器の問題はあっても、しかしそれらはあくまで冷戦時代にあったような安全保障的構図の延長線上であり『大量破壊兵器によるテロ攻撃』にすぐに結びつくようなモノでもなかった。


ところが、そんな核テロ問題で唯一アメリカに「今、そこにある危機」感を味あわせてくれるのが、かの北朝鮮でもあります。ブラフに近い脅しとしては既に日常茶飯事ではありますが、しかしその能力を真実性を補完するようにもなると、アメリカの越えてはいけないライン近づきつつある。
おそらく北朝鮮としてはひたすら安全保障上の視線からこの問題を見ているんでしょうけど、しかしアメリカはどこまでいっても『テロの可能性』としてこの問題を見ている。このすれ違いが今の摩擦を生んでいるのかなぁと。


アメリカのやわらかい場所を絞めつける北朝鮮
みなさんはいかがお考えでしょうか?